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思い出のクリスマス

 今から8年前。橘優人、風間俊介が小学校4年生の頃の話。

優人「おい、俊介!いつまで泣いてるんだよ。さっさと帰るぞ!!!」

俊介「・・・・・・」

 まだ俊介は泣いている。

優人「お前もう4年生だろ!泣くなよ!」

俊介「うん・・・・」

優人「たく、お前反撃しないから一方的にやられるんだよ。ちっとは反撃しろよな。」

俊介「だって・・・優人君がやられてだまってないでやり返せよ!それが無理なら先生にちくってやれっていったから・・・」

優人「だから、加勢してやっただろ。」

当時の風間俊介は、内気な性格からクラスの男子生徒にいじめられていた。いつもは無抵抗にやられる俊介であったが、優人の助言で先生に話すことができた。しかし、

いじめっ子A「おい、橘!!!さっきはよくもやってくれたな!!!」

 先生にちくられたことで俊介はいじめっ子5人に一方的にやられていたのだが、優人によっていじめっ子は全員ボコボコにされたのだった。

優人「あーあ。上級生連れてきやがった。」

俊介「優人君・・・逃げようよ・・・・」

 6年生4人、5年生6人もいる。

優人「どうやって、これだけの人数集めたんだろうな。」

 優人はびっくりしたように言った。

上級生「やっちまえー!!!!」

 上級生といじめっ子の計15人が優人に襲いかかる。


 そして・・・・

優人「ちぇ、口の中きっちまったじゃねーか・・・」

俊介「いや・・・上級生10人がかかりで口しか切ってないほうが異常だよ・・・・・」

 優人によって、失神してる上級生8人、クラスメイト3名。逃亡者2名。失神はしてないものの、立てずにもがいてる上級生2名。

優人「そっか?普通だろ?ほら・・・俊介先生来る前にさっさと帰るぞ!!!あと、帰り道に駄菓子屋でも寄ってなんかおごれよ!」

俊介「突っ込むとこが多すぎて・・・何から言ったらいいのか・・・」

 さっきまで泣いていた俊介は冷静に突っ込み側にまわろうとしていた。

優人「ほら!さっさと行くぞ!!!」

俊介「駄菓子屋いっても何もおごらないよ!」

優人「ケチ・・・・命の恩人に対して・・・」

俊介「いや、大げさだって・・・・」

優人「ちぇ・・・」

俊介「あ、そういえば今日お母さんがケーキ焼くって言ってたから。」

優人「よし、行くぞ」

俊介「ははは、僕のお母さんのケーキ、優人君好きだもんね。」

優人「ああ、そのためにお前を助けたからな。」

俊介「ちょ!!!」

優人「よし、行くぞ!!!ケーキ♪ケーキ♪」

 優人は俊介の肩に手をまわして、優人と俊介は肩を組みながら帰っていったのだった。



 時は戻って現在。

サクラ「へー。昔はもうちょっと親しみやすかったんですね。優人君。」

純子「てか、上級生10人を失神させたとか・・・・」

俊介「うん。でも、すごく優しい人だよ。名前のとおりね。」

純子「今の姿からは全く想像できないんだけど・・・・」

俊介「僕もそのころはそこまで優人君のこと好きだったわけじゃないよ。」

サクラ「そうなんですか?」

俊介「確かに、僕らはよく一緒にいたよ。ただ、その時はただ一緒にいるって感じだった。でも、ある出来事がきっかけで僕らは仲良くなったんだ。」


 時は2人が小学4年生の冬。クリスマスまであと1週間というところか。

優人「おい、俊介。何してんだ?」

俊介「編み物。」

優人「男が編み物かよ。」

俊介「ハハハ・・・似合わないよね・・・」

優人「なんでそんなもんやってんだ?」

俊介「実はクリスマスイブにお父さんが帰ってくるんだ。」

優人「ああ、そういえば、お前の父さん仕事で外国いってるんだったよな。」

俊介「そうなんだ!これからは、日本にずっといるんだよ!」

優人「へー。よかったじゃないか。(いつもおとないしいこいつがこんなにはしゃいでるとはな)」

俊介「でね、これからお父さんお仕事行く時、きっと寒いと思って。この間まではすごく暑いとこいってたから。だから、マフラーと手袋を編んであげようと思って・・・・・」

優人「?」

俊介「やっぱり・・・気持ち悪いよね・・・男が編み物なんて・・・」

優人「何言ってんだよ。」

俊介「?」

優人「そりゃあ、ぶっちゃけ変だよ。でも、それはお前の父さんにとってきっと最高のプレゼントになるのは間違いない。だから、必ず完成させろ!いいな!」

俊介「・・・うん!がんばるよ!」

優人「・・・・お前の邪魔してくる奴がいたら、俺がぶっとばしてやるからさ・・・だから、安心して作業してていいぞ。」

俊介「あ、ありがとう。」


 それから、俊介は一生懸命にマフラーと手袋を作った。何度か邪魔ははいったが、優人がいつも守ってくれた。優人は俊介をずっと励まし応援していた。そしてクリスマスイブ当日。

