母と子
優人の心境は複雑だった。人との交流を避けてきた優人。そんな優人の前に現れた異星人と名乗る2人
。護衛として、これから2人と暮らすことにはなったが、
サクラ「すごい・・・」
ザンティス「驚きました・・・・」
サクラとザンティスは優人の家の前に着いた。それは、とても学生が一人暮らししているとは思えな
い家だった。庭付き一戸建ての高級住宅であった。庭には花壇や芝生が広がっている。
優人「まあ、こうなっちまったらしゃーねー。さっさとあがれ。部屋は2階に俺の部屋込みで6部屋ある
から空いてる部屋好きに使え。」
サクラ「は~い♪」
ザンティス「よろしくお願いします。優人殿。」
優人「さて、じゃあ夕飯でも作るか。」
サクラ「橘君、そういえば料理上手なんだってね。」
優人「俊介から聞いたのか。まあ、任せときな。あ・・」
優人は自分が楽しそうに話してるのに気づいた。
優人(なにやってんだ・・・俺はもう・・・こんな感情は捨てるってあの日に誓ったのに・・・)
サクラ「・・・・・」
優人は手際よく料理を作り、皿に盛り付けた。
優人「定番すぎて何だが今日はカレーだ。」
サクラ「なんかいろいろ入れてたよね。」
優人「まあな、いろいろ自分で味に改良に改良を加えたものだ。」
サクラ「いただきま~す。」
ザンティス「いただきます。」
そして、
ザンティス「これは・・・・」
サクラ「美味しい♪」
ザンティス「地球の料理には美味しい料理が多いとは聞いてましたが、ここまでとは・・・」
優人「お前らの国には、料理はないのかよ・・・・・そんなのでうまいなんて・・・」
サクラ「え~すごくおいしいよ。橘印のカレーライス。」
優人「なんか、どっかのメーカーみたいになってるんだが・・・・」
ザンティス「確かに、我が国の料理にも美味しいものはいっぱいありますが、やはり異星の食べ物とい
うものは、珍しいのですよ。」
優人「そういうものか・・・・」
それから、いろいろな雑談をしつつ、食事を楽しんだ。といっても、話していたのはほとんどサクラ
とザンティスだったが。
優人「はあ・・・・」
夕飯の後かたずけを終え、風呂に入り、自室のベットに寝そべりながら優人は考えていた。優人自身
なぜこんなことになったのだろう。なぜ、サクラの申し出を受け入れたのだろうか。そんな疑問にめぐ
っていた。
優人「俺は・・・・」
人のぬくもりを絆を求めているのだろうか。わからない。そう思い、優人は眠りについた。
翌日の土曜日。
優人「なんで、こんなところに・・・・」
サクラ「へへへ♪いいじゃん♪デート、デート♪」
優人「何がデートだ!!!!」
ここは駅前。サクラは町でショッピングというごく地球人の年頃の女の子としてはごく普通のことを
してみたかったらしい。
優人「俺とじゃなくて、友達と行けよな!」
サクラ「だって~橘君は私の護衛でしょ?一緒にいなきゃだめじゃん。」
優人「ザンティスもいるだろ!!!」
サクラ「だって、ザンティスはおっさんだもん。」
優人「・・・・・」
そして・・・・数時間後。
サクラ「あ~楽しかった♪ねえねえ、次どこ行こうか?」
優人「いい加減にしろ!!!」
サクラ「え・・・・」
優人「なんなんだよ、お前は!!!!さんざん俺をひっぱりまわしやがって、護衛の事といいお前は何
がしたいんだ!!!」
サクラ「なにってそんなの決まってるじゃん。橘君と仲良くなりたいからだよ。」
優人「なんで俺がお前と・・・・俺はな!!!」
サクラ「もう、誰とも関わりたくないって?」
優人「え・・・」
サクラ「ちょっと話そうか。」
サクラと優人は2人でベンチで話した。
サクラ「あの時以来だね。ここでお話しするの。」
そうそれは、初めて優人とサクラが話をした公園のベンチだった。
優人「ああ、そうだな。」
サクラ「橘君にはあのとき、お父さんのお話はしたけど、私のお母さんのお話はしてなかったよね?」
優人「ああ・・・」
サクラ「私のお母さんは、敵国の暗殺者によって殺されたの。」
優人「え、じゃあ・・・おまえも?」
サクラ「うん・・・橘君と同じ・・・」
優人「そうか・・・」
サクラ「だからこそ、私は橘君には取り戻してほしいの。橘君が4年前に亡くしたものを!私は、そのきっかけをつくりたくて。橘君のお母さんだって・・・」
優人「だまれ!!!!お前になにがわかる!!!!母さんは俺のせいで死んだんだ・・・」
サクラ「嘘よ!!!」
優人「嘘じゃねー!!!俺があの時出かけなければ、母さんを助けれたかもしれない・・・・そうじゃ
ないとしても、一緒に殺されていたら・・・こんな悲しみを背負うこともなかったのに・・・」
サクラ「そんなの・・・そんな橘君の姿・・・お母さんが喜ぶわけない!!!絶対に!!!!」
優人「なぜお前がわかる?勝手なことばかり言いやがって!」
それから、サクラは何かを詠唱している。そして、
サクラ「今魔法でやってみてわかった。私の言ったことを裏付ける物が橘君の家の庭にある物置
にある」
その言葉に優人は唖然とした。
優人「なんで・・・そんなものが・・・」
