夜の神殿のお話
今日はここまでにします。
「ふん、ふん、ふふん♪」
意気揚々と歩く俺。え、走ってなかったかって?意外に遠かったんだよ、神殿。
「やけにご機嫌だな。」
と話すのは後ろから着いてくるフェンリル。どうやら着いてくるらしい。
まあご機嫌もご機嫌。だって美女だよ。しかも女神だよ!男として、テンションアゲアゲマックスにならないことがあろうか。いやテンションアゲアゲマックスになる!
だってしょうが無い。
この世界にきてから一週間。会話した対象が
・自分よりめっちゃでかい狼
以上
だよ?テンション上がるよ。仕方ない。
しかも自分がやることは、その美女を助けること!(最低生き残っているだけでいいことをすっかり忘れている)
やるっきゃねえな勇者!すすめ!すすむのだ!
ーーーー二時間後ーーーー
「私がコカトリスをやっておくから、おまえはロック鳥を押さえておけ!」
「了解!!・・・・って五羽もいんじゃねえか!無理だよ!?俺の武器、切れないナイフと木の棒だけだぞ!どうしろって言うんだよ!」
「努力しろ。」
という感じで本日6回目の戦闘。あれ、なんでこんなに襲われるの?なんで?
「こいつらはツクヨミの加護が消えてしまって、ただの獣になってしまったからな。戦うしかないのだ。」
と、フェンリル談
「いやっ、かくれるっ、とかっ、にげるっ、とかあるだっ、ろっ、」
と、よけながら俺談。
ピコーン
あ、技巧手に入れた。久しぶりだな、ってゆっくりしてる暇ねぇんだよ!
「グワァァ!!」
と叫びながらロック鳥が突進してくる。取り囲むようにね?
「死ぬわっ!」
近くの木に手をかけ、上がった身体能力で無理矢理駆け上がる。
次の瞬間
「「「「「ドォォォン」」」」」
という音と共に木を巻き込みながら、五羽のロック鳥が衝突。
俺は木からすかさず跳んで。上から
「[暗殺]!」
首をナイフで五回ほど突き刺し、
頭を木の棒(既に十回ほど取り替えている)で叩き、
蹴りを、首に身体能力任せで入れ、
三羽を殺した。
相変わらずいやな気分だ。
するとフェンリルが残った二羽に向かって。
「[雷装]![雷の牙]!!」
といいながら全身に雷を纏い、高速で首を噛みちぎる。こうして戦闘は終わった。なにあれ・・・。
「なんだよ、[雷装]って。めっちゃかっこいいな、中二病だな。」
実際かっこよかった、俺もああいうのが欲しい。暗殺も棒術も拳闘術も微妙なんだよ。
「あれは、私のように高位となった[夜の加護]をもった獣が覚えられる技だ。空気中の[要素]を纏ってたたかえる。」
「[要素]?」
「人間が扱う魔力と、ほぼ同じものだ。まあ純度が段違いだが。」
「ふうん。」
正直魔力って何?って聞きたいところだけど、常識っぽいしなー。魔法に使うものだとは思うのだが。
神からもらった知識、絞りすぎたかなー。
ま、とりあえずステータス。かっこいい技巧!求む!
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個体名 クロバネ カズト
経過年数 20年
種族 ヒューマン
職業 夜の勇者
魂の位階 第5位階(up!!)
次段回に魂の位をあげるのに必要な魂 120
魂の技巧
[基本級]
言語理解
世界基礎知識
諦めの悪さ
[低位級]
隠密
索敵
短剣術
棒術
罠制作
[中位級]
体力超上昇
工作師
軽業師(new!!)
[上位級]
暗殺者
[王級]
技巧習得必要経験値低下
[神級]
魂の回廊
魂の扉
魂の技巧
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魂の位階が上がったのか。後は[軽業師]ね、中位級みたいだけど効果は?
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[中位級]
軽業師
壁、物、木、敵といった物体を利用しながらの、立体的な動きが機敏になる。基礎的な走力、跳躍力も向上する。
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いや、勇者が猿みたいに飛び回るってどうなの。
もうあれだよね、俺、忍者だよね。
そしてついに俺たちは神殿にたどり着いた。暴走した獣はコカトリス達で最後だったみたいだ。
というかこの神殿、めちゃくちゃ神社っぽい。鳥居はないけど。
日本好きなの?神様。
神聖な感じはある。ボロボロでツタ生えてるし、苔生えてるけど。
大きさはフェンリルが、
「ツクヨミ様はこの奥だ。いくぞ。」
といいながら先導していける位には大きい。
「なんか緊張してきた。あ、おいてくなよ。」
中は暗いな、なんも見えない、フェンリルに捕まりながら歩いていく。フェンリル白くて助かるわー。
「ここは神のお膝元であり、夜の神と対話することができる唯一の場所だ。くれぐれもしつれいのないようにな。」
「おう。」
歩くこと数分。
そこに広がっていたのは、幻想的な空間だった。何も見えない黒い部屋の中に数々の白い光が瞬く。
まるで夜空を表したかのような部屋だ。
「あの光は妖精の光だ。害意のある者を惑わす効果がある。」
と、フェンリルが話す。なるほど。ロマンを感じさせない物言いだなちくしょう。
すると周囲の妖精達が一カ所にあつまっていく。
その光よって現れたのは月の形が描かれた祭壇。するとフェンリルが前に進み出て話し始めた。
「我が神よ。我らの救世主となる、勇者を連れて参りました。どうか姿をお見せ下さい。」
するとどこからか
『もう、お越しになったのですか?ありがとうフェンリル。早かったわね。そちらの方が・・・』
と、落ち着いた美しい声が。
「はい、夜の勇者となります。全身黒色の怪しいやつですが。」
怪しいは余計だろ!
『やはり、そうでしたか。私と同じ力を感じます。いま、姿を現しますね。』
やはりってなんですか?神様。怪しいって所ですか?
うん。気にしないでおこう。
しかし、ついにこのときがきたか。き、緊張してきた。
すると目の前に妖精の光とはまた違った光が現れる。黒い光。冷たくありながらも、すべてを包み込むような優しい光。
そしてその光がおさまったとき。
そこにいたのは
「始めまして、黒き勇者。私が夜の神、ツクヨミよ。」
そこにいたのは・・・・。
美、・・・・・・・
び・・・・・・・・び幼女?
え、
えぇ?
テンプレ?ある意味テンプレ?
次回「夜の女神と黒の勇者のお話」
7/28 13:00更新予定です。




