魔王城突入!!のお話
ついに突入。暗殺大好き勇者は無事ルミナスを助けられるのか!
準備を終えてから二日後、俺は今、城門の前で魔王城をみている。
姿形は中世ヨーロッパ風の城だが、その壁は全てどんな素材で作ったのか黒い色をしている。少し赤みがかってはいるが、ほとんどが黒だ。
そして俺が思うことは一つ。
「確かに格好いいな、この魔王城。」
デザイン、色味、雰囲気全てが魔王感出してる。めちゃかっけえっす。
「つまらんこと言ってないでさっさと行ってこい。」
と語るのは車。死地に友を送るときに言う言葉じゃないよ?それ。
「へいへい、じゃ、行ってくる。」
「気を付けろよ。」
「ああ、」
そして俺は城門をくぐった。
「行ってくる。」
ーー30分後ーー
ついに魔王城に到着。今の所、魔王軍には遭遇していない。
会わなかったことを喜ぶべきか、城内にどんだけ詰め込んでんだよ、と嘆くべきか。
城の正面からなかにはい・・・・らない。
上の開いている窓から入る。
何も言うな、泥棒みたいって言うな・・・。
ともかく突入成功。窓の縁から中をのぞく。
扉を開いてすぐの部屋はホールのようだ。
そこには魔王の眷属が一体。
見た目は黒い、というより、暗い瘴気で覆われた猪型の何か。魂の回廊を使うと
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魔王眷獣 (ボア)
獣が魔王の力によって眷属になった姿。
魔王の命令に対し忠実に動く。
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とでた。
元がボアだからあの形なのか。でも大きさが違い過ぎる。普通のボアの二倍はあるんじゃないか?
まあ、魔王の恐ろしさはわかった。絶対に見つからないように地下まで行こう。うん。
と、壁のレリーフでボルダリングしながら行こうとした。
その瞬間、左から何かでかいものが飛んでくる。とっさに体を反らし避けてから相手を確認。
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魔王眷獣 (バット)
以下略
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あ、隠密使ってなかった。いきなり戦闘かよ!全く。
コウモリ型か、大きさは普通のバットの三倍位だな。
コウモリは部屋の中で飛び回ってこちらの隙を伺っている。隙なんかやるもんか、速攻で決めてやる。
「[黒の帳]」
瞬間俺はコウモリの目の前に。そしてお決まりの暗殺。
「うおっ」
フェンリルの牙のナイフが強すぎて抵抗なく切り裂いてしまった。結果、俺の体勢が空中で崩れる。
「り、[立体機動]!」
なんとか立て直して床に着地。ふー。危ない危ない。というか、結構高かったけどなんともないな。流石勇者の身体能力だ。
ん?床に着地?
「ブォォォォォ。」
イノシシさんだぁ。
おいおい。俺戦わないって言ったよな?なんで二連戦?
イノシシが突っ込んでくる。ここは元と変わんないんだな。と思いながら避けると、なんと目の前で曲がった。
「っつ!!!」
予想外の行動で避けれず、直撃。
そのまま壁に叩きつけられる。
「がはっ!」
肺から空気が押し出され、口からは血が出る。
しかし、イノシシはそのまま壁に向かって俺を押し続ける。このままじゃペシャンコだ。
「っつ!く、[黒の帳]!!」
なんとか[黒の帳]を発動しイノシシの後ろに移動。イノシシはゆっくりとこちらを向く。これは・・・。
「かなり、不味いな。」
戦士の心得によって痛みは押さえられているが、恐らく骨がいくつか逝っている。
体力的に[黒の帳]は後一回ほど。
残念ながらピンチほど強くなるなんていう勇者的技巧は持っていない。
隠密も敵の目の前で消えられるほど達人になったわけではない。所詮普通の人が頑張ったレベルだ。
「ハードモード過ぎるだろ。」
イノシシが蹄で床を蹴る。
俺は上に飛んでそれを避ける。上なら流石に大丈夫みたいだ。
そのまま、突進するイノシシを追いかける。短剣で切る。
流石フェンリルの牙、普通に切れた。
ひるんだところを。棒で打つ、打つ、打つ、打つ、打つ。
最後は首筋に短剣を突き立てる。
死なないので何度も突き刺す。突き刺して突き刺して。
そして、やっと死んだ。
一匹やるのにこの労力。不味いかもなぁ。
いきなりピンチです。因みに今まで勇者さんは暗殺無双してましたが、やっぱり普通レベルです。




