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精霊のシジル  作者: 染料
六章
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第百二十四話 父と娘


 鈍い衝撃が体を突き抜ける度に狂った歓声が耳に流れ込んでくる。

 アルクゥは口の中に溜まった唾と血を吐き出し、緩慢な動きでフードの位置を直した。私刑が始まってどれほどの時間が過ぎたか、上下が曖昧になるほど転がされて様々な感覚が狂っている。

 熱狂は体力を消耗し長続きしない。それほど長い時間が、それこそ一時間も経ってはいないだろうが、連日の緊張で疲労が溜まっている筈の彼らが全力で叫び続けてまだ息切れしていないのが妙だ。敵方が何か細工しているのか。

 制裁を一手に請け負っているヘングストは大量の汗を流している。

 一縷の望みを掛けて言葉で揺さぶってみたが制裁から容赦を失わせるだけだった。切羽詰まった表情で踏んだり蹴ったり変わり映えのしない暴力を振るっている。

 しかしアルクゥの機能はどこも壊れていない。吐き気がするくらいの痛みも、泣きたくなるような軋みもある。それでも耐えられるのはどこも損なっていないからだ。ヴァルフを真似て身体に巡らせている魔力がアルクゥを守っていた。

 しかし下手な模倣は限界に近く、段々と傷や自分を誤魔化すのが難しくなってくる。

 公爵が馬鹿なことを言い始め、これは拙いと舌を噛み血を吐く演技をしたところでようやく男が観客から執行者に鞍替えをする気配を見せた。

 腹の底から笑いが込み上げそうになる。

 ようやくだ。

 ようやく噛み付ける。

 嵐の出口が見えたことに期待が膨らみ、止めを刺す瞬間を見逃さないように気を引き締めたときだった。


「顔をよく見ろ」


 忍耐の全てを白紙にする可能性を秘めた言葉が聞こえた。


 耳の奥で血の気が引いていく音がする。

 今になって何を言うつもりでいる。誰を生かすためにここまで耐えたと思っている。もう少しで敵を斃す機会が巡ってくるというのに。

 引き攣った呼吸が体内に大きく響き、段々と早くなる息が焦りを助長する。

 待ち望んだ報復が訪れるという期待がすべて恐怖に転じる。

 失敗が頭をよぎり、暴力にも罵声にも折れなかった心が急速に萎えて体に震えが走る。

 自分を拘束している観衆の一人がフードに手を掛けた感触に、アルクゥは反射的に大きく抗った。ハッとして男の方を見ると不機嫌そうだった顔に笑みが戻る。

 止めを刺す時期ではないと認識を改め、まだまだ甚振る楽しみが終わっていないことを喜ぶ表情だった。


「ケリュードラン様がそう言っているんだ。言われてみれば、罪人の顔すらよく見えていないのはよくないことだな。指揮官」


 男は公爵の言葉の意味を深く考えるよりもアルクゥが忌避する方を選択する。

 目の前に立つヘングストは酷く迷う様子でいたが、やがて諦めたようにフードを毟り落としてアルクゥの顔を恐々と覗き込んだ。

 緊張がアルクゥとヘングストの間で交わされる。

 しかしそれはしばらくすると困惑に変化した。ヘングストは意図を汲めずに公爵を振り返る。助かった。これは見るものが知らなければ、分からない類の暴露だ。

 しかし全く予期せぬ方向から亀裂は入る。


「奥方様に似ていないか?」


 特に声を張り上げているわけでもないのに、その言葉はこの場にいる者の耳に確実に届いた。

 音の類から魔術だと察して視線を走らせると、魔術師の象徴である外套を着ていないモーセスが、さも観衆の一人であるかのような顔で人垣の前付近にいた。素知らぬ顔で「似ている」と繰り返すと同意する者が出始め、最初にアルクゥを糾弾した男が成したことと同種の、しかし真逆の意味を持つ印象を植え付けていく。

 アルクゥは息を呑み、勢いを付けて視線を戻した。

 モーセスがどこで自分の出自を知ったのかはどうでもいい。楽しみを邪魔された男が公爵をどうするか、それだけが頭を占めている。

 男は依然公爵の首に短剣を当てたままだ。あの鋭い刃を横に引けばどうなるかアルクゥは良く知っている。血の噴き出す様から、目から光が失われていく瞬間まで余すところなく説明すらできる。

 首を掻き切られる公爵を想像することは簡単だった。

 心臓が大きく脈打ち、鼓動に合わせて視界がぶれる。

 殺されてしまう。

 目の前で。

 駄目押しするように公爵自身が言葉を発した。


「魔術師は名をアルクゥアトルという」


 その名前に港総出で喪に服した記憶は、観衆にとってまだ遠くないものなのだろう。狂った熱のなかに突如として投げ込まれた冷たい死者の存在に場は鼻白み沈黙する。そこに公爵の声はよく透った。


