渇望の刃
暗闇を裂いて、魔力の閃光が通路を貫いた。
反射的に、ほのかが時間をわずかにずらす。
魔力弾は彼女の横を掠め、岩壁を砕いた。
「……見つけた。“裏切り者”」
闇の中から、三人の魔法少女が姿を現す。
紅く濁った瞳。歪んだ光の翼。
「青の葉は、あたしたちの願いを叶える力……
特別な誰かだけに、渡すわけにはいかないの」
かなでが前に出る。
「待って! そんなつもりじゃ――」
返ってきたのは、容赦のない攻撃だった。
クロが唸り、ほのかが銃を構える。
銃弾が魔法の弾幕を縫い、光を弾き飛ばす。
焦りが胸を締め付ける。
「黙って! こいつら、本気で殺しに来てる!」
父の顔が、一瞬だけ脳裏をよぎる。
焦りが引き金を引く指に力を与えた。
ヒカリは胸のネックレスを握りしめる。
その熱に呼吸が浅くなり、胸の奥が締めつけられる。
「……分かるよ。でも、
それで誰かを壊したら、願いまで壊れる」
少女の一人が嗤った。
「綺麗事を言える余裕があるの?
私たちは……もう後戻りできないの!」
光が炸裂する。
ほのかは時間を止め、背後へ回り込み――
一人の手首を正確に撃ち抜いた。
残る二人が怯む。
その身体を、黒い靄が包み込む。
崩れ落ちる少女たちを見送りながら、クロが低く呟いた。
「……強化の代償、だ。欲望が抑えられなくなっている」
ヒカリは小さく首を振った。
「……止めないと。これ以上、誰も傷つかないように」




