序章 世界の在り方
駄文投稿失礼します。
放課後の帰り道。
街の風に乗って、どこか甘い香りが流れてきた。
黒髪の少女がひとり、制服の裾を揺らしながら歩いている。
ふと顔を上げると、ビルの壁に設置された大きなモニターが目に入った。
画面の中で、光が弾ける。
青と白のきらめきの中、ひとりの少女が笑っていた。
――魔法少女。
七年前から、世界のあちこちで見かけるようになった“彼女たち”。
テレビや街頭モニターの中で、いつも何かと戦っている存在だ。
誰もが知っているヒーロー。
憧れの、そして少し遠い存在。
「最近は、あの帝国っていうのも出てきて大変だよね……」
通りすがりの人たちの声が、風に混じって聞こえてくる。
“レムリア帝国”――少女も、その名前だけは耳にしたことがあった。
「妖精が現れて、少女を魔法少女に変えるんだって」
そんな話を聞いたのは、たぶん友達との放課後の雑談の中だった。
本当かどうかは分からない。けれど、誰もが当然のように口にしていた。
モニターの中では、魔法少女がこちらに向かって手を振っている。
眩しいほどの光と、曇りのない笑顔。
それは、この世界の希望そのもののように見えた。
――ああ、私も。
私も、なれたらいいな。
少女は立ち止まり、ほんの少しだけ微笑んだ。
夕暮れの風が頬を撫で、モニターの光がその瞳に映り込む。
この時、まだ誰も知らなかった。
その光の裏側に、何が潜んでいるのかを。




