世界の外、女王の玉座
そこは、世界の外にあった。
天も地も定かではない空間。
光は存在するが、影はなく、時間の流れすら曖昧だ。
玉座の前に、三つの影が跪いていた。
近衛妖精騎士。
二人は深々と頭を垂れ、
残る一人は、その一歩後ろに控えている。
彼らの前に浮かぶ台座には、
二つの実が静かに置かれていた。
黄金とも白銀ともつかぬ光。
鼓動するように、微かに脈動している。
玉座に座す存在――
妖精の女王は、その実を見下ろしていた。
表情は、読めない。
喜びも、達成感も、焦燥もない。
ただ、長い時を生きる者だけが持つ、静かな観察の眼差し。
「……確かに受け取りました」
女王の声は、柔らかく、穏やかだった。
「世界樹の実、二つ。
よくぞ、ここまで運びました」
近衛妖精騎士の一人が、顔を上げる。
「女王陛下。
計画は成功しました。
世界樹は依然として存続しておりますが――
“次”は、我らの手の内にあります」
女王は、ふっと微笑んだ。
「ええ。十分です」
彼女は実に触れない。
だが、その言葉に応じるかのように、空間が微かに震えた。
「世界は……まだ、気づいていません」
別の近衛妖精騎士が続ける。
「一点、報告があります。
イムリア帝国皇帝アトラ――
想定以上の障害となりました」
女王の指が、ほんのわずかに止まる。
「……生きているのですね」
「はい」
「そう……」
失望でも、怒りでもない。
ただの確認だった。