「私の娘だ」


 ずっと前に欲しかった言葉をすっかり諦めた今になって言われても、だからどうしたという思いしかない。自分の娘だから、何だ。それで助命が叶うとでも考えているのならば自惚れが過ぎる。ヘングストは驚愕の顔でアルクゥから後退り、腕を拘束していた者たちの手が一斉に離れはしたが、敵にとってはただ横槍を入れられた程度の暴露でしかない。

 しかし男は意外にも純粋な驚きを露わにしてアルクゥを見ていた。

 ――それほどまでにベルティオは部下を信用していなかったのか。

 零れ落ちそうな程見開かれた目からは、アルクゥに関しての情報までもがほとんど与えていなかったことが窺える。

 男自身もそのことに気付いているのか、それがどうしたと切って捨てることもできずに明らかに動揺した様子で叫んだ。


「き……貴様の娘はとっくの昔に死んでいる!」

「海魔がこの屋敷を襲った夜に貴様らが彼女を誘拐したせいでそうなった。いや、私のせいだな。知らないのか。お前はお前の主人から何も聞いていないのか?」


 男は空気が足りないように喘いでから絶句する。

 公爵は自身の生死を握る男の様子も気にせず静かに続けた。


「娘が誘拐された先は敵国、両国間の緊張が戦争に繋がる恐れがあった。ゆえにアトルには対外的に死んでもらった。私の、我々の、国の平穏の為に死んでもらった。我々は一度すでに彼女に救われている」


 家名の醜聞に繋がる話だ。死ぬまで黙秘すべきだったろうに。公爵は血を流し過ぎた青い顔で耳を傾ける人々を見回した。


「よく考えるがいい。彼女はもう国とも公爵家とも港とも何の関係もないのだ。危険を冒してまでここに来た理由はなんだ。よく考えてくれ。この男は彼女にどのような責任があるのか説明したか? この男こそ霧の元凶たる賊徒なのだぞ。ヘングストは港の為に良かれと思って取引に乗ったようだが、私には周囲を煽動し自らは手を出さず、一人の娘が虐げられる様を見て悦ぶような下劣な男が約束を守るとは思えない」


 公爵は人々に考えろと言い聞かせるように繰り返す。


「彼女が正門を破らんとする魔物に一人で立ち向かった姿を見ただろう。戻ってきた姿は無傷だったか? 一時の感情に惑わされ、真に抗すべき敵に惑わされ、お前たちはお前たちを助けにきた人間を殺すのか。それはもはや人ではない。恩義を知る獣にすら劣る畜生だ。お前たちは人の尊厳を捨てたのか。互いの顔を見てみるがいい。醜く歪んではいないか」


 人々の目に理性の光が戻ってくる様は、急速に波が収まっていく様子を想起させた。嵐が明けて凪いでいく海のようだ。

 それらを見届けた公爵は――ケリュードランは、妻が己のせいで消えたのだと知った時と同じ顔でアルクゥを見た。自責に絶望した表情だった。


「ここは愚か者の集まりだ。上に立つ私こそ最も愚かなのだから、どうか彼らは許してやってはくれまいか。ヘングストに信ずるに足る理由を問われた時、お前との会話が頭を過り答えられなかった。娘だと口にすらできなかった、浅ましくて腑抜けた、意気地のない人間だ。不要な苦痛を負わせてすまなかった。

 一度お前を捨てた人でなしを、よく助けようとしてくれた。だがもうよい。私は捨て置け。お前の母ももうおらぬ。もはやここを助ける理由はなかろう。母から授かった力で出来るだけ遠くに逃げるのだ。私はお前に何も残してやれなかったが、このような父から授かるものなどお前には荷物でしかないだろうから、かえって良かったのかもしれぬ」


 ケリュードランは深々と頭を下げる。


「すまなかった。……振り返らずに行け」


 アルクゥは何も答えられず目線を外した。蹴られ続けた体がとても痛いとだけ思った。

 もう誰もアルクゥに口汚い罵声を上げる者はいない。皆が皆、口を噤んで恥じ入った顔をしている。

 獣は恥じない。

 ――秩序が戻ってくる。

 男は呆気とした顔でゆっくりと周囲を見回している。

 狂乱は過ぎ去り、張りぼての玉座は実体を露わにする。敵を真っ先に糾弾した者として支持されていた男に残されたのは凍てつくほどの無数の眼差しだった。男がアルクゥに差し向けた排斥の空気が、今度は自分自身に返ってきたのだ。

