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そして僕は遺書を書き始める

古めかしいお菓子の空き缶を抱えた

男が一人。堂々と誇らしげに

寒空の下、仁王立ちをしている


男は

空き缶をゆっくりと慎重に開ける

全体的にサビついたお菓子の空き缶は

非常に開けづらい

過去に何度か勢いよく中身をぶちまけている


缶の中はゴミのようなガラクタばかりだ

でも男にはどうしても捨てられない物ばかり

が詰まっている



その中から1枚の紙を取り出す

その紙は普通の大学ノートからビリッと破いて無造作文字を書きなぐったものだ


男はその紙に書いてある文字を読み返す

ひらがなばかりで汚い字だ

自分で書いたのに非常に読み辛い


【いしょ】

ぼくはこの世からいなくなることにした

どうしたら生きていけるか分からない

よるが来るのがこわい

明日が来るのがこわい

人間がこわい


一番こわいのは死ぬことだ


なぜぼくは存在するのか


考えれば考えるほど分からなくなる

もう直ぐ夜が明ける


朝が来る、こわい


お腹が減った、こわい


エロい事考えてムラムラするのもこわい

いや、それはそれ


よくわからなくなってきたから


さよなら、


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


男は【いしょ】と書いた紙を

読み終えると

苦笑いをして、空を見上げる


そしてもう一度その紙をみつめる

よしっ!とうなずいて


紙をくしゃくしゃにしてビリビリと破いて

ブリキのバケツに入れた


上着のポケットからタバコを取り出し火をつけた


途中まで吸ってから

タバコの火種で遺書に火をつけた


メラメラと燃え始める遺書を眺めながら

男は呟く


「さよなら、過去の自分」


強い風が吹き


バケツが倒れる


火の粉がフワっと宙を舞う


男は、慌てて火の粉を追いかけると


狭い交差点から曲がってきた車に軽く跳ねられる


運転手に激しく怒鳴られると

男はすません!すません!と頭を何度も

下げる


足首の捻挫と、腰の打撲をかばいながら

バケツに戻ると

火の粉が家の網戸を焦がしていた



《明日には男が購入した新築の一軒家に

産婦人科から

産まれたばかりの娘が来る、とてもとても

元気で可愛らしい赤ちゃんだ》


空を見上げて男は思う


(嫁に怒られるなぁ〜、こんな父親で大丈夫かな

やっぱり消えていなくなりたいや)


男は今こうして、このような文章を書き始める

そう、つまり、これは、その…遺書である!

おそらくこの遺書は僕が生涯を、終えるまで書き続けるだろう

つまり、僕が死んだら完成する未完成の遺書


僕生きている、何故生きているのか

それは、過去を生きて来たからだ


僕は過去が嫌いだ


思い出したくない


でも何で覚えているのだろう?

強烈に、鮮明に


だからこそ、目を背ける、耳をふさぐ

その姿勢が僕自身をがんじがらめにして

より一層忘れてしまいたい記憶を鮮明にさせる


もうこれしかない

逆転の発想でこの記憶をどっぷりと掘り返して


文章に書き起こして

もう一度過去の時間を過ごしてみよう


今なら当時は気づかなかった

事に気づけるかもしれない


僕は知っている

僕が産まれるずっとずっと前の事まで知ってる

親、親戚、様々な人から話を聞く

いや、聞かされた、が正しいかもしれない


そして僕はその記憶を整理してみる

塞いでいた耳を外して全部受け入れてみる


僕の人生は常に矛盾だらけだ

例を挙げたら千は超えるだろう

その中でも一番の矛盾は


【自分自信が嫌いだ、生きていたくない

自分自信が愛おしい、死にたくない】


その矛盾を取り払えれば僕は、

いい意味でも。悪い意味でも

次に進める

それには先ず過去の自分と真剣に向き合い

意味を考えて、理解し、許していかなくてはならない


僕は現在、過去、未来について深く考えてみた

そして気付いた、実は時間にすると

未来は、0秒で

現在は、1秒で

過去は、途方も無い時間

なんだ

1秒毎に過去となって蓄積していく


確かに大事なのは1秒しかない今だ

でも一番重要なのは過去なんだ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


読み始めて下さった皆様へ。

ありがとうございます!


果たしてこれは小説として成り立つのか

ジャンルは自伝なのか、コラムなのか、


自分でもよく分らないまま書き始めたのですが


皆様にどのようなモチベーションで読んでもらたいかといえば


興味本意で読んでもらいたいです


一人の男がどのように馬鹿になっていくのか

何故死にたいとか、馬鹿げたことをおもうのか

何故こんな人生でも生きたいと思うのか


理解出来ないが

自分の人生は幸せなのも!?


そんなモチベーションでお願いします


実は僕は〇〇会社の社長でした!とか

大物芸能人でした!などという

落ちがないことを

先に言っておきます


申し訳ございません!


では、次回から本編を書かせていただきます



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