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語られた一言
だが――
ある日、空が震えた。
世界中の空に、
一つの映像が流れた。
老人の声。
戦場の中で、確かに語られた言葉。
「若い娘を、消耗品として使う国が、
正義を名乗る資格があると思うかの」
映像の中で、
妖精は言葉を失っていた。
その日を境に、
魔法少女という言葉は、少しだけ重くなった。
応援の声は減り、
憧れは口にされなくなり、
新しい契約の噂は、ぱたりと途絶えた。
妖精はまだいる。
だが、もう“作れない”。
作った先にあるのが、
“消失”だと知ってしまったからだ。
そして――
病室の窓から空を見上げる少女がいた。
何も言わず、
ただ、静かに。
自分が生きている理由を、
考えるように。
語られなかった戦争は、
確かにそこにあった。
名前を失った少女たちの分だけ、
世界は少し、静かになった。
そして、その静けさの中で――
最後の戦いは、確実に近づいていた。