 男は笑おうとして失敗したような奇妙な表情をする。次いでヘングストに親しげな眼差しを向けるが、地面を睨み付けて唇を噛むヘングストには視線もその意味も届かない。男は助けがないことに顔を真っ赤にし、半笑いの顔で喉をひくつかせ「ははは」と取り成すように笑ったが、誰も何の反応も返さないと分かると口の中でぶつぶつと何かを呟く。小さく首を横に振り、段々と動作が大きくなって、遂には髪を振り乱して唾を飛ばして怒鳴った。


「一人でも多く道連れに」


 言い切る前に、ケリュードランが体を反転させて男に飛び掛かった。

 瞬間全てが動き出す。

 加勢しようと動いた護衛たちの背後から女が飛び出してきて奇声を上げた。手には光さえ通さない真っ黒な瓶を持っている。一目見て何かを察したアルクゥは警告を発しようとし、襟首を容赦なく引かれたことで中断させられる。

 首が仰け反る。息を詰まらせながら逆さまに見たのは、アルクゥに最初に罵声を浴びせてきた中年の男だ。

 体を捩じって掴まれた外套を脱ぎ逃げる。擦れ違ったサタナに敵の処理を任せて走りながら叫んだ。


「瓶を割らせないで!」


 護衛に斬られた女が倒れながらにたりと笑った。

 手から滑り落ちた小瓶がゆっくりと地面に向かう。儚く硝子は砕け散る。

 そこから飛び出した黒い靄が近くに女を殺した護衛の一人に絡み付く。悲鳴を上げて振り払おうとした動作が終わり切らない内にどうと横倒しに倒れ、近くにいた避難民の足に移った。そこからは瞬く間に、腐肉に群がる蠅のように人から人へと移り勢力を広げていく。

 死霊――厄憑きだ。王都の広場で猛威を振るった不浄の死神。

 次々と倒れていく人間を見て場は一瞬で混乱した。悲鳴と怒声が飛び交い逃げ出す人々が入り乱れる。視界が人で塞がれてアルクゥはその中にケリュードランと男を探し出すことができない。

 どこだ。どこにいる。

 ふと腐臭を感じて飛び退く。前にいた女性が一瞬で真っ黒な人影に変わった。厄がどれだけの広がりを見せているのかもこの状況では分からない。

 このままでは収拾がつかない。アルクゥは手に炎の術式を浮かべありったけの魔力を込める。焼き払う速度が先か、厄が人を蝕むのが速いか。

 巻き込まれてくれるなと火を生成したとき、上空で何かが弾けた。

 見上げるよりも先に視界が黄金に塗り替わる。

 膨大な量の術式と膨大な魔力が一帯を黄金の光子が漂う空間へと変えた。

 疑似幽世、魔女ヒルデガルドの稀代の発明品だ。

 ただの死霊は光子の強さに負ける。拠点を襲った別種の厄であれば負けていたのはアルクゥたちだが、ここでもまたベルティオの部下に対する扱いが明暗を分けた。

 突然現れた光の世界に人々の足が止める。

 その中で唯一激しく揉み合っている一組を見付けたアルクゥは体の痛みも忘れ、人々を押し分けて走り出した。


 一歩一歩、随分と幼いころに見た記憶と重なる広い背中を目指す。


 アルクゥを見捨てたことも、母を苦しめたことも許さない。けれどこれが終われば、少し距離が近付いたように思える今であれば。二人で庭園に行き母を探すことだってできる。文句も言い足りない。ケリュードランがこれから長い間後悔しなければ、アルクゥも母も溜飲が下がらない。

