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原作付きアニメが多いワケ:オリジナルのアニメが少ないワケ

作者: 谷橋ウナギ


 目次


  1.前書き

  2.原作付きの利点

   利点α:数字の計算

   利点β:宣伝効果とグッズの展開

   利点γ:製作の容易さ

   利点Δ:スポンサーの説得

  3.オリジナルの弱点

  4.ソシャゲとアニメ

  5.原作付きの弱点

  6.オリジナルアニメが増えるには

  7.最後に



 1.前書き


 昨今、原作付きアニメが非常に多い──と、言うニュースをたまたま目にした。原作付きが多いのは確かだ。しかし見解が私と異なる。または説明不足の感がある。そこでこれを(したた)めることにした。

 ただし、私の個人的見解であることも最初に述べておく。


 尚、私はオリジナルアニメが大好きである。




 2.原作付きの利点


 原作付きアニメには多くの利点がある。

 まずはそれを一つ一つ並べ、再認識していこうと思う。



 利点α:数字の計算


 漫画、小説、ゲームなどが原作のアニメはユーザーの数がはっきりしている。売上げやプレイヤー数からある程度の視聴ユーザー数が割り出せるのである。

 無論、予想は外れることもある。だが計算が楽なのは確かだ。



 利点β:宣伝効果とグッズの展開


 オリジナルアニメを売る時には当然事前の宣伝が必要となる。しかし原作付きならば原作がその宣伝の効果を果たす事が出来る。漫画の帯やゲーム内のキャンペーンなどで告知するだけで良い。


 また、グッズ展開に於いても原作があれば既に行われている可能性が高い。当然それらの売上げアップや在庫整理も見込める。

 原作の宣伝にもなりまさにウィンウィンと言える。



 利点γ:製作の容易さ


 原作ではストーリーやキャラクターのデザインがある程度決まっている。

 無論アニメにする際の変更や調整、追加の部分も存在するが、全てをゼロから造らなければならないオリジナルアニメに比べて遥かに楽である。

 また、原作でファンに受けが悪かった部分は修正が可能であるという利点もある。


 過去にはオリジナルアニメの製作が難航したと言う例もあり、地味に大切である。



 利点Δ:スポンサーの説得


 そしてこの項が最も重要である。

 アニメを造るにはそれなりのお金が必要であり、宣伝費なども含めればコストはそれなりに重い。


 お金を出すスポンサー企業や会社の上の人にどれだけ儲かるかを説明しなければならず、それに失敗すれば当然アニメ化にはこぎ着けない。そこで利点α、β、γが役に立つわけである。

 リターンはともかくリスクが非常に少ない原作アニメは偉い人にも説明が容易で企画も通りやすい。となれば、自然と企画者もそれに頼りがちになる。


 アニメプロデューサー達もまた仕事でやっているのだ。失敗すれば汚点として残り、成功すれば評価として残る。

 ユーザーはあまり意識しない部分だが恐ろしく重要である。




 3.オリジナルの弱点


 これは“原作付きの利点”のつまり逆である。

 数字の計算がしづらく、宣伝が大変で、制作が難航することもあり、結果スポンサーを説得しづらい。

 オリジナルアニメ好きの私には非常に辛い現実である。


 また、もう一つの弱点として有能な制作者の減少が挙げられる。今や一人でも漫画や小説、ゲームを作り公表できてしまう時代である。それに比べ正規のアニメ業界は重労働低リターン。そのためオリジナルアニメを制作できるアニメ監督や脚本が減少してしまっている。特に若手不足が深刻である。




 4.ソシャゲとアニメ


 最近出て来た新型の業態としてソシャゲと同時にアニメを放送するというモノがある。

 これは比較的利益を得やすく、広告が非常に重要となるソシャゲとアニメが非常に相性が良いためである。


 偉い人達にも収益化の方法が説明しやすいなど利点が多いが、ゲームが鳴かず飛ばずという例もまま存在する。




 5.原作付きの弱点


 唯一と言って良い原作付きの弱点。それは面白い原作がそれほど多くないことである。

 つまり“原作不足”。


 毎期毎期大量に似たようなコピーアニメを造ればアニメ視聴者そのものが疲弊して減少する、という業界全体の欠点でもある。




 6.オリジナルアニメが増えるには


 結局一番はアニメの企画者が頑張る事である。

 個人的見解だが有象無象の原作付きアニメとオリジナルアニメにそこまで売上げの差はない。後は偉い人達を説得できるかどうかである。


 漫画や小説に比べコストも高いので厳しい戦いなのは理解出来るが、ご自身の評価のためにも何とか頑張ってほしいものである。


 また、もう一つの方法──と言うよりは結果だが、原作アニメが死滅すれば良い。面白い原作が無尽蔵に在るわけでもなく、リメイクするにも限度がある。つまり、原作アニメを大量に作り続ければ共食いが発生し、やがては滅びる。

 ただこの方法だとアニメ業界全体が一時的に打撃を受け、海外勢の進出を招く恐れもある。出来ればこうなる前に何とかしてほしいと言う未来でもある。




 7.最後に


 私はオリジナルアニメが好きである。

 特にロボアニメが大好物な私にとってオリジナルアニメの衰退は困る。非常に困る。

 と言うワケで最後にオリジナルアニメに携わる全ての人間にエールを送りたいと思う。


『敢えてリスクに挑む者を笑うこの時代。それでもオリジナルアニメを見る視聴者は必ずいます。私はその一人としてオリジナルアニメ製作者さん達を応援しています。いつまでも』


 あ、偉い人達はもう少し見る目を養って?


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― 新着の感想 ―
[一言] 「オリジナルもの」の受難という記事ですね、自分も読みました。 エッセイ、分かりやすく利点弱点書かれていて読みやすかったです。 あと原作付きの弱点だと、そもそも原作が終わってないか、尺が足…
感想一覧
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