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5頁 玩具―持ち物・兄編―
「おにいふぁん、なんふぁへーむもっへはい?」
今日も妹の鈴歌が僕の部屋に入って来た。
ノックなしなのはこの際不問としよう。
チョコバーを口にくわえながら何言っているかわからない様子がかわいいから。
「いい加減勝手に入ってくるのやめてくれ」
「ほへん」
ごめんと言ってるのだろうが、頬張ってる姿がかわいい。
いや、じゃなくて。
「それでなんの用?」
「おにいふぁん、なんふぁへーむもっへはい?」
「いや、まず口に物をくわえながら喋るのやめてくれ」
「……んぐ。お兄ちゃん、なんかゲーム持ってない?」
「ゲーム?」
「携帯ゲーム機でもテレビゲーム機でも」
「えっと、カラーなら」
確か押入の中に。
「カラー?」
「ゲームガールカラーだよ。知らない?昔流行ったんだよ」
「知らない」
「そっか」
「でもなんでガール?」
「大人の事情だよ」