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夜に咲く決意
夜。
ヒカリは部屋で、スマホを見つめていた。
同じ見出し。
同じ称賛。
同じ無責任な言葉。
画面を閉じても、胸の痛みは消えない。
(私だけが、知ってる)
――あの子は、
笑いながら、泣きそうだった。
テレビの中のヒーローと、
昨日の夜に見た、震える少女。
同じはずなのに、
どうして、こんなにも違って見えるんだろう。
「……なんで、あんなに頑張るんだろ」
窓を開けると、夜風が頬を撫でる。
空には、小さな星が瞬いていた。
その光が、
あの弓の矢みたいに見えた。
ヒカリは両手を胸に当てる。
(壊れないで)
(一人で、背負わないで)
声には出さない。
出してしまったら、何かが変わってしまいそうで。
そのとき――
まぶたの裏に、光景がよぎった。
天を貫く巨大な樹。
その根元に立つ、二人の少女。
「……また……」
胸が、静かに脈打つ。
(もし、あの子が――
誰にも頼れなくなったら)
その続きを、言葉にはしなかった。
布団に潜り込み、目を閉じる。
それでも、心の奥で、
確かな想いが芽吹いていた。
――私も、
あの光のそばに立ちたい。
それはまだ、願いですらない。
ただの、震えるほど小さな決意。
けれどその夜、
その光は確かに、
ヒカリの中で灯り始めていた。




