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静止した世界
その変化は、一瞬で全世界へと広がった。
空の裂け目が閉じ、風が止む。
海は鏡のように静まり、レイラインの光が、ひとつ、またひとつと消えていく。
帝国・観測塔。
「……結界が、閉じた?」
ジェイドが目を見開く。
「空間そのものが折り畳まれている……!
接近は不可能です!」
同時刻、妖精国・白の庭。
女王は立ち上がり、抑えきれぬ怒りを声に滲ませた。
「世界樹が……私たちを拒んだ?
あり得ない! 世界を支えてきたのは我らよ!」
だがその叫びも、広間の沈黙に吸い込まれる。
世界が――息を潜めたのだ。
もはや誰も、世界樹に触れることはできない。
奪い合いは、強制的に終わりを告げた。




