召集 ― 軽やかな日常の延長で
街外れの広場に、転移の光が次々と降り注ぐ。
妖精たちの呼びかけに応じ、全国各地から魔法少女たちが集められていた。
制服姿のまま駆けつけた子。
可愛く衣装を整え、スマホで自撮りをしている子。
そこには、どこか祭りのような雰囲気すら漂っている。
「ねぇねぇ、前回の魔物討伐のポイント、もう換算された?」
「うん! 千ちょっとだった! だから次の願い、どうしようか迷ってて!」
「いいなー。私まだ八百しかないよ。髪サラサラになるやつにしようか悩んでるんだ。」
少女たちの笑い声が、夜の広場に広がっていく。
戦いに向かう緊張感は薄く、
まるで買い物や遊びの相談をしているかのような軽さだった。
――戦えば、願いが叶う。
それが当たり前の日常として、
彼女たちの中に、深く根づいている。
その輪の外で、雪代かなでは少し離れた場所に立っていた。
楽しげな笑顔の集団を見つめながら、そっと胸に手を当てる。
(……私は、どうして戦ってるんだろう)
少し離れた空中で、ヴォイドが他の妖精たちと短く情報を交わしている。
冷たい金の瞳が、一瞬だけかなでを捉えた。
「感情の揺れは戦闘効率を下げる。
雪代かなで、集中しろ。」
「……うん」
返事は小さく、覇気はない。
それでも、かなでは自分の役目を理解していた。
周囲では、まだ少女たちの声が弾んでいる。
「新しい服が欲しい!」
「芸能オーディション受けたいんだよね!」
「彼氏できるように、とかお願いしてみようかな~!」
その声があまりにも眩しくて、
かなではそっと視線を落とした。
(……本当に、これでいいのかな)
遠くで、ヴォイドの声が命令を告げる。
「帝国兵、出現。
全員、戦闘準備。」
次の瞬間。
楽しげだった笑い声が、嘘のように消えた。
広場に残ったのは、
冷たく張りつめた緊張だけだった。




