焦土の光 ― エネルギーポイント争奪戦
夜の大地を、紅い閃光が走った。
山間の静寂を切り裂き、魔力の奔流が地を抉る。
エネルギーポイントのひとつ、南方第七地点。
そこは元来、レイラインが交差する“静かな呼吸点”であった。
だが今や――地表は崩れ、空は紫の光で満たされている。
「結界維持限界! 第三陣、後方に退避!」
帝国兵の報告に、先陣の指揮官が即座に応じる。
「まだだ、あと十秒――ブルークリスタル起動ッ!」
叫びと同時に、兵たちの身体が青白い光を帯びた。
命を削る代償の強化。
だが、その背に宿る決意は、ひとつの信念に集約されている。
――民を守るために。
――皇帝の誇りのために。
対する妖精国の先鋒。
薄紅の羽を持つ妖精が、冷笑を浮かべながら命じた。
「第一波、放て。――この地は“芽吹き”のための苗床よ」
放たれた光弾が地表を焼き、帝国兵が次々と倒れる。
それでも彼らは怯まない。
倒れた仲間の盾を拾い、再び陣形を立て直す。
「結界を維持しろ!
我らは大地の守護者だ!」
だが、次の瞬間――
妖精たちが放った新たな光が、
離れた崖影の下――地中深く埋められたレイラインを正確に貫いた。
「――エネルギー流動が、暴走ッ!?」
通信士の叫びが響く。
大地そのものが唸りを上げ、
紫と青の光が、ねじれながら空へと駆け上がった。
爆発。
帝国兵も、妖精も、区別なく吹き飛ばされる。
その後に残ったのは――
世界の脈動が、ひとつの方向へと引き寄せられていく現象。
“海”。
誰も、その意味には気づかなかった。
それが、
**「始まりの収束」**だったことを。




