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7,思わぬ来訪者

 阿久井との一件が解決し、宣伝一課では新たなプレゼンに備えCGを製作する久晴。

 今回の一件で徹底的に対策が徹底的に敷かれ、出向中の久晴達四人に黒井製作所側から一方的な管轄外の仕事を押し付けることはなくなり一安心。

 これで一段落と思ったら、仕事中に会社用のスマホから母親のDMが入ってくる。

「久晴、明日は給料日でしょう。仕送り忘れないで。母より」

 今月も、母親から仕送りを要求するDMが来て肩を落とす久晴。

 ガラケーの頃は、給料日が近づくと仕事中だというのに容赦なく電話で強要する。

 仕送りの件は、久晴が就職してから母親からの取り決めで給料から毎月送金している。

 例え、勤めていた会社がブラック企業化によって低収入にも拘わらず「家族を支えるために仕送りは当たり前」という名目で強要してくる母親。

 もし、仕送りのお金が少なかったり仕送りを忘れたりしたら母親から電話で三十分程度の説教を受ける羽目に。

 当然、ブラック企業時代は仕送りが原因で十分な蓄えが出来ず通帳はガス欠寸前。

 それでも、母親から逃れられるのなら安いと自分に言い聞かせて今月も送金する。

 唯一の気がかりは、母親が六十代手前にも拘わらず何故か若々しく見えること。

(昔は、頬が痩せ細々していたのに……。先日会ったら、若作りをしているのか母さん異常とも言える元気に……)

 と心の中で、今でも疑問に思う久晴。

 だが、家庭の事情を気にする暇なく仕事に集中する久晴。

 しかし、知らないところで新たな災いがやってくることを知る由もない久晴。

 その元凶は、本社オフィスビルのところへやって来た青年。

 青年は、二十代後半と思われ細身の長身でスーツ姿がビシッと決まっている。

 顔立ちや容姿を見ただけで、クラブのホストと間違えてもおかしくない程のイケメン。

 その隣には、かつて久晴の上司で経理部長だった戸渡修蔵と戸渡家の当主で修蔵の妻が同席。

 修蔵は、二人の受付嬢に角のない優しい口調で話し掛ける。

「すまぬが、今度のお見合いについて確認したく副社長に会いたい」

 すると、受付嬢の一人がインターホンを使って副社長に訪問者の名前と用件を伝える。

「まさか、お相手側が訪問してくるとは想定外ですね。三人を応接室に案内しなさい」

 とインターホン越しから聞こえる副社長の指示を受け、受付嬢の一人が訪問客を応接室へと案内する。

 その時、スーツ姿の青年が案内する受付嬢と何やらヒソヒソ話をしている。

 まさか、訪問客の青年が宣伝一課で仕事上での関係に亀裂が生じるなんて……。

 暦の上では七月中頃、梅雨も明け真っ青な空に輝く太陽が夏本番を告げ、外に出れば茹だるような暑さと肌を刺す日差しが襲ってくる季節である。




 その日の昼下がり、昼食を終えた久晴は背伸びをして今の職場へと戻りながら振り返る。

 転入して半年にも満たないが、配属されて真っ先に変わったと思い浮かぶのは真理香との関係。

 出会った当初は、ゾンビ治療という名目で髪型を強制的に変えられたり見覚えがあると思ったら威圧してきたりと出来れば敬遠したかった。

 ところが、コスプレイヤー北欧まりんと同一人物だと知ったことや福井出張での活躍を切っ掛けに自分の才能を認められ頼ってくれるようになった。

 意外に、変わったことと言えば男性に対して恐怖心を抱く優菜。

 最初の頃は、久晴が男性の理由で喋らず怖がっていた。

 ところが、社内コンペを連続して採用を切っ掛けで話し掛けてくることがある。

 しかも、久晴のことを三国志の孔明に例え自分の世界に入ってしまう傾向を知り少しばかり人間味がある事を知ることが出来た。

 だが、転勤してから未だ変わっていない者が久晴の右隣にいる。

 今でも、真理香を守るために必要以上に監視する英美里。

 転入当初から英美里は久晴を警戒し、真理香に近寄るところを目で威圧し怖がらせる。

 一応、社内コンペで連続で採用された功労者であることは認めてはいるが、真理香に接近することについては今でも必要以上に敵視する。

(もし、問題でも起こしたら真っ先に俺を吊し上げるに違いない……)

