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ブルーアイス

作者: ちむちー
掲載日:2025/12/21


 どうやら〝新婚〟というのは籍を入れてから丸一年経つまでの期間を言うらしい。


 しかしながら、ウチのように付き合ってから結婚に至るまでに約十年を要した夫婦には、たとえ一年目であってもそんなに変わらないんだよなぁ、なんて中身のないことをふと思ってしまう、特に何とはない冬の第三日曜日のことである。


 そろそろマフラーを巻かなくては外も出歩けないような気温になってきたのだが、どうやらウチの嫁さんは真冬の風呂上がりにもアイスを食べるというちょっとだけ変わった嗜好をお持ちのようで、今日も健気にコタツで足を温めながら、存分にその口と胃を冷やしていらっしゃるらしい。



「なっはっは。分かってないねぇ旦那くん。冬に食べるアイスこそが一番美味いのだよ」


「かもしれないけどさ。今日は何にしたの?」


「ゴリゴリくんのソーダ味。一口食べる?」


「いや、遠慮しておくよ。見るだけで寒いから」


 ゴリゴリくんは早く平らげないと手元がベタベタになってしまうアイスとして有名なのだが、この寒い日に何の苦労もなく美味しそうに頬張っている嫁を見ていると、俺はもうそれだけで満足してしまうのだ。


 えへへと笑う嫁さんの舌先が青くなっていた。

 余計に寒く感じてしまったのは言うまでもない。


 ひぇぇぇとコタツの中に手を突っ込みながらも窓のほうに首を向けてみると、昨年、結婚記念にと庭に植えた〝ブルーアイス〟の木が目に映り込んでくる。


 冬でも葉を落とさないというこの木の特徴そのままに、今日も外気の厳しさに負けず、したたかにその枝葉を伸ばし茂らせているらしい。


 どうせ植えるなら電飾イルミの映えるモミの木がよかったーと散々に駄々を捏ねられてしまった木ではあるのだが、残念ながらモミはすぐに大きくなってしまうらしく、手入れが間に合わなそうだからと渋々納得してもらった昨年のことを、つい昨日のように思い出せる。



「もごご。もごごごごご、もごもごごも」


「なんだって?」


 そんなことを思い返しているうちに、ウチの嫁さんがアイスを食べ終わってしまったらしい。


 最後に一気にパクついて、今はもう味のしない棒を咥えては満足気な表情をしている嫁さんを見ていると、ついついこちらまで微笑んでしまうのだ。



「アイス。いつの間にか補充してくれてるよねって」


「誰かさんが毎日飽きずに食べるからだよ」


「えへへへ」


 わりとワガママなことで俺の中で有名な嫁さんだが、甘いモノが冷凍庫に冷えてさえいれば、基本的には毎日ずっとご機嫌でいてくれるらしい。


 ……ああ。平和だ。この上なく。


 こんな何もない温かな日が、明日も明後日も、願わくばずっと続けばいいなと思っている。


 


最後までお読みいただきまして

誠にありがとうございます(*´v`*)


ブルーアイスという樹木がありまして

その花言葉が〝不変〟や〝永遠〟だったので

ふと思い付いた短編となっております。


じ、実話じゃないんだからねっ。


ほっこりとお楽しみいただけたら幸いです。

それではまたどこかでお会いしましょうっ!



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