共鳴 ― 白の終焉
地を割るような衝撃が走った。
白い守護獣の咆哮が暴風となり、戦場を薙ぎ払う。
ヒカリは歯を食いしばり、その中心を見つめていた。
守護獣は暴れているのではない。
何かを守ろうとして、方法を失っているだけだった。
その嵐を突き抜けるように、ひとつの影が駆け込んでくる。
傷だらけの帝国騎士――グラン。
盾を構え、声を張り上げた。
「退け!
これ以上続けば、結界ごと消えるぞ!全てだ」
振り返ったのは、黒髪の少女。
銃を構えたまま、冷静に戦場を測る――夜凪ほのか。
「……まだいたのね、帝国の人。」
「放っておけるか。」
グランは歯を食いしばる。
「あれが本当に“守護者”なら――
暴走すれば、全部が終わる。」
金属音が嵐の中で響いた。
ヒカリ。
雪代かなで。
夜凪ほのか。
そして、グラン。
四人は言葉を交わさず、同じ方向を見据えた。
暴れ狂う、白の巨体。
――その瞬間。
ヒカリの胸の奥で、何かが“噛み合った”。
彼女は理解した。
守護獣を止めるには、押さえつけるのではない。
世界と同じ“調律”に戻す必要がある。
「……来て。」
ヒカリが光の盾を展開し、
白い衝撃を正面から受け止める。
かなでの癒しの光が走り、
裂けた命の線を繋ぎ留める。
ほのかは時間をわずかにずらし、
連続射撃で攻撃の“間”を作る。
グランは盾で鉤爪を受け止め、
一歩も引かずに剣を振るった。
白、淡桃、黒、銀――
四つの意志が、ひとつの円を描く。
その中心で、
ヒカリの胸に浮かぶハート型のダイヤが、強く輝いた。
光は波紋となり、広がっていく。
ほのかの銃へ。
かなでの弓へ。
グランの剣へ。
武器ではない。
意志そのものが、共鳴していた。
白い光柱が天へと昇り、
守護獣の動きが、初めて止まる。
その巨体は崩れなかった。
砕けもしなかった。
ただ、役目を終えたかのように、
光の粒となって、静かに世界へ還っていった。
風が止む。
大地の震えが収まり、
結界の歪みが、ゆっくりと閉じていく。
残ったのは、焦げた大地と、張りつめた静寂。
ヒカリは胸のダイヤを押さえ、静かに呟いた。
「……ごめんね。
でも、あなたが守ろうとしたもの――
ちゃんと、受け取った。」
その傍らで、クロが低く息を吐く。
「……これが、本当の戦いなんだな。」
風が吹き抜ける。
遠くで、かつての言葉が木霊した気がした。
――
「命令を聞かぬ駒は、不要だ。」
けれど。
ヒカリたちはもう、
誰の駒でもなかった。