 と思って、英美里に対しては警戒を強める久晴。

 それに加え、年末の二年参りで髪を赤く染めた英美里が自分の胸ぐらを掴んで脅してきたことを昨日のように思い出し、出来れば関わりたくないと久晴は今でも思っている。

 それ以上に、自分が若い女性に対する苦手意識が強いことが発覚されたら……。

 しかも、天敵とも言ってもいい英美里に知られたら……。

 それを思うと、頭が痛く明日一日でもいいから有休を取りたいくらい憂鬱になる。

 今日も、憂鬱な気分と格闘しながら仕事を続ける久晴だった。


 午後三時を迎え、後二時間近くで終業時刻を迎えると思い仕事を続ける。

 改めて、美女に囲まれるなんて世の一般男性なら羨ましく思うシチュエーション。

 だが、女性への苦手意識が強い久晴にとっては地獄と言っても過言ではなかった。

 そんな中、一人のアイドルを追い掛ける熱狂的なファン達の黄色い歓声を彷彿させる女子社員のキャーキャーと騒ぎ出す声が久晴の耳に入る。

(気のせい、とにかく気のせいだ。絶対、関わったら地獄を見る!)

 と自分に言い聞かせる久晴は、周囲の状況を気にせず目の前の仕事に集中する。

 それでも、久晴の耳に女子社員達の話し声が聞こえてしまう。

「あの人って、戸渡家の御曹司じゃなかったかしら?」

「えっ、ウソっ……。てっきり、有名雑誌のファッションモデルの人かと」

 それでも、徹底的に聞かない振りをして仕事に集中する久晴。

 ところが、真理香が声を掛けられ仕事を中断する久晴。

「多田野さん、課長の話があるから今はストップっ!」

 久晴は、今手掛けている仕事を中断し課長である高光に目を向けると隣にファッションモデルのように自分より背が高くスーツ姿が似合う若い男性に目が入る。

「この方は、戸渡家のご子息である戸渡とわたり建也けんや様です」

 と高光の紹介で、所属する部署の反応が他とは違う異変に気付く久晴。

 特に、真理香は隠していても嫌がっている素振りが誰が見ても分かってくる。

(まさか……。この人と、何か嫌なことがあったのでは……)

 と思って、嫌がる素振りを見せる真理香を見て推測する久晴。

 さらに、英美里も親の敵みたいに憎しみが籠もった鋭い視線で睨み付けている。

 英美里の怖い形相を見た久晴は、今まで以上に近づきたくない恐怖を感じる。

 意外にも、咲良は冷静で建也が来ても普段通りに明るく振る舞っている。

 その振る舞いに、空気を読まないのか彼女の性格なのかは謎で首を傾げてしまう久晴。

 唯一の想像通りなのは、男性恐怖症の優菜は建也を見た瞬間に無口となり身を震わせ警戒しているところだけ。

 そんな中、琴音は切り込み隊長を買って出るように建也に話し掛ける。

「失礼ですが、どのようなご用件でしょうか?」

 すると、平然とした態度の建也は余裕を見せるように笑顔で答える。

「皆さん、会社の見学に来ただけなのに警戒しなくても」

 だが、建也の回答に宣伝一課の女子達は各々な警戒を見せる。

 そんな中、久晴は疑問に思いながら改めて建也の容姿を観察する。

 まるで、ファッション雑誌のモデルみたいに自分より背が高く足が長い。

 女性に好まれそうな顔立ちで、茶色の混ざった黒髪に今時流行の髪型を決めている。

(後で元同僚から聞いたけど、あの髪型ってナチュラルウルフだった気が……)

 と久晴は、うろ覚えで聞いた事を思い出しながら自信を失いそうになる。

 しかも、丁寧な口調で誰が見ても育ちの良さが明らかに分かる。

 そんな建也を見たとき、一般庶民の家庭環境で育った自分が惨めに思えてくる久晴。

 同時に、心の奥底で妙な記憶が思い浮かび首を傾げる久晴。

(あれっ、年末であった気が……。いやっ、気のせいっ?)

