68/71
守護者の覚醒
強化魔法少女たちの攻撃が、
地中を巡るエネルギーの流れを乱し、
結界そのものが軋むように震え始める。
「エネルギー濃度、限界を突破!」
「制御不能――全軍、退避を――!」
悲鳴に近い報告が重なる。
だが、もう遅かった。
次の瞬間、
海面が大きく盛り上がり、裂ける。
白い光が噴き上がり、天を貫いた。
光柱の中心から、
ゆっくりと“それ”が姿を現す。
熊のような巨大な体躯。
全身を覆う、白銀の鱗。
背には、光そのものを編んだかのような翼。
――守護者。
それは敵意を示さない。
怒りも、憎しみもない。
ただ、世界の歪みに応答する
純粋な防衛機構。
咆哮が放たれた瞬間、
空が割れ、波が逆巻いた。
熱と衝撃が同時に広がり、
戦場の秩序が一気に崩れ落ちる。
レムルは盾を構え、前へ踏み出した。
「陣形を崩すな!」
「退くな! ここで持ちこたえろ!」
だが――
赤と青の光が無秩序に衝突し、
戦場はもはや戦いですらない。
制御を失った力と、
守るために生まれた存在がぶつかり合う。
狂気と防衛が交錯する中で、
世界は静かに、次の段階へと踏み込んでいった。