放課後。学校の教室で

俊介「できたー!」

優人「しかし、お前すげーな・・・・まさか2人分のマフラーと手袋作るとは・・・」

俊介「ハハハ・・・一度コツつかめばなんとかできるよ。ぎりぎりだったけど。」

 俊介はお父さんの分だけでなくお母さんの分も作っていたのだ。

優人「お前を生まれて初めてすごいと思ったよ。」

俊介「そういうことは思っててもいわないでよ・・・・」

優人「ハハハ。よし。さっさと帰ろうぜ。しかし、寒いなー・・雪降りそうだな。」

俊介「そうだね・・・・・」

優人「俊介。顔にやけてるぜ。」

俊介「そりゃうれしいよ。でも、小学校にはいってからお父さんずっと海外出張で・・・誕生日も運動会もクリスマスもお正月も・・・お父さんいなかったから・・・だから、久しぶりにお父さんに会えてうれしいんだ。」

優人「・・・・・」

俊介「あ、ごめん・・・優人君・・・お父さん・・・」

優人「え、ああ、気にするなよ。俺は顔も知らないし、最初からいないからさみしいも何もないよ。それに、母さんがいるからな。さみしくなんかないよ。」

俊介「そっか・・・優人君強いね。やっぱり。」

優人「違うよ。母さんが俺の事すごく大切にしてくれてるから・・・だから、さみしくないだけだ・・・母さんがいなくなったら、って考えただけでぞっとするよ・・・」

俊介「優人くんはお母さんにプレゼントしないの?」

優人「え?言ってなかったか?おばさんに頼んでキッチン借りるって。」

俊介「え?」

優人「お前みたいにマフラー作れないからな・・・材料買って俺の家にもってくんだ。びっくりさせようと思ってね。母さんは母さんでなんか作ってるだろうし。」

俊介「優人君、料理作れるの?」

優人「いつも俺が作ってるよ。母さん仕事で疲れてるし。」

俊介「すごいね。」

優人「よし、行こうぜ。あ、トイレ行ってくる。」

俊介「あ、じゃあ、ここで帰り支度して待ってるよ。」

優人「おお!すぐすませてくる。」

優人を待っているときに、

俊介「さて、帰る準備するかな。」

いじめっ子A「おい、帰るには早くないか?」

俊介「!!!」

いじめっ子B「そうだよ。お前のせいで最近先生に怒られてばっかだよ。」

俊介「自分たちがいけないんじゃないか!」

いじめっ子C「うるせー!!!」

いじめっ子D「お前、前までは俺達のいいなりだったよな。」

いじめっ子E「友達のいないお前なんかに仲良くしてやった恩を忘れたなんていうなよな。」

俊介「何が友達だ!僕にさんざんひどいことしておいて、もうお前らなんかの言うことなんか聞かないぞ!」

いじめっ子A「おい、橘に守ってもらえるからってえらそうにすんなよ。風間のくせに」

 確かに俊介にとって優人がいることはとても心強かった。しかし、

いじめっ子B「残念だけど、あいつは助けに来ないよ!」

俊介「え・・・」

いじめっ子C「上級生がトイレで待ち伏せてたからな。前より多い人数で。」

いじめっ子D「お前を助けに来るやつはいない。さあ、どうする?」

 笑いながら俊介をみるいじめっ子たち。しかし、俊介は逃げなかった。

いじめっ子E「は?何だ。」

俊介「僕は逃げない。そして、お前らを許さない・・・」

いじめっ子D「何?」

俊介「僕はお前らは倒して・・・優人君を助けるんだ!!!!」

 俊介は5人に殴りかかった。殴られたり、蹴られたり、それでも立ち上がって反撃した。ただ、友達を助けるために。しかし、

いじめっ子B「ちぇ・・・風間にしてはやるな・・・」

俊介「かなわなかった・・・・無理だった・・・くそー」

いじめっ子A「おい、こいつ手作りのマフラーなんか編んでるぜ。」

いじめっ子C「女々しい風間らしいな。ハハハ。」

一斉に笑いだす。

俊介(くそー・・・取り返さなきゃ・・・・お父さんとお母さんのマフラー・・・・)

