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役目を終えた獅子
レムルは剣を構えた。
全力で。
誇りも、命も、そのすべてを込めて。
「陛下……姫様を、帝国を……どうか」
光と刃が、正面から激突する。
爆光が収まった後、
そこに立っていたのは――
焼け爛れた、ひとりの将軍だった。
左腕は炭化し、身体の半分以上が黒く焦げている。
それでも、彼は倒れていない。
妖精の表情が歪む。
「……馬鹿な……」
言葉を失ったその前で、
レムルは最後の力を振り絞り、剣を振り上げた。
「我は、ここまでだろう」
「だが――」
一閃。
蒼の武装は、中央から二つに断ち割られた。
沈黙。
「……撤退だ!」
妖精が叫ぶ。
「これ以上、失うわけにはいかない!」
レムルは剣を大地に突き立て、
その場に立ったまま、静かに息を引き取った。
獅子は、倒れなかった。
ただ――
与えられた役目を、最後まで果たしただけだった。




