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第8話 魔女と魔王



森は静かだった。


さっきまで戦闘があったとは思えない。


聖騎士は逃げた。


少女はまだイグニスを見ている。


赤い髪が風に揺れる。


警戒している。


「……」


ビーグルが尻尾を振る。


「ワン」


ローザは少し身構えた。


「ちょっと、近い」


ビーグルはローザの周りをくるくる回る。


「……落ち着きなさい」


ローザは呆れながらしゃがんだ。


ビーグルは嬉しそうに尻尾を振る。


「……犬なのに」


「人懐っこすぎでしょ」


そういう少女の顔は優しい。


その様子を見て


イグニスが言う。


「で」


「お前の名前は?」


少女が顔を上げる。


エメラルドを思わせる瞳は、


不機嫌そうに細められている。


綺麗だ。


……思わずそう思った。


「お前?」


「ああ─、お前の名前は?」


人間なんだ。


名前はあるだろう。


「お前っていうのは納得できないけど」


「思ったより礼儀はわかってるみたいね。」


少し偉そうな話し方だな。


まぁ、似合ってはいるが…。


「私はローザ」


「魔女ローザ・カメラササンカよ」


胸に手を当てて、


誇らしくローザは挨拶した。


その名前には、誇りが込められていた。


「魔女!?」


ハークが目を輝かせて言う。


「なるほど」


「だから聖騎士に追われていたのですね」


アンが静かに言った。


ローザは肩を竦めてみせた。


「魔女狩りよ」


「教会は魔女が嫌いなの」


なんでもないように言っているが──


彼女の目は笑っていない。


教会を相当恨んでいるのだろう。


イグニスは話を戻した。


「…それでさっきの話だ」


「雇えってやつ」


ローザは腕を組む。


少し考える。


「……条件付き」


アンが興味を示す。


「条件?」


ローザは言う。


「あなたたち」


「弱すぎる」


ハークが怒る。


「なんだと!」


ローザは冷静だ。


「聖騎士三人に勝った」


「それはすごい」


「でも」


イグニスを見る。


「世界を相手にするには」


「足りない」


イグニスは笑った。


「知ってる」


ローザが少し驚く。


「……へえ」


「あなた、この世界の事」


「ほとんど知らないって思ってたけど」


「そもそもそんなこと、関係なさそうね」


ローザは呆れた口調で、


でも好奇心を刺激されたような顔で言った。


その瞬間。


頭の奥に光が走った。


《絆スキル》


ローザが目を見開く。


「なにこれ」


視界に文字が浮かぶ。



【ステータス共有】


イグニス

種族:ゴブリン

固有スキル:聖魔王(封印)

特別スキル: 絆Lv1


ハーク

固有スキル:腕力強化


ゴエモン

固有スキル:硬化


コタロウ

固有スキル:忍足


フク

固有スキル:千里耳


アン

固有スキル:賢者


ビーグル

固有スキル:嗅覚強化



ローザ

固有スキル:魔導演算


ローザの目が変わる。


「……これ」


「能力共有?」


アンが答える。


「絆スキルの副作用でしょう」


ローザはイグニスを見る。


「面白い」


そして笑った。


「いいわ」


「少し付き合ってあげる」


ハークが言う。


「なんだよ少しって」


ローザは肩をすくめる。


「魔女は忙しいの」


そして


イグニスを見る。


「でも」


少し微笑む。


「魔王は嫌いじゃない」


その時。


フクから念話が届いた。


《主》


《森の外》


《人間が増えてます》


全員に緊張が走る。


「コタロウ、偵察だ」


「はい、主」


コタロウは応えると共に姿を消していた。


「ちょうどいい」


少し口角があがる。


「魔王軍」


「最初の戦いだ」


俺たちの本気の力を


試せる機会。


自然と高ぶるものがある。


ローザは森の外を、


厳しい目で見つめた。


そして不敵に言う。


「魔女は便利なのよ」


「知識も魔法もある」


赤い髪を靡かせて振り返る。


「見せてあげるわ」


「私の価値を」


彼女は笑いながら言った。


その笑みは、少し眩しかった。

読んでいただきありがとうございます!


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