帰り道の午後
放課後。
校門の前で、ヒカリはかなでを見つけた。
けれど、その姿はどこか疲れて見えた。
「かなでちゃん、おはよ――じゃなかった、お疲れさま!」
笑顔で声をかけると、かなでは一瞬だけ驚いた顔をしてから、小さく笑った。
「ヒカリちゃん……うん。ちょっと寝不足で」
ヒカリは首を傾げる。
いつものかなでなら、どんな時でも柔らかい笑みを浮かべている。
けれど今は、目の奥にかすかな影があった。
「最近、遅くまで起きてるの?」
「うん……ちょっとね。夜にニュースとか、気になることが多くて」
ヒカリは思い出す。
昨夜見たニュース。
笑顔で手を振る魔法少女たち。
――あの中に、かなでがいたなんて、知る由もない。
「そっかぁ。無理しないでね。
ほら、かなでちゃんって頑張り屋だからさ」
「……ありがとう、ヒカリちゃん」
二人で歩く通学路。
木々の若葉が風に揺れ、淡い夕陽が差し込む。
そんな穏やかな風景の中で、ヒカリはふと気づいた。
かなでの手が、ずっと小刻みに震えている。
「……大丈夫?」
「うん。ちょっと……冷えてるだけ」
言葉は柔らかい。
けれど、笑顔がどこか引きつっていた。
「かなでちゃん?」
「……ごめん、ヒカリちゃん。今日は、先に帰るね」
そう言って、かなでは早足で角を曲がっていった。
ヒカリは、しばらくその背中を見送る。
何も言えなかった。
けれど、心のどこかで確信していた。
――かなでちゃん、何か隠してる。
風が吹き抜ける。
落ち葉がひとひら、ヒカリの足元に舞い降りた。