 もう少しで指先が届く、その間際。

 ケリュードランの背中から赤鈍色の切っ先が音も立てずに突き出した。


 崩れ落ちた背中の先、勝ち誇った顔でそれを見下す男の顔が現れる。

 アルクゥは止まりかけた思考と足に唇を噛み、無理矢理前に踏み込む。伸ばした手の行先をその顔に変えて飛び掛かった。

 男の顔を掴んで勢いのまま押し倒し腹に跨る。

 背中を打ち付けて酷く咳き込む相手が落ち着くのを待たず、短剣の柄の底を顔面に振り下ろした。何度も鈍い感触が柄を通して手の平に伝わる。

 音と血が辺りに飛び散り、頬の返り血を拭ったときには、抵抗らしい抵抗はなくなっていた。


「とりあえずは、聞いておきます」

「あ……が……」


 原型を留めない顔に囁くとビクリと体が跳ねる。

 死ぬ覚悟はあっても痛みには慣れていないらしい。顔を手で覆い、泣きながら自分を守るように体を丸めようと弱々しくもがいている。


「霧を晴らすことが出来るというのは本当ですか?」

「……ほ、ほんとう」

「やって見せてください」


 何もしない男の大腿に短剣を突き刺し刃を回す。悲鳴が上がった。耳障りで仕方がない。


「方法は」


 男は腫れた口元から意味のない母音だけを漏らす。

 やはり嘘か。

 アルクゥは用済みになった男の喉仏に短剣を突き立てる。頸椎まで届いたのか、少し硬い感触がした。

 死亡を確認したアルクゥは死体に一瞥もくれず立ち上がる。

 ケリュードランの元に行こうと踵を返した正面にヘングストが佇んで茫然としていた。無視して横を通り抜けようとしたアルクゥの肩を砕ける程握り締める。


「これで……これで、霧はどうにもできなくなった。俺は、指揮官の責任を果たして……」


 アルクゥを責めるように言ったとき腹から剣が生えた。

 ヘングストは腹部に広がっていく血に目を見張り、剣が突き出て押さえることもできない傷口に両手で確かめるように触れる。そして驚いた顔のまま肩越しに振り返った。

 サタナはそれと視線を合わさずヘングスト越しにアルクゥに言う。


「急いでください」


 頷いて未だ肩にあった手を払い除けケリュードランの元に急ぐ。

 その場から立ち去る間際、聞こえたサタナの声は優しげだった。


「すぐに治療すれば生きられますよ。ですが自力では不可能だと思うので周りに助けを求めてみてはいかがでしょうか。いえ、私に手を伸ばされても困りますね。責任に酔って全員を殺し掛けた無能がこの先必要か否か、決めるのは私ではなく兵士と住民の方々ですから」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ケリュードランは、厄から逃れることのできた護衛に囲まれていた。

 魔術の心得がある者が、短剣を抜かないまま懸命に止血を施そうとしている。近寄ると各々が顔を上げ、大の男が悔しそうに涙を滲ませて口々に謝りアルクゥに場所を譲った。


「閣下」


 止血を引き継ぎ呼び掛ける。ケリュードランの目は虚ろだ。


「……お父様」


 薄く濁りかけた瞳がアルクゥを見た。

 微かに口の端を持ち上げたケリュードランはアルクゥに触れようとして、頬に触れる直前に力を失い届かず落ちる。それを受け止めると、虚ろな目でアルクゥを見詰めながら口の形で「すまなかった」と何度も聞いた謝罪をした。

 じきに命は尽きるだろう。

 アルクゥは喉を焼くような衝動を遣り過ごしケリュードランの手の甲に口付ける。そっと地面に下ろして正門前に留めておいたケルピーを呼び、後ろに佇むサタナに無茶を言った。


「もたせてください。私が戻るまで」


 無言で跪き場所を交代するサタナに頭を下げ、心配そうにこちらを窺う人垣を越えてきたケルピーの背に乗る。何を言わずともケルピーは高く跳び、庭園に向かって疾走した。



「ここで待って」


 道幅の狭い庭園内にはケルピーを連れていけず、入口に置いて自らの足で走った。

 今度こそ間に合わせなければならない。

 思い返せばすべての言葉に後悔が宿る。

 なぜ自分を罪を知り悔いを知った人に残忍なことを言ってしまったのか。ケリュードランが母をどれほど愛しているかアルクゥには分かっていたのに。

 生垣の作る小路を走り、彫像の影を覗き、とりどりの草花を揺らしてまた走る。

 いない。どこにも。

 息が切れる。見つからない焦りで探す視線は雑になり、二の足を踏んではまだ行っていない方向に走った。

 ケリュードランの下にあった大きな血だまりを思い出す。

 助からない。

 死んでしまえば言葉を交わすこともできない。重たい後悔を抱えさせたまま死なせたくない。

 ――どこにいる。


「リーネお母様!」


 大声を張り上げた。返事はない。もういないのかもしれない。アルクゥがケリュードランに吐き捨てた言葉の通りに。

 決して本心から望んだ言葉ではない。アルクゥのどうしようもない部分が、幼い部分がそうさせた。誰にだって謝る。

 だから、お願いだから。


 願ったとき、目の端に人影を捉えた。


 こちらに華奢な背を向けてベンチに座っている。

 息を止めたアルクゥの目の前で、ゆっくりと振り返る。

 誘拐される前の自分がこちらを見返したように錯覚した。それほどに母は以前と変わりない。母娘が瓜二つと称されていた時のままの顔で、泣きたくなるほどに甘く優しい声を上げた。


「まあ、アトルなの?」


 体重を感じさせない動きで立ち上がり傍に来る。そこに存在しないかのように足音はなかった。

 アルクゥの額に手を当て前髪を持ち上げ、よく顔を覗き込んでから笑みを深める。


「少し会わない内に背が伸びたのね。いつか追い越されてしまうとは思っていたけれど、貴女はあの人に似ているから。……アトル?」


 泣いているの? と首を傾げる母にアルクゥは首を振り、手を差し伸べた。母は不思議そうにしながらも迷うことなくその手を取る。


「戻りましょう。お父様が待っています」



 

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