サクラ「橘君、帰ろうか。その物を探しに。」
それから、優人、サクラ、ザンティスの3人で倉庫の中を捜した。
ザンティス「しかし、きれい好きの優人殿とは思えないくらいごちゃごちゃしてますな・・・」
優人「ああ、母さんがしんでから手つかずだったからな・・・」
サクラ「あった!絶対これ!!」
サクラが見つけたのは、一つの段ボールだった。中にはぎっしり何かが入ってる。
ザンティス「なんか、本みたいなものが入ってますね。」
サクラから箱を受け取ったザンティスが箱をもって言った。
優人「アルバムは母さんの部屋にあるし・・・なんなんだ・・・」
その段ボールをに持って家に入り、居間のテーブルの上に置き、3人は座った。
ザンティス「あ、我々はいないほうが・・・」
優人「いや、いろ。」
サクラ「いいの?」
優人「悪かったな。お前がせっかく見つけてくれたものだ。俺はたとえどんなことがあったとしても、
もう逃げたりしない。現実と向き合ってみせる。」
ザンティス「・・・・・」
優人は段ボールを開けた。そこにあったのは、数十冊のノートだった。
サクラ「ノートだね。」
優人「なあ、春日井。お前が先に見てくれないか・・・まだ決心がつかない・・・」
サクラ「・・・・・うん・・・わかった。」
サクラは一番上にあったノートを手にした。そして、そのノートを開いた。その瞬間
サクラ「!!!!!」
サクラはノートをすぐ閉じた。どうやらそのノートが何なのかすぐにわかったらしい。
優人「どうした?」
サクラ「だめ・・・これは橘君だけのもの。」
優人「え?」
サクラ「読んでみて。」
優人はうなずくと、段ボールに入ったノートを一冊手に取り、ページを開いた。
優人「これって・・・・」
そこに記されていたのは、優人のお母さんが書いた日記だった。
優人「19○○年、4月1日今日は優人の小学校の入学式だった。幼稚園でもやんちゃなことばかりしてた
からちょっと不安かな。でも、やっぱり素直にうれしい。優人、いっぱい友達できるといいね。」
日記を読みあげる優人。
優人「母さんの字だ・・・」
それから、優人は日記読み進める。
19○△年、今日は仕事でミスして、上司にすごく怒られた。へこんで帰ってきた私を笑顔で「おかえり
。」って言ってくれた優人。優人の笑顔をみたら、さっきまで落ち込んでたのも忘れちゃった。毎日優
人と一緒にご飯を食べたり、お話したりするのが本当に楽しい。よし、明日も頑張ろう!
19○△年、7月。蒸し暑い夏。優人がお友達を連れてきた。お母さんが夜遅くまで働いているそうで、一
緒にご飯を食べることになった。優人、いいお友達ができてよかったね。
19○□年、12月16日。もうすぐ、クリスマス。優人は何をプレゼントしてくれるのかな。楽しみ。優
人に楽しみにしててねっていわれた。私もクリスマスはごちそう作らないとね。でも、最近、優人の料
理のうでがどんどんあげっていって追い抜かされるかも・・・これからは、男も料理する時代だもんね
。あ、そういえば、風間君はお父さんとお母さんにマフラーを編んでるらしいわ。すごいね。でも、いじめっ子に邪魔されるとか・・・・優人は風間君を守るんだって。優人、友達思いに育ったね。お父さんに似たのかな。そういうところは。
優人が手に取ったのは、優人が小学生の頃の日記らしい。それから他の日記も読んでみた。そこには
優人が生まれてからほぼ毎日書かれていた。
優人「母さん・・・」
サクラ「橘君?」
優人「母さんは、本当に幸せだったのだろうか・・・女手一つで俺を育てて、きっといろいろなものを
犠牲にしてきたはずだ・・・それは・・・」
ザンティス「・・・・(優人殿を苦しめていた本当の理由は、自分の存在に対する自己嫌悪だったのか
もしれない。自分がいたから、母は苦しみ、恋人も死んだのかと・・・そんな極度の被害妄想がすべて
の原因なのかもしれない。しかし・・・まさか・・・・)
下をむいてる優人に対して、サクラは言った。
サクラ「これ、私が最初に読んでしまった日記の最期のページ。」
19○▽年7月7日。それは、紛れもなく優人のお母さんの命日だった。
そのノートには、ただ一言こう書かれていた。
優人、生まれてきてくれてありがとう。
優人「はあ・・・ああ・・・」
優人は自分の恋人の葬式のときから涙を流さなかった。ずっと、ずっと。そして今、
優人「どうして・・・・どうしてなんだよ・・・どうして、最後の最後にそんなことを・・・そんな言
葉を・・・・・」
サクラ「お母さんってすごいですよね。」
優人「え」
サクラ「橘君の幸せは自分の幸せ。そう思えるのが、母親であり、家族なんです。だから、橘君も・・
自分の・・・幸せを・・・」
サクラは言葉を続けられなかった。
優人「なんで、お前が泣いてるんだよ。」
サクラ「すいません・・・なんか・・・」
そこで優人はサクラにハンカチを渡して
優人「ありがとな。」
サクラ「はい。」
サクラは涙を眼にためたままにっこりと笑った。
優人「な・・・」
優人は顔を少し紅くして顔をそむけた。