 そんな中、英美里が見知らぬ人に吠える番犬のように掴みかかる。

「社会見学っ? どうせ、若い女の子をナンパするに決まっているでしょ!」

 と言い放つ英美里は、鋭い目で睨み付け建也を追い払おうとする。

 その様子に、二人の間に何らかの因縁があるのではないかと察する久晴。

 だが、もし英美里に聞こうとしたら飛び火すると思い静観して様子を伺う。

 それでも、建也は英美里の威圧に屈することなく真理香のところへ歩み寄る。

 真理香は、歩み寄ってくる建也を警戒したのか後退りをして警戒し、

「ごめんなさい、戸渡さんとは噂で聞いただけでお目に掛かったのはこれが初めてです。それに、面識がない女性に対して必要以上に近寄るのってマナー違反では」

 と言って、身構えて近寄らないよう忠告する。

 まるで、見知らぬ人に警戒する子供のように見える。

 それでも、建也は真理香の忠告に従うことなく歩み寄って話し掛けてくる

「おやっ、おかしいですね。僕は貴女を誰よりも一番知っているのに、朝川真理香さん」

 まさか、初対面の筈の建也がフルネームで真理香に話し掛けるなんて想定外。

 しかも、昔会っているような雰囲気を醸し出している建也に久晴は何を言えばいいのか分からなくなるくらいに驚く久晴。

 真理香も、初対面と思って遇うつもりが知っていると言われ動揺する。

 それを見た英美里は、真理香に接近する建也を追い払おうと容赦なく噛み付く。

「あんた、真理香が異常に嫌がっているのに何様っ! 言っとくけど、ここはナンパする場所じゃない。悪いけど、今は仕事の邪魔になるからどっかに言ってっ!」

 普通の男性であれば、危険を感じて離れるくらい女性の怒りは怖い。

 ところが、建也は涼しい顔をして恐れる様子は何処にもない。

 それどころか、何かを企む不敵な笑みを浮かべ胸ポケットから何かを取り出す。

「実は、貴女に有力な情報を提供しようと思いまして」

 と言って、胸ポケットから一枚の写真を英美里に手渡す建也。

 英美里は、写真を見た瞬間に怒りの矛先が条件反射で久晴に向ける。

 顔が強張る久晴は、英美里が手にしている写真が思わず目に入る。

 写真は、年末で天使のコスプレをしている真理香がプラカードで殴られそうなところを前髪の長い久晴が庇って助けるところが久晴の目に入っている。

 英美里は、勘違いしたのかプラカードで殴り掛かろうとしている茶髪の男性が久晴だと思い込み鋭い目付きで責め立てる。

「アンタ、真理香に襲い掛かろうとしたでしょう! 白状しなさい、証拠があるのよっ!」

「言っとくけど、俺は生まれたときから一度も染めたことはないっ!」

 と久晴は、冷や汗を流しながらも必死になって無実を主張し反論する。

 だが、英美里は久晴の主張に耳を傾けることなく容赦なく責め立てる。

 さらに、英美里の怒りに油を注ぐように建也が告げ口をして混乱させる。

「この写真、二人のヲタクがコスプレしている若い女性を襲ったと思います。若い女性、朝川さんに似ていると思いますが」

 と建也が憶測で話すと、英美里は容赦なく久晴を責め立てる。

 久晴は、自分の無実を主張するが英美里は認めようとはしない。

「襲われている女の子、明らかに真理香に違いないわよ。では、違うのなら誰っ!」

 と言って、容赦なく追求する英美里。

 その時、真理香との約束を思い出し反論することが出来ず黙ってしまう久晴。

 英美里は、思わず黙ってしまった久晴を必要以上に追求する。

「では、前髪で顔を隠している男は? どうせ、アンタの仲間でしょ!」

 と言って、英美里が決めつけてくる。

 久晴は前髪で顔を隠している男が自分だと主張するが、英美里は納得する様子はなく必要以上に追求する。

 そこへ、琴音が仲裁に入って英美里を止める。

「英美里さん、仕事の場でケンカは止めなさい! 多田野さんの主張、ホントみたいよ」

 琴音に制止された英美里は、不満な顔をして必要以上に久晴を追求するのを止めた。

「どうやら、仕事の邪魔のようですね。それでは、今回はこの辺で失礼します」

 と言い残し、何事もなく宣伝一課のオフィスを立ち去る建也。

 宣伝一課は、建也が残した写真が原因で英美里を中心に宣伝一課は大混乱状態。

 そんな中、久晴の目に薄らと笑みを浮かべ立ち去る建也の顔が写る。

 だが、大混乱状態の宣伝一課では追い掛けることが出来ず冷静になるのを待つことしか出来なかった。


 それから、建也が立ち去って数十分が過ぎ去り一旦は冷静になった宣伝一課。

 だが、建也が残した火種は残っており大騒ぎになる可能性が秘めていた。

 疑惑の渦中にいる久晴は、英美里から疑いの目で見られている上に無実を主張しても聞き入れて貰えず困り果てた表情をすることしか出来ない。

 普段なら、今にも噛み付こうとする英美里を宥める真理香が困惑しているのか久晴を助けようとはしない。

 唯一の救いは、琴音が真理香に変わって英美里を制止してくれること。

 そんな中、困惑する真理香の口から新たな疑惑が浮上する。

「一体、誰が社員の名を……? 一応、この会社のセキュリティー厳重では……?」

 と言って、不安そうな顔で困惑する真理香。

 そのとき、英美里が久晴を睨み付けて勝手な推理を言い出す。

「そんなの、コイツか建也のキザ野郎に会社の情報を横流しをしたに決まっている。アンタ、いくらで引き受けた?」

 なんと、英美里が久晴を犯人扱いして容赦なく追求する。

 それに対して、建也とは全く面識はない久晴は必死に身の潔白を主張する。

「言っとくけど、戸渡建也は課長の紹介で初めて知った。それに、会社全員の名前は把握してない上にサーバーにアクセスした覚えは全くないっ! 一体、どうやって会社の情報を?」

