同じ思い
翌日。学校の教室にて、
サクラ「おはよ。優人君!」
優人「・・・・・(またかよ。)」
サクラ「昨日、ザンティスから聞いたよ。私のお友達になってくれるって言う話。」
優人「んなこといってないのだが・・・(あのやろう・・・)」
サクラ「え?違うの?」
優人「ちげーよ。なんでお前と・・・」
そのとき、サクラの目が涙目になりかけていた。そして、
男子生徒A「お前、サクラちゃん泣かせてんじゃねーよ」
女生徒A「さいてー」
なんやら、がやがやと集まってきた。
優人「めんどくせーな。」
その瞬間、
男「おい、お前ら席につけ。もうすぐHR始まるぞ!!」
男子生徒B「でも、風間こいつ・・・」
風間「いいから早く席につけ!」
結局集まった連中はみんな席に着いた。優人は不愉快に思ったのか一時間目は姿を消した。2時間目からは授業にでていたが。ちなみに彼の名は風間俊介。このクラスのクラス委員長だ。優等生ぽいメガネをかけているが、スポーツ刈りでがたいもしっかりしている。野球部のキャプテンでもある。
サクラが優人に相手にされずいて、へこんでいると、
女「何?もしかして、ふられたの?」
サクラ「へ・・・・」
女「あいつ、女の子泣かすなんて・・・・」
サクラ「いや、そういう意味じゃないんだけど・・・」
女「あ、私笠井純子。よろしくね。」
この笠井純子は背はサクラとほぼ同じ背丈(150センチ中盤)ほどで、かなりの美人である。それでいて、気が強そうなオーラを放っている。
サクラ「あ、よろしくです。笠井さん。」
純子「純でいいよ。純で。」
サクラ「じゃあ、純さん。」
純子「そうきたか・・・・かたいよ~純でいいってば。」
サクラ「そうですか。じゃあ、純ちゃんでいいかな。」
純子「そうそう。私もサクラって呼ぶから。」
サクラ「純ちゃんもやっぱり、優人君と仲良くするなとかいうの?」
純子「別に?私はそうは思わないよ。てか、なんで友達を作るのに他人に束縛されるのよ。ばかばかしい。私はあいつとそこまで接点ないし、今までクラスも違ったから会うこともなかっただけ。あいつのこと気に入ったならそれでいいじゃん。」
当たり前という感じで、純子はさらっといった。
サクラ「純ちゃんって、意外とやさしいんですね。」
にっこりとサクラは言うと、
純子「意外はよけいなんだけどな・・・・」
という感じで、2人は意気投合していくのであった。
昼休み。前日こそ、転校生ということもあってサクラに寄ってくる生徒がいっぱいいたのだが、橘優人とかかわりを持とうとした故か、純子を除くクラスメイトはよりつかなくなった。無論、そんなのおかまいなしに優人と話しかけようとするサクラに優人はシカトをきめこんでいる。
純子「サクラあんたもあきないね。」
サクラ「うん。でも、なかなか話しかけてくれないからね。」
純子「サクラはなんであいつと仲良くなりたいの?」
サクラは昨日の事を話した。
純子「そっか。なるほどね。」
サクラ「だってね。私あんな悲しい目をしてる人初めて見たの。すごくつらそうで、でもどうしようもない見たいな感じで・・・だから、助けてあげたいなって思って。」
純子「そっか・・・まあ、がんばんなよ。」
そして放課後。
サクラ「純ちゃん!一緒に帰ろうよ。」
純子「あ、ごめん!先帰ってて。ちょっと用事が・・・」
サクラ「そっか・・・・それじゃあ、仕方ないね。」
純子「ほんとごめんね・・・明日は一緒に変えろ!」
サクラ「うん。じゃあ、またね。」
サクラはにっこりとして、こたえた。純子が教室から出ていく、そのとき
風間「春日井さん。」
委員長の風間がサクラに話しかけた。
サクラ「はい?」
風間「少しいいかな?君に用があるんだ。」
サクラ「なんですか?別に用事はないですけど・・・」
風間「君と話がしたい。今から15分後に生徒相談室に来てくれ。」
