第1話 最弱ゴブリンだって?!
ゴブリン転生+建国+神話の物語です。
処女作にはなりますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
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世界は、すでに人間のものではなかった。
空を覆う監視ドローン。
都市を管理するAI。
人間の生活は、
すべてシステムによって最適化されている。
便利な世界だった。
だが同時に—―
自由はなかった。
「伏せろ!!」
轟音が響く。
ビルの壁が崩れ、爆風が通り抜ける。
俺は反射的に身体を投げ出した。
反乱軍と政府軍の戦闘。
都市の一角は、すでに戦場になっていた。
「くそっ……なんで…こんなっ………!」
逃げ惑う人々。
泣き叫ぶ子供。
崩れ落ちる建物。
その中で、俺は二人の姿を見つけた。
母親と、幼い娘。
瓦礫の下敷きになりそうになっている。
「……っっ!」
考えるより先に身体が動いていた。
二人を突き飛ばす。
その瞬間———
視界が真っ白になった。
暗闇だった。
音もない。
身体の感覚もない。
ただ、意識だけが漂っている…。
(……俺、死んだ、のか?)
その時、声が聞こえた。
《魂を確認》
《適合者を検出》
《世界樹の加護を付与》
……世界樹?
意味がわからない。
だが次の瞬間、俺の身体に何かが流れ込んできた。
《固有スキルを付与》
《聖魔王》
《特別スキルを付与》
《絆》
「……は?」
何が起きている?
理解する前に、意識が急激に引き戻された。
目を開ける。
そこは森だった。
大きな木の幹に、湿った土の匂い。
聞いたことのない鳥の鳴き声。
空気が冷たい。
「……どこだ、ここ」
身体を起こそうとして、違和感に気づく。
腕が短い。
指が細い。
そして———肌が緑色だった。
「……え?」
近くの水たまりを覗き込む。
そこに映っていたのは、人間じゃない顔だった。
尖った耳。
小さな牙。
緑色の肌。
「……」
沈黙。
数秒後。
「……ゴブリンじゃねぇか!!」
そう。
俺は、最弱の魔物———
ゴブリンに転生していた。
その時だった。
背後から音がする。
ガサガサ……。
振り返る。
そこには、巨大な狼の魔物がいた。
牙をむき出しにして、こちらを見ている。
「……嘘だろ」
完全に捕食者の目だ。
つまり俺は今――餌ということだ。
狼がゆっくり近づく。
逃げ場はない。
「……くそ」
死ぬのか?
また?
そう思った瞬間、
頭の奥で何かが動いた。
《聖魔王》
魔力が溢れる。
同時に、身体が軽くなる。
「……なんだ、これ」
狼が飛びかかる。
その瞬間——炎と光が弾けた。
狼が吹き飛ぶ。
森の木に激突し、そのまま動かなくなった。
「……」
沈黙。
そして俺は呟く。
「……今の俺がやったのか?」
最弱のゴブリン。
だが身体の奥には、明らかに異常な力がある。
さらに、頭の中に声が響いた。
《進化条件を確認》
《魂の願いを受理》
「魂の……願い?」
その言葉に、俺は笑った。
前世で一度も叶わなかったもの。
それは――自由だ。
AIに管理された世界。
生まれた瞬間から決められた人生。
そんなものはもうごめんだ。
だから俺は決めた。
「自由に生きる」
誰にも縛られない。
好きなように生きる。
そのためには——この世界で、弱いままじゃいられない。
ゴブリンは最弱。
だから食われる。
なら、どうする?
簡単だ。
「強くなればいい」
そしてもう一つ。
「国を作る」
そうすれば、誰にも支配されない。
「よし」
俺は立ち上がった。
森の奥を見つめる。
ここがどこだか知らない。
だが一つだけ分かる。
この世界は——まだ、完成していない。
だったら、
「俺が作ってやる」
自由な世界を。
そのための第一歩。
俺の名はイグニス。
最弱のゴブリンだ。
だが今日、
魔王になる道を歩き始めた。
そしてこの物語は、やがて神話になる。
最弱のゴブリンが世界を変えた――
魔王神話。
読んでいただきありがとうございます。
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