 それでも、英美里は自分の主張が正しいと思い久晴を犯人扱いする。

 その時、琴音が口論を続ける久晴と英美里の中に入り込んで仲裁する。

「英美里さん、思い込みで他人を犯人扱いしないのっ! 多田野さんの主張、どうやら本当のように聞こえているけど」

 それでも、英美里は容赦なく久晴を追い詰める。

 当然、英美里から身に覚えのない濡れ衣を掛けられた久晴は無実を主張する。

 宣伝一課は、久晴と英美里の堂々巡りを繰り返しで再び混乱する。

 そんな中、真理香のスマホから着信音が流れDMをチェックする。

 すると、真理香の表情が曇り始め険しさを見せる。

「絶対、アンタが犯人の証拠でしょう。ここは、観念してゲロったら」

 と言って、情報漏洩の犯人を久晴に決めつける英美里。

 それに対して、身に覚えのない罪に必死に無実を主張しようと必死に訴える久晴。

「信じてくれ! 他の誰かに話したことも、単独で他の誰かと接した覚えはないっ!」

 だが、宣伝一課の女子社員は何故か静観するだけで動く気配はない。

 窮地に追い詰められ、藁にもすがる思いで真理香に助けを求める久晴だが、

「ゴメンっ! 多田野さん、急な用事が入ったから後で」

 と言い残し真理香は立ち去ってしまい、絶望の二文字が背中に重くのし掛かり肩を落とすしかなった。

 それに対して、英美里は勝ち誇ったように久晴を犯人扱いし無実の主張も言い訳にしか聞こえず耳を貸す気は全くない。

 まるで、無実の一般市民を捕まえて身に覚えのない罪を着せる悪徳警官そのもの。

 それに対して、窮地に追い込まれ肩を落とす久晴は頭の中が真っ白になり仕事に手を付ける心情ではない。

 唯一の救いは、真理香に変わって放心状態の久晴を気遣う琴音が、

「もし、疑いがあるのなら秘書課の人が来るはず。今は、心配しなくていいから」

 と言って、無実を信じてくれるように軽く肩を叩いて慰める。

 だが、一番信用している真理香に立ち去られたことが相当ショックを受けたことは紛れもない事実。

 この後、自分がどうなるのか不安になる久晴であった……。


 誰もいない休憩室に駆け込んだ真理香はスマホのDMを見た瞬間、この世の終わりを見たような深刻な表情を見せる。

 そこへ、英美里が自信満々で姿を現し、

「どうせ、鈍臭いオッサンが情報漏洩の証拠を掴んだ連絡でしょ。真理香、徹底的につぶすからあたしに見せて」

 と言って、深刻な表情の真理香からスマホを強引に取り上げる。

 真理香は、深刻な表情を崩すことなく無言で何度も首を横に振る。

 否定する真理香を見てスマホのDMを読むと、

「えっと、『真理香へ、週末にお見合いがあるから家に戻りなさい。母より』って詰まんないわね。せっかく、あのオッサンを吊し上げられると思ったのに」

 と言って、悔しがる英美里は舌打ちする。

 そこへ、琴音が悪戯好きな我が子を懲らしめる母親のような怖い顔で姿を現し、

「英美里さん、多田野さんが情報を外部に漏らしたとは到底思えません。いい加減、相手が男だからって犯人に決めつけない」

 と言って、暴走しそうと思って英美里に厳しく忠告する。

 だが、英美里は納得することなく琴音の忠告を無視するように、

「あのオッサン、一見大人しく見える羊でも中身は女を襲う狼。狼だって!」

 と言って、悔しそうな表情で休憩室を後にする。

 琴音は、英美里の暴走的な行動に困りながらも暗い表情の真理香を慰める。

 そのとき、お見合いの相手が社会見学で姿を現した戸渡建也だと確信し深刻な表情を崩すことのない真理香は不吉な予感がしていた。

 これが、この後に待ち受ける騒動の始まりではないかと……。




 数日後、久晴は社員寮の自室で思い悩んでいた。

 これまでと違って、今の宣伝一課の雰囲気が配属して約半年前と違う雰囲気で別の意味で居心地が悪い。

 真理香は思い悩んだ様子で暗い表情で俯き、声を掛けようとすれば番犬役の英美里に門前払いされて誤解を解くチャンスを与えようとしない。

 その上、普段はムードメーカー的存在の咲良が何故か静観して様子を伺っている。

 優菜に至っては、半年前に戻った状態で久晴が近寄ると自ら離れてしまう。

 しかも、咲良と優菜が協力して資料集めに勤しんでいる。

 だが、咲良と優菜が何の資料を集めているのかは依然として分からない。

 そんな、殺伐とした雰囲気の中で母親的な存在の琴音が肩を落とす久晴を慰めてくれることが唯一の救い。

 しかし、身に覚えのない疑惑を解かない限り殺伐とした雰囲気から抜け出すことは出来ないと危機感を感じる久晴。

 しかも、一番信頼を寄せている真理香に誤解を解かなければ。

 だが、未だに久晴を犯人扱いする英美里がいる限り誤解を解くことはできない。

 為す術がないと思っている久晴だが、裏で更なる陰謀が動き始めていることを今は知る由もなかった……。


 これは、久晴が知ることのない場所で動きがあった。

 週末の昼下がり、都内だというのに手入れの行き届き京都へ行ったような錯覚する立派な庭園の高級料亭で振り袖姿の真理香が務めている会社の副社長夫妻に引率される形で障子に囲まれた一室に姿を現す。

