暗黒の勇者
第一章 女神の森はこれで終わりになります。
勇者の剣の試し斬りをしたが、なかなかの威力があることが分かった。
といっても練習は必要だからなぁ。まともな武器はこれが初めてだし。
そう、初めてなんだよまともな武器。今まで狼と戦ったり、でっかい鳥と戦ったり、魔王城行ったりいろいろしたけど、ほぼ原始人の装備でやってたからな。
よく生きてるよな、俺。
後は[暗黒の外套]か。魂の位階が一つ上がるごとに使用可能回数も増えていく。
ってことはあまり乱用できないんだよな、これ。魂の位階はどんどん上がりにくくなってくだろうし、そのうちドラゴンとやり合わなきゃいけなくなるかも。まあ、もう竜王とやったんだけど。
ともかく[暗黒の外套]は強力な技巧だから、一回使えばほぼ勝てる。少なくとも死なないようには出来るだろう。だって技巧が意識して使えばポンポン上位互換していくんだよ?負けないようにするのなんて造作のないことだ。
ルミナスとの戦いだけで、結構な数の技巧が上位互換したし。結構な強さになっているはずだ。
まあ、技巧頼りな戦い方してるのは分かってるけど、それ以外戦い方ないからなぁ俺。
一応[魂の回廊]で自分を見てみる
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個体名 クロバネ カズト
経過年数 20年
種族 ヒューマン
職業 暗黒の勇者(上位互換)
魂の位階 第8位階(up!!)
次段回に魂の位をあげるのに必要な魂 40320
魂の技巧
[基本級]
言語理解
世界基礎知識
諦めの悪さ
[低位級]
隠密
衝撃耐性
雷撃耐性
斬撃耐性
刺突耐性
要素攻撃耐性
毒耐性
[中位級]
戦闘術[短剣・棒・拳](統合・上位互換)
疾風迅雷(上位互換)
筋力超上昇(上位互換)
跳躍力超上昇(上位互換)
速力超上昇(上位互換)
技術力超上昇
体力超上昇
竜特攻(new!!)
竜特防(new!!)
工作師
忍術
罠師(上位互換)
[上位級]
逃走者
忍者
空中戦闘(上位互換)
[王級]
技巧習得必要経験値低下
多重起動(上位互換)
狂戦士の心得(上位互換)
要素の王(統合・上位互換)
空間把握(統合・上位互換)
[神級]
魂の回廊
魂の扉
魂の技巧
死神(統合・上位互換)
[勇者級]
暗黒の外套(new!!) 残り:7
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え、えっと(;゜ロ゜)
変わりすぎじゃない!?
いや、もっと少なくなかった?上位互換した奴。確認面倒くさいよ、ここまで一気に変わると。
[低位級]が随分寂しくなった。ずっと変わらないのはお前だけだ、隠密。まあ、戦闘中は隠密意識して使わないからな。
とりあえず見ていくと、暗殺系統の技巧は隠密以外は全部[死神]行きか。[死神]のテキストがよく分からないんだけど。というか、恥ずかしい中二病文になってるんだけど。
まあ、今までの統合、強化版と思えばいいだろう。多分。
空間把握は索敵と地形把握の統合ね。周囲のものがなんとなく全部把握できる感じか。見えないところまでなんとなく分かるから怖いな。
[要素の王]は全属性使えるようになって、魔法技能系もこっち行きか。かなり期待できそうではあるけど、結局[夜の帳]しか使わない気がする。
[狂戦士の心得]って俺はバーサーカーにでもジョブチェンジしたのか?[戦士の心得]の上位互換だけですんでくれればいいけど。
[多重起動]は[並列起動]がもっと並列起動出来るようになったバージョンね。といっても脳の処理速度的に4個位までしか無理だと思うけど。
他の上位互換はなんか安心感あるけど、この戦闘術[短剣・棒]ってなんだ?
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戦闘術[短剣・棒]
戦闘に関しての技術を手に入れる。戦闘中の戦い方の切り替えも早くなり、全般的な身体能力も上昇する。
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~術の統合って感じかな。武器の切り替えがスムーズに出来ますよーってところか。今の所短剣と棒と拳闘術のみが対象みたいだな。まあこれから増えていくんだろう。
でだ、暗黒の外套がでた時点でこうなる予感はしてた。
職業[暗黒の勇者]
ねぇ、暗黒ってさぁ。勇者じゃないだろう。それ。
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[暗黒の勇者]
暗黒を司る勇者。夜属性と闇属性の扱いに長け、夜属性による転移と空間切断。闇属性による配下の獣の召喚によって戦う。
また、夜属性、闇属性を統合して使用することにより、[悪魔]や[神獣]を呼び出すことも可能。
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これ勇者じゃないよ!?どっちかって言うと、というか完璧に魔王様の説明だろ!今から魔王に取って代われる技能のオンパレードじゃねえか!
俺は、どこへ向かっているんだろうか・・・。
「はぁ。」
ため息をつきながら神殿に戻るとツクヨミが待っていてくれた。
「お帰り、カズト。」
「ただいまー。」
だめだ、ツクヨミが癒しになってる。もう俺ロリコンでもいいかもしれない・・・・いや、いやいやそんなわけないだろ!俺が求めているのは美女だ!断じてロリコンという犯罪者ではない!
「い、いきなりのたうち回ってどうしたの?」
「いや、何でもない。」
落ち着け。静まれ俺の心。
「剣はどうだったんですか?」
「ん、よかったよ。切れ味も抜群だった。」
「そうですか、それならよかった。」
俺は祭壇に腰掛けると、キノコを食べ始める。なんのキノコかって?ドクドク毒茸だよ。大丈夫。焼いてある。
「よ、よくそんなに禍々しいものを食べられますね。」
「ん、そうか?」
結構いけるぞ?これ。
「あなたが、あの城の中で変わってしまわなくてよかったです。人は絶望的な状況に立たされると人格すら変わってしまうので。」
まあ、あんまり絶望しなかったからな。
「できればそのまま。そのままのカズトでいて下さい。」
「どういうことだ?」
聞き返したが、ツクヨミはそれには答えず立ち去ってしまった。
「うーん、まあ自由にさせて貰ってれば変わることなんかないだろ。」
俺はこの世界に来たときから決めていることがある。
俺は自由に生きる。何にも縛られずに、好きに生きる。
その中で森を守るために戦うことになるかもしれない。
その中で命を落としかけるかもしれない。
だが、それでもいい。俺の折角の二つ目の人生だ。神だろうが魔王だろうが邪魔はさせない。
それが、[暗黒の勇者]としての戦いだ。
あ、でも魔王とは戦いたくないです。
第二章 王国と正教国
次回「2人の勇者のお話」