66/76
青の葉を求めて
同じ頃、海の底。
光の届かぬ深海に、四つの影が身を潜めていた。
ヒカリ。
夜凪ほのか。
雪代かなで。
そして、クロ。
水圧が装甲と結界を軋ませるたび、
呼吸は意識せずとも浅くなっていく。
「……ここが、海底の“レイライン中枢”ね」
ほのかが、低く呟いた。
声は冷静だったが、視線は一瞬も油断していない。
壁一面を覆う水晶が、青白い脈動を放っている。
それは照明ではない。
まるで生き物の鼓動のように、一定の律動で光が満ち引きしていた。
ヒカリは、胸の奥が引かれる感覚を覚えながら、
巫女の記憶に導かれるまま足を進める。
やがて――
淡い光に包まれた空間へと辿り着いた。
水晶の反射が消え、
そこだけが、静かな“空白”のように開けている。
その中心に、
一枚の“青の葉”が浮かんでいた。
波打つこともなく、
流されることもなく。
ただ、そこに在る。
「……綺麗……」
思わず、息を呑む。
言葉は水に溶け、誰に向けたものでもなかった。
――その瞬間。
背後を、撫でるような冷気が走った。
水の温度とは違う。
生き物の気配でもない。
“何かが、こちらを見た”。
そう理解した時には、
すでに空間の空気が、わずかに変質していた。