 俊介はいうことをきかない体を震え上がらせようとするが、いじめっ子のひとりに頭を踏みつけられていて立てない。

俊介「返せ!それは、お父さんとお母さんにプレゼントするんだ!!!」

いじめっ子D「いいこと聞いたぞ!おい!これどっかに捨てにいこうぜ!」

いじめっ子B「ああ、俺達に逆らった罰だ。」

俊介「くそー・・・」

優人「その手を離せ!!!お前ら!!!」

いじめっ子A「橘!!!!!」

いじめっ子E「馬鹿な!!!!どうやって・・・」

優人「3人くらい増えたって俺の敵じゃないんだよ・・・お前らは・・・俺を本気で怒らせたみたいだな・・・」

 優人はいつになくキレていた。

いじめっ子C「やっちまえ!!」

 一斉に襲いかかるが・・・・・・

優人「・・・・」

いじめっ子A「くそー・・・つえー・・・・ぎゃああ!!!」

 優人はおもいっきり腹にかかとおとしをくらわす。

優人「お前らにわかるか・・・こいつの気持ちを・・・お父さんは外国で仕事、お母さんは夜までずっ働いてる。学校でも、こいつはずっとおまえらのせいでひとりぼっちだ・・・そんな気持ちがお前らにわかるか!」

そうやって、もう一人のいじめっ子をもう一回殴りつける。

優人「しかもおまえらは、こいつの努力を・・・こいつの思いを・・・・」

俊介「優人君・・・・(そうだ。優人君が僕に話しかけてきたのは、ちょうど、僕のお父さんが外国行って、お母さんが夜遅くまでパートで働き始めた時だ・・・そうあの時・・・・)


優人「ねえ・・風間君」

俊介「え・・・な、何?」

優人「僕の家おいでよ!ご飯僕の家で食べようよ!」

俊介「え?あ、あの・・・」

優人「ほら、行くよ!」

 そうやって、僕の手を無理やりとり、無理やり自分の家に連れていくのだった。

優人「お母さん・・・」

優人の母「おかえり。あら、お友達。」

優人「そう、前話してた風間君。」

俊介「お、おじゃまします。」

優人の母「いらっしゃい。ゆっくりしてってね。」

そう笑顔でいうのだった。

優人「こいつのお母さん、夜遅くまで働いてるんだ。」

優人の母「あら、お母さん大変ね。じゃあ、ご飯は?」

俊介「今日はお弁当屋さんでご飯食べようと思ってましたけど・・・優人君が・・」

優人「なら、一緒にご飯食べようと思って・・・お母さん、いいでしょ?」

優人の母「私はいいけど、帰ってきて風間君がいなかったらお母さん心配するからな・・・お母さんの携帯電話の番号わかる?」

風間「はい。」

 僕の母の携帯に優人君のお母さんが電話することになった。

優人の母「お母さんの了承は得たから、ご飯食べていきなさい。あと、お風呂も。優人のパジャマで大丈夫そうね。風間君のお母さん、仕事終わったら迎えに来てくださるそうよ。じゃあ、大急ぎで夕飯の材料買ってくるから2人で留守番しててね。」

優人「はいよ!風間君ゲームしよ!」

俊介「うん。いいよ。」

 その日はほんとに楽しかった。いつも、一人ぼっちでさみしかった僕に優人君とおばさんはとてもやさしくしてくれた。優人君はきっと、さみしい思いをしてる僕の事がほっとけなかったんだ。父親がいない・・・優人君はそう言ってるけど、父親のいなくてさみしい思いをしてないわけはないんだ。そんな、やさいしい優人君の事が好きだから僕は・・・・・


俊介「おおおおおおおおお!」

いじめっ子をおもいっきりぶんなぐる俊介。

優人「俊介やるな。」

俊介「へへへ。じゃあ、わからせてやろうよ。これから僕らに逆らうとどうなるかを・・・」

優人「お前・・・キャラまで変わってるぞ・・・・・」

 そして、そこからいじめっ子と僕らの大喧嘩が始まった。いつもの優人ひとりじゃない。優人には、もう一人の存在がとても大きかった。

 しかし、派手にやりすぎたため・・・・先生に怒られてしまった。


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