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戦いの意味

優人「私たちがいけない?」

サクラ「うん。だって、私のお父さんがバルガ王国に対して反乱してガイア帝国ってのを作ってから、争いが激しくなったのは事実。多くの血が流れたわ。それってやっぱり、私たちのせいってことでしょ?」

優人「そうだろうな。」

サクラ「はっきりいうんだね・・・・橘君。」

優人「ああ、だってそうだろ。それが間違ってるかどうかなんてお前らがきめる事じゃないだろ?」

サクラ「どういうこと?」

優人「あんたも地球や日本の歴史について勉強したなら知ってるだろうが、この星にもいっぱいの争いや戦争があった。」

サクラ「そうだね。日本で言うと戦国時代かな。まさにそんな感じ・・・」

優人「だろ。しかし、それが正しかったのか、それとも間違っていたのか。どっちだと思う?」

サクラ「それは戦争はよくないよ。多くの血が流れて・・・でも、結果的には、誰かが勝つことによって、戦争はなくなったとは思うけど・・・あ・・」

優人「戦争は確かにおろかな事だ。しかし、そういった厳しい時代に生きてきた人々の行動が未来の俺たちを導いてるんだ。つまり、お前の考えてる事は結果的なものでしかない。そんなもの、今を生きる俺たちに分かるわけないんだ。」

サクラ「うん。」

優人「でも、俺はお前の親父さんのやっていることは無駄ではないと思うぞ。少なくても、誰かのためにはなっているからな。」

サクラ「そうかな。」

優人「お前はお前の信じる道を行けばいいんだよ。それでいいじゃないか。」

サクラ「そうだね。お父さんは、戦いの嫌いな私のために地球に行ってきなさいって。いってくれたの。お前が高校を卒業するころには、戦いのない星になってるからって。」

優人「へー。いい親父さんじゃん。でも、お前の国に敵対してる国の奴らがここに来ることはないのか?」

サクラ「そのための護衛はいるんだけど・・・・・」

優人「いるけど?」

サクラ「ちょっと前の戦いで怪我をして、あと2ヶ月は魔法を使えないんだよね・・・・」

優人「おいおいおい・・・」

サクラ「まあ、一応地球の周りの衛星付近に防衛線があるから、それを突破しない限り、地球に敵が来る事はないけど。」

優人「突破される事は?」

サクラ「ほとんどないよ。まあ、今は休養も込みで一緒に滞在して、普通に生活してるよ。」

 そんなこんなで結構な時間、優人はサクラと話をしていた。ここまで、人と話をしたのは果たして何年ぶりのことなのだろうか。誰とも関わらないと5年前に誓ったのに。しかし、どこかなつかしい気持ちになった優人であった。


 近くのスーパーで、夕食の材料を買い、帰路につく。学校から約2キロの道のりに橘優人の自宅があった。誰が待っているというわけではない。庭付き一戸建てのなかなかの家ではある。しかし、すんでいるのは優人だけであった。

優人「あれから5年か・・・・早いもんだな。」

 そんな風に思いながら優人は再び歩き出す。そして、自分の家に帰る。悲しみに満ちたあの家へ。家まであと数メートルというところにさしかかったその時、

男「貴様ら!」

黒服の男A「さて、そろそろはいてもらおうか。ガイア帝国皇女の居場所を。」

 その時、優人はおもいっきりずっこけた。

優人(いきなり、突破されてるじゃねーか!!!)