 障子を開けると、両親を挟んでスーツ姿の建也が掘り炬燵のようなテーブル席で座って待ち構えていた。

 振り袖姿の真理香を見て、建也の父である修蔵が笑顔で煽てるように褒めてくる。

「流石、近衛家のお嬢様だ。品があって、非の打ち所のない美しさだ」

 まるで、自分のお見合い相手が来たように修蔵は真理香を煽てる。

 それを見て、やや不機嫌そうに修蔵の妻が睨みを利かせて威圧する。

 建也も主役を差し置かれて、修蔵に無言の怒りを表すように睨みを利かせる。

 修蔵は、二人に睨まれて座っている席で大人しくなる。

 真理香達が席に座ると、仲人役の年配の女性がお見合いの進行を務める。

 最初は、戸渡家側の両親が名を名乗り最後に建也が、

「僕は、戸渡家の長男で建也と申します」

 と名乗り、待ちに待った気持ちを抑え込むように自信に満ちていた。

 近衛家側も、両親役の副社長と妻が名を名乗り最後に真理香が自己紹介する。

 そのとき、真理香は緊張した面持ちで、

「こっ、近衛真理香です……。先日、イギリスから帰国したばかりで……」

 と言って、淡々とした自己紹介を済ませ挨拶する。

 しかし、普段は朝川の姓を名乗っているのに今日に限って近衛の姓を名乗っている。

 さらに、「イギリスから帰国したばかりで」と謎めいたことを言っている。

 もしかしたら、真理香は副社長の娘に扮しているかもしれない。

 建也は終始笑顔なのに対して、真理香は俯いて嫌がっている様子である。

 そんな中、建也は笑顔で俯いている真理香に、

「あれ、先日お会いしたような……? そのとき、真理香さんは髪を束ねて細い眼鏡を掛けていたような気が……。もしかしたら、僕の気のせいでしょうか?」

 と言って、相手の心理を突くように笑顔で訊ねてきた。

 そのとき、庭園内の鹿威しからコーンと音が響き渡ると同時に真理香は緊張した面持ちで建也に返答する。

「私、戸渡先輩とは中学を卒業してから一度もお会いしたことが……。それに、ロンドン支社で働いているので会う機会がないかと……」

「そうですよね? 確か、ロンドンの真理香さんは髪が黒っぽかったような?」

 と言って、笑顔を見せて訪ねてくる建也は相手の心理を突いてくる。

 それに対して、真理香は緊張感を崩すことなく返答する。

「それは、光の当たり方で髪の色が変化すると思われます。国が違えば髪質も違いますし、そもそもロンドンで戸渡先輩を見掛けた記憶が……」

 すると、にこやかに笑いながら建也は、

「そうですよね。僕、イギリスには行ったことありませんから」

 と言って、態と惚け白々しく素振りを見せる。

 まるで、何かを知り尽くしている素振りを隠すような惚け方をしている。

 真理香は、余裕を見せる建也の訊ね方に警戒しているが探られないように俯いて平常心を保とうとしていた。

 そこへ、副社長が溜め息交じりで俯いている真理香に注意する。

「コラ、相手と話をするときは顔を上げて目を見なさいと注意しているというのに……。前回のお見合いといい、子供の頃から真理香は人見知りが激しいというか……」

「恐らく、このような席で緊張していると思われます。僕だって、このような席でのお見合いは重苦しくて緊張しています」

 と言って、真理香の両脇にいる副社長夫妻に笑顔で対応する建也。

 戸渡家側と副社長夫妻は、緊張が解れたのか家族間で談笑して盛り上がる。

