表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロローグ 赤いカラス

夜の港は、死んだように静かだった。

 鉄の匂いと潮の香りが入り混じった空気が、肌にまとわりつく。

 遠くで貨物船の低い汽笛が響くたび、陸の胸は重く締めつけられる。

 ──あの夜も、こんな音がしていた。


 港の倉庫街。

 その一角に、赤いスプレーで描かれたカラスのマークがあった。

 羽を広げ、鋭い嘴をこちらに向けたそれは、夜の闇よりも不吉に見えた。


 陸は息を潜め、鉄扉の前に立つ。

 手のひらの中には、一週間前に拾った古びた鍵がある。

 指先に感じる冷たさは、ただの金属の温度ではなかった。


 ──これを使えば、すべてが動き出す。

 そんな予感が、背骨を冷たく撫でていく。


 風が吹き、港の影が揺れる。

 遠くから足音。

 その向こうに、赤いカラスのマークと同じペンダントを首に下げた男が現れた。


 「ようやく来たか」

 低くくぐもった声。

 その声を聞いた瞬間、陸の背筋は氷のように固まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