男「誰が貴様らなんかに!」

 そこにいたのは、横幅に大きい体つきの黒服の男二人と、20代前半くらいの若い男がいた。

黒服の男B「しかし、帝国にザンティスありといわれたお前が下等な地球人の真似事とはな。」

ザンティス「下等だと・・・」

黒服の男A「ああ、魔法も使えない下等な奴らだ。そんな人種をかばうなんてお前らガイア帝国は変わってるよな。」

 今の会話ではっきりとわかった。このザンティスとかいう男がサクラの護衛の奴で、そして2人がその敵ってことが。

ザンティス「彼らは下等な人種なんかじゃない!!!少なくてもお前らほどではな。」

黒服の男B「よくほざくぜ。魔法の使えない野郎がな。」

 その時、

優人「さがってな。」

 優人はザンティスの前に出て、黒服の男たちの前に出た。

ザンティス「き、君どきなさい。」

優人「話はあんたんとこのお姫様から聞いてるよ。さすがに地球人を馬鹿にするとは黙ってられねーよ。」

ザンティス「し、しかし。」

優人「怪我してんだろ。ま、任せとけって。」

黒服の男A「おい、地球人。命が惜しかったら家に帰ったほうがいいぞ!」

黒服の男B「ああ、地球人が俺たちに勝てるわけないからな!」

優人「はー地球人、地球人ってうぜーな。誰だろうと関係ない。かかってこいよ、家畜ども」

黒服の男A「な、なに~」

黒服の男B「家畜だと~」

 怒り心頭に向かってくる黒服の男たち。

黒服の男A「くらえ、ファイヤ・・」

 魔法を詠唱しようとしたそのときに、すでに優人は間合いに入っていた。その瞬間に渾身の左ストレートが決まる。そして、黒服の男Aは後ろによろめく。

優人「どうした?うたないのか?ファイヤーなんちゃらってやつは。」

黒服の男B「このやろう。よくも!」

 その時にもう一人の男が優人を魔法でねらっていたが、

ザンティス「させるか!!!」

 すかさず、ザンティスが黒服の男Bに体当たりをくらわし、いきおいよく突き飛ばされる。すかさず、ザンティスは優人のもとにいき、背中合わせの状態で黒服の男たちと向かい合う。

ザンティス「無茶をしないでください!」

優人「武器も何も持たずに体当たりしてるやつに言われてもな」微笑をうかべながら優人はいった。

ザンティス「しかし、」

優人「こうなった以上」

ザンティス「やるしかない!!!」

優人「やるしかねー!!!」


 結局、2人の黒服の男は優人とザンティスによって葬られた。

優人「いや、殺してねーし!」

ザンティス「誰に突っ込んでるんですか・・・・」

優人「うるせー!」

 ちなみに黒服の男たちはザンティスが拘束し、どこからか部下らしき男たちによってサイコティス星に連行されていった。

ザンティス「しかし、なんて無茶を・・・魔力をもつものに向かってくるなんて」

優人「あんたも、結局魔法使ってねーだろ。」

ザンティス「私はこれでも・・・」

 何かを言おうとして、黙るが

優人「気にするな。事情はだいたいは知ってるからな。」


ザンティス「そうですか。サクラ様のクラスメイトの方でしたか。」

優人「まあな。」

ザンティス「いやーよかったですよ。サクラ様も転校初日にしてもうお友達ができるなんて。」

優人「別に友達ってわけじゃ・・・・」

ザンティス「これからも、サクラ様と仲良くしてくださいね」

優人「護衛や家来でっていうより完全な父兄だな。」

 若干呆れ気味の優人だが、ザンティスという男はニコニコしている。年は25、6といったところだろうか。背は優人より少し高い。

優人「あんたいつからサクラの護衛やってるんだ?」

ザンティス「私が12のときですからね。もう12年になりますね。」

優人「12ってそんなときから軍人やってるのか。」

ザンティス「まあ。といっても、そのころは軍人というよりはサクラ様たちの遊び相手というかんじでしたが。」

優人「へー。しかし、あいつ全然皇女に見えねーな。」

ザンティス「ハハハ。まあ、そういう堅苦しいのが嫌いな人ですからね。」

優人「あんたも軽いよな。てっきり、姫様とかいってるだけですが。」

ザンティス「まあ、国の雰囲気もゆるいですからね。皇帝陛下なんて下町で駄菓子ねぎってますよ。」

優人「おいおい・・・」

ザンティス「まあ、そんな感じですよ。だから、サクラ様のことも普通のご友人と同じように扱ってください。サクラ様もそれを望んでますから」

優人「俺に友人はいないんだよ。そんなもんいない。それにいらねーよ。」

ザンティス「なぜです?」

優人「別に・・・ほしいと思わない。それだけだ。」

ザンティス「・・・・(この少年、なんて悲しい目をしてるんだ)」

優人「なあ、一つ聞いてもいいか?」

ザンティス「はい?」

優人「あんたは、宿命とか運命とかを信じるか?」

ザンティス「信じてますよ。」

優人「それって打ち破れるものなのか。それとも・・・」

ザンティス「確かに宿命を打ち破ることはできないでしょう。」

優人「そうか・・・じゃあ、あんたはどうするんだ。」

ザンティス「宿命の旅路という名の人生を楽しむだけです。」

優人「そっか。俺には無理だよな・・・ほんと」


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