 談笑している中、真理香だけは警戒感を示すように様子を見ながら身構えている。

 それに対して、副社長夫妻は建也の対応力に好印象を受け安心している。

 そんな中、建也は副社長夫妻に何を企てているのか提案を持ち掛けた。

「お会いする機会が、今回だけは勿体ないと思いませんか? そうだ、真理香さん今度デートしましょう。年末、変な衣装を着るより楽しいところを押さえておきますので」

 なんと、建也は大胆にも警戒感を示す真理香に対してデートに誘う。

 しかも、真理香の趣味を知っているような雰囲気を醸し出している。

 当然、真理香は罠だと察知し誘いを断ろうと必死になる。

「ごっ、ごめんなさい。私っ、ロンドンで仕事がありますので……。それに、約束をしても戻れる保証は……」

 ところが、建也に好印象を受けた副社長は真理香にデートの誘いを受けるよう命じる。

「真理香、こんな好青年と付き合う機会はめったにない。夏休み前、日本に戻る予定があるはずだから一度付き合ったらどうだ?」

 しかも、副社長の妻も同感で真理香に説得する。

「真理香、同世代の男性と付き合う機会が少ないから建也さんとデートに行きなさい。あなたにとって、何かプラスになると思うわよ」

 真理香は、副社長夫妻に説得されて渋々デートの誘いを受ける羽目になったと同時に建也の策略に嵌められたことを痛感する。

 同じ頃、遼太郎は自室で手紙を読んで難色を示す。

 手紙の送り主は、投資家の戸渡修蔵である。

 その手紙の内容は、黒井製作所の経営権に関するものだった。

(近衛遼太郎様、黒井製作所の子会社化について社風も違いますし社員の中には困惑している者もいます。それに、子会社化によって色々と負担が増えメリットはないかと思います。ここは、経理を担当していた戸渡修蔵に経営権を委ねては如何でしょうか? そちら側にも、利益を配当の形でお譲りします……)

「……どうか、ご検討お願いします……。何か、不吉な予感が……。黒井製作所は、黒井との約束で出資した会社だ……」

 と言って、難色を示す遼太郎は真理香のお見合いと何か良からぬ企み察知した。

 そこで、遼太郎はスマホで電話を掛ける。

「難波君、急で申し訳ないが戸渡家の情報を引き続き頼む。もし、真理香の身に何かあったら直ちに連絡を入れてくれ。何か、良からぬことが起きそうな気がする」

 すると、スマホのスピーカーから琴音の声が聞こえる。

「了解しました。引き続き、部署の者に調査を続けるよう指示を出します」

 そのとき、電話を切って窓から見える入道雲に不吉な予感を重ね合わせる遼太郎。

 まさか、遼太郎の不吉な予感が的中することを誰も予想できなかった……。


 同じ日の日暮れ、久晴は社宅寮へ帰宅する途中だった。

 近くの商店街を探索するが、建也がもたらした疑惑で同じ部署で働く女子社員達と違う意味での深い溝が気になって気分転換にはならない久晴。

 久晴の顔は、異常とも言っていいほど暗く下手したら病気ではないかと疑われてもおかしくはなかった。

 そんな中、三人の不良グループが談笑して歩く光景を目の当たりにする久晴。

 見た瞬間、目を合わせないように顔を俯き知らぬ振りして素通りを試みる。

(絶対、絶対に関わったら大変な目に合うのは間違いない……。知らぬ振り、ここは絶対に知らぬ振りで切り抜けるぞ!)