生徒相談室とは、よく生徒の相談をきくカウンセラー達がいるところである。しかし、この日はカウンセラーの人が休んでいたため空き教室となっていた。
風間「使用の許可はとってある。来てくれるかな?」
サクラ「別にいいですけど。」
風間「ありがとうございす。もしかしたら長くなるかもしれませんが・・・」
サクラ「いえ、別に用事もないですし、とても大事なことなのでしょう?」
サクラは風間の表情が真剣そのものだったからである。
風間「ありがとうございます。では、待ってます。」
真面目な表情を崩さずさっさと出て行った。
そして、15分後の生徒相談室。
風間「待っていましたよ。安心してください。ここの使用許可はとってあります。ちょっと話ずらい話でして」
サクラ「はい。」
風間「単刀直入にいうと、橘優人の事です。」
サクラは確信した。風間は不良で有名な橘優人に近づくなと委員長自ら警告するために自分を呼んだのだと。
風間「君は彼と仲良くなりたいと言っていたようだが・・・・」
サクラ「そんな話ならしたくありません。さよなら。」
さすがのサクラも怒りをあらわにした。風間の話を最後まで聞かずに踵を返して帰ろうとしたその時、
純子「お、サクラ。もう来てたんだ。」
サクラ「純ちゃん?」
純子「俊介。どこまで話した?」
風間「まだだよ。」
サクラ「どういうこと?純ちゃん・・・」
純子「え?ああ、私の彼氏。」
風間「まあね。」
サクラ「そんな・・・・純ちゃん・・・純ちゃん言ったよね?友達を作るのに他人に束縛されるなんておかしいって・・あれはうそだったの。」
純子「え?いや、サクラ?」
サクラ「みんなおかしいよ!!!だって、優人君何もしてないじゃん。ほんとはやさしい人かもしれないよ。現に私は少し話してみて、とても心が温かい人だと思ったよ!!!少しの誤解や噂で人を決めつけて、のけもにするなんて・・・絶対におかしいよ!!!!」
涙がほほから零れ落ちて、サクラは叫んだ。どうせこの人たちには、鼻で笑われるのかと思った。しかし、笑うには笑われたが、鼻では笑われなかった。
純子「サクラ~あんたすごいいこじゃん・・・やっぱ私の目に狂いはなかったよ・・・」
そういってサクラの涙をぬぐった。そして、頭をなでながら抱きつく。サクラは、頭の中がクエッションマークでいっぱいになる。そして、
風間「ハハハ。なんか、誤解させちゃったみたいだね。」
さっきの真剣な表情ではなく、さわやかな笑顔でそう言った。
サクラ「へ?」
純子「あんたが、紛らわしい言い方したからでしょ!!!あとで、クレープわたしたちにおごりね!!!!」
風間「なんで、純子まで・・・・」
純子「私の友達泣かしたからね!!!」
風間「・・・・・」
さらに?がふえるサクラ。
サクラ「あの~どういう・・・・」
風間「ああ、ごめん。話っていうのは君の最初に想像してたことと逆の事なんだ。」
サクラ「え?」
風間「優人君がクラスに溶け込むのを手伝ってほしいんだ。」
サクラ「え?」
風間「知っているよ。彼がどれだけ心の優しい人かってことを。」
サクラ「え。」
純子「俊介はね。橘君の幼馴染なの。」
サクラ「え・・・・えええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
風間「まあ、昔から喧嘩ばっかなのと、口が悪いのは変わってないんだけどね。」
笑いながら風間は言った。
サクラ「でも、よかったです。私と同じ気持ちの人がいて。」
風間「僕は今こそクラス委員長であり、野球部のキャプテンもやらせてもらってるけど、昔はただのいじめられっ子だったよ。」
サクラ「そうなんですか!!!」
純子「信じられないよね。」
風間「そんなとき、なんやかんやいって助けてくれたのが優人君だったんだ。まあ、たまにいじわるもしてきたけど。」
サクラ「そうなんですか。」
風間「なつかしいな。あの頃は。」
それから風間はサクラ達に昔話を聞かせるのであった。