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彼女の選んだ世界  作者: taka
第7章 交錯する戦線
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――静寂の打ち合わせ

夜の森の中、黒い影が音もなく揺れていた。

クロ――黒狼の姿をした妖精が、茂みの上で低く唸る。


その向かい、岩の上に腰を下ろした少女が一人。

黒髪を夜風に揺らしながら、冷静な瞳で地図を見つめていた。


「……今回の任務、対象は“帝国兵”。出現地点は湾岸区。数は不明。」


夜凪ほのかが、淡々と告げる。

クロの尾が一度、ゆるく揺れた。


「報酬ポイントは高いが、敵が複数だと危険だ。無理をするなよ」

「ふふ……心配してくれて、ありがとう」


ほのかは小さく笑って、夜空を見上げた。

その表情は柔らかく、それでいて――どこか寂しげでもあった。


クロはわずかに目を伏せ、そっぽを向く。


「当たり前のことだ。

 契約者が死ねば、任務が終わる」


その言葉とは裏腹に、声はどこか震えているようだった。


彼が決して人の姿を取らない理由――

それは、罪悪感。


妖精が語れぬ真実を抱えたまま、

クロはその姿を晒すことを拒み続けている。


「……行こう、クロ」

「了解」


黒髪の少女と黒狼の影が、

闇に溶けるように静かに消えた。

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