 と自分に言い聞かせ、不良グループとの接触を避けようとする久晴。

 ところが、素通りしようとしたとき不良クループの一人が久晴の肩を掴んできた。

 思わず、久晴は振り向くと髪を赤く染めた英美里と目を合わせてしまう。

 その瞬間、年末での二年参り後に起きた事件がフラッシュバックで思い浮かんできた。

「エミリィ、この前言っていたオッサンってコイツのこと? もしかして」

 と友人と思われる一人が、狂気に満ちた笑顔で英美里に尋ねてきた。

 すると、英美里は不機嫌な表情を崩すことなく頷いて久晴を逃がさないよう胸ぐらを掴んで鋭い目つきで睨んでくる。

 そのとき、久晴は自分が殺されるような恐怖を感じている。

「オマエ、年末に真理香に何やった? どうやって、社員情報を建也に横流しをした?」

 と言って、久晴を完全に犯人扱いして拷問じみた尋問をする英美里。

 当然、久晴は真理香へ危害を与えてない上に社員情報を誰かに流した覚えもない。

 ましては、社員全員の名を覚えていなければ外部に接触した覚えもない。

 英美里の尋問に、建也が仕掛けた濡れ衣だと主張する久晴。

 ところが、恐怖の余りに喉が詰まり喋り出すことが出来ない。

 痺れを切らせたのか、英美里は拳を握って久晴を殴り掛かろうとした。

 最早、助からないと周囲がスローモーションに見えた久晴。

 そのとき、殴り掛かる英美里を制止したのは偶然にも通りかかってきた琴音だった。

「英美里さん、何度言ったら分かるのっ! もし、大事になったら私でも火消はできませんよっ!」

 と言って、琴音は厳しく叱って英美里を制止する。

 英美里は、久晴の胸ぐらを掴んだ手を放し悔しそうに仲間と共に去って行く。

 まるで、獲物を逃した猛獣のようにも見える。

 琴音の静止で命拾いをした久晴は、頭を下げてお礼の言葉を言おうとする。

 ところが、恐怖が残っているのか喉が詰まり上手く喋れない。

「とにかく、近くの公園で一息しましょう。多田野さん」

 と言って、近くの公園へ誘導する琴音。

 久晴は、恐怖を未だに引きずったまま琴音の誘導で近くの公園に向かうのであった。

 こうして、公園のベンチで腰を下ろす久晴は琴音から差し出されたペットボトルの水を受け取り飲んで心を落ち着かせる。

 琴音は、何も思ったのか英美里が男を必要以上に憎んでいるのか久晴に話してくれた。

「信じられないけど、英美里さんは子供の頃に父親から乱暴された過去があるの……」

 その話を聞き、別の意味の驚きで何を言えばいいのか分からなくなる久晴。

 だが、最後まで聞かなければ把握できないと思い琴音の話に何も言わず聞き逃さないよう耳を傾けることにした。

「英美里さんの母親、彼女を生んでから体調を崩してしまい物覚えがつく前に他界して……。そのショックで、英美里さんの父親が酒浸りになって……。それでも、英美里さんは明るく振舞っていたけど……」

 と話して、後の言葉が詰まる琴音を見て何か最悪な出来事が起きたことを察する久晴。

 琴音は、真顔で聞き手に徹する久晴を見て続きを話す。

「英美里さん、中学の頃に自分の父親からレイプされそうになったの。偶然にも、会長が訪問して未遂で終わったけど……。英美里の父親、重度のアルコール依存症により今も治療中。不憫に思い、英美里さんは養子縁組で会長の養女となり……」

 まさか、気の強い英美里が父親に乱暴されたことを知り、男に対して必要以上に憎んでいるのか聞かなくても理由が何となくわかってきた久晴。

 だが、英美里が真理香を必要以上に守ろうとしているのか未だに謎である。

 その謎は、琴音が話す近衛家のエピソードが深く関係していた。

「養子になる前から、真理香お嬢様が学校で髪の色の違いでイジメ受けていることを見て見ぬ振りができなくて男子とよくケンカしていたと聞いています。まるで、自分の妹分のように真理香お嬢様と友人関係を構築していたそうです」

「難波さん、朝川さんとの関係が?」

「真理香お嬢様がロンドン支社へ配属されてから、代わるように真理香さんが同じ部署へ配属されてお嬢様と重ね合わせてボディーガード役を買って出ているみたい」

 と言って、少し笑顔を見せる琴音。

 琴音の話を聞いて、英美里が女を見せつけるような制服の着こなし方をしているのは男子社員の視線を集めて真理香から注目を逸らすためだと聞かなくても分かってきた久晴。

 それでも、英美里が私服でもアメリカの若者が好むストリート風のファッションに疑問を抱く久晴。

 琴音の口から、意外なことを聞くことになる

「彼女、高校の時からラッパーをしているの。あの服装、恐らくMCバトルに参加するための衣装ね」

 久晴は、英美里がMCバトルのラッパーだと聞き驚くと同時に少し前を思い出す。

(そう言えば、仲間の一人が西堂さんのことを「エミリィ」と呼んでいたような……)

