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彼女の選んだ世界  作者: taka
第17章 赤の戦線
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静かなる崩壊

窓の外は、いつもと変わらない昼の光に満ちていた。

校舎の壁に反射した陽射しが、廊下を柔らかく照らしている。


――けれど、その下で、何かが確実に崩れていた。


ほのかは足を止め、スマートフォンの画面を見つめていた。

表示されている通知は短い。

たった一行。


「父が倒れた」


理解するまでに、わずかな時間がかかった。


次の瞬間、世界から音が抜け落ちた。

遠くで誰かが笑っていたはずだ。

椅子を引く音も、チャイムの余韻も、確かにあった。


それらすべてが、水の底へ沈んでいく。


残ったのは、心臓の音だけだった。

強く、規則正しく、耳の奥で脈打つ。


(……倒れた?)


言葉の意味を考えるより先に、身体が反応した。

視界が揺れ、指先がかすかに震える。


次の瞬間、ほのかは走り出していた。


制服の裾が空気を裂き、廊下の景色が流れていく。

立ち止まる理由は、どこにもなかった。


時間を止めることはできない。

戻すことも、選び直すことも。


それでも――

行かなければならない場所が、はっきりと分かっていた。

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