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彼女の選んだ世界  作者: taka
第25章 失われゆく世界の名
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皇帝の帰還

 次元城。


 白と蒼の光が交錯する回廊を抜け、アトラは執務区画へと戻ってきた。


 外界の喧騒は遮断され、城内にはいつもの静寂が満ちている。


 だがその静けさは、どこか張り詰めていた。


 「――陛下」


 背後から、落ち着いた声が響く。


 振り返らずとも、誰のものかは分かっていた。


 「ジェイドか」


 白髪の老賢者は、杖に両手を添え、背筋を正して立っている。


 その瞳だけが、わずかに人としての温度を宿していた。


 「先程のお出かけ……いかがでしたかな」

 「この世界の娘と、会われたのでしょう」


 アトラは一瞬だけ視線を落とし、やがて静かに息を吐いた。


 「……不思議な少女だった」

 「私と、同じ方向を向いている。そう感じた」


 そして、ほんのわずかに照れたような笑みを浮かべる。


 「后として迎えたくなったほどだ」


 ジェイドは驚かなかった。


 むしろ、胸の奥に長く溜めていた何かが、静かにほどけていくのを感じていた。


 「……そうですか」

 「そうでありたいですな」


 それは臣下としてではなく、


 幼き日から皇帝を見守ってきた者としての言葉だった。


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