 意外な英美里の秘密を知って、驚きと同時に少しだけ緊張感から介抱されたような気がした久晴。

 それでも、英美里が疑いを掛けている限り

「多分、真理香さんは濡れ衣だと気づいていると思いますよ。それに、あなたが最後まで聞き逃さない態度や必死に主張する姿を見て嘘には見えないと私は見ています」

 と言って、自分の見解を述べて久晴を励ます琴音。

 そのとき、女子社員同士で苗字ではなく名前で呼び合うのか謎過ぎる久晴。

 久晴の思っている謎を見抜いたのか、琴音は笑顔で言い残して後にする。

「それは、同じチームで頑張って信頼している証拠かな」

 琴音の回答に、何がどうなっているのか未だに謎で困惑する久晴。

 琴音の背中からは、「信頼されたら分かるわよ」と言わんばかりに自信に満ちている。

 久晴は、去って行く琴音の背中を見ることしかできなかった。


 週が明けで、普段通りに仕事をする久晴だが同じ部署の女子社員達はミーティングルームで打ち合わせをしている。

 一体、どのようなミーティングなのかは全くと言っても見当がつかない久晴。

 久晴の耳に、「真理香の髪が染めることが」とか、「戸渡家の夫婦の間で揉め事が」とか「会社の経営で」とかがミーティングルームから偶然にも聞こえてくる。

 それでも、久晴は聞かぬ振りして今ある仕事を集中することにした。

(とにかく、触らぬ神に祟りなしだ……。関わったら、関わってしまったら絶対に何かに巻き込まれるのは間違いない。関わるな、絶対に関わるなっ!)

 と思って、自分に言い聞かせるように仕事に集中する久晴。

 唯一の救いは、課長の高光が出張で一週間不在であること。

 だが、その様子を受付嬢の一人が隠れて監視していることに気が付かない久晴。

 一方、ミーティングルーム内では女子社員同士で意見交換が行われていた。

「結局、お見合いの席で建也からデートを申し込まれ受け入れたと……。しかも、真理香の両親を味方に付けてか……。これは、一大事としか言いようがないわね……」

 と言って、真理香の話を聞いて険しい表情を見せる琴音。

 それに対し、英美里は苛立ちを露わにして文句を言う。

「大体、真理香の親って昔からお人好しすぎるのよね。それに、今回の元凶は仕事しているオッサンに決まっているっ!」

 そんな中、普段は大人しい優菜が珍しく自分の見解を話す。

「もしかしたら、多田野さんは無実なのでは……。だって、私が勇気を絞って近寄ると何故か離れようとします。多田野さん、本物の羊なのでは……」

「優菜、襲われた経験があるのに甘い。何度も言うけど、男は羊の皮を被った狼なのっ!」

 と言って、優菜の意見を真っ向から否定する英美里は更なる疑惑を優菜にぶつける。

「じゃあ、オッサンが真理香に目を向けたのは何っ? 絶対、何か隠している証拠よ!」

「それは、真理香さんと何かの約束で言わなかったのでは……」

 と言って、自分の思う推測を英美里に伝える優菜。

 優菜の推測が当たっているのか、喋らない真理香の肩がピクッと動き少し動揺する。

 しかし、英美里は真理香の動揺を久晴が何か恐喝していると勘違いして、

「みんな甘い、甘すぎるわよ! 絶対、アイツが情報を漏らしたに決まってるって!」

 と言って、今にも不満が爆発しそうだった。

 琴音は、不満が爆発しそうな英美里を母親のように宥める。

 結局、ミーティングは三十分以上にも及び疲れ果てていた。

 ミーティングルームから出てきた真理香や女子社員達に、どのような声を掛ければいいのか困惑する久晴。

 だが、下手に声を掛けたら何を言われるのか怖くなり大人しく仕事をする久晴。

 そう、自分に言い聞かせた「触らぬ神に祟りなし」の精神で見守ることしか出来ない。

 琴音は、久晴が大人しく仕事をしていることにホッと胸を撫で下ろしたであった。




 一週間後、悪夢のような状況は今も変わることはない。

 今も暗い表情で俯く真理香は、何か思い悩んだ様子で話が聞ける状況ではない。

 久晴が話し掛けようとすると、機嫌の悪い英美里が割って入り邪魔をする。

 まるで、「言い訳無用」と言わんばかりに門前払いする凶暴な番犬。

 何を言っても、聞く耳すら持たない英美里に困り果てる久晴。

 それに対して、咲良と優菜の二人は何故か静観して様子を伺っているだけ。

 唯一の救いは、宣伝一課の主任である琴音が仲裁してくれることだけ。

「英美里さん、そんなに怖い顔しないの。職場の雰囲気、悪くなっちゃうでしょう」

 と言って、英美里を宥める琴音は母親役のように意外と穏やかである。

 それでも、英美里は久晴を睨み付け裏切り者扱いする。

 その様子を静観する受付嬢の一人が、物陰に隠れてスマホで誰かと話している。

 その時、他の男性社員が声を掛けられ急に笑顔を見せて、

「ごめんなさい。今、休憩中で……」

 と言い残し、その場を去る受付嬢は持ち場に戻る。

 琴音は、持ち場を離れている受付嬢を不審に見届けている。

 建也の来社、建也がもたらした疑惑、そして真理香に気安く声を掛ける建也。

 その御陰で、久晴は身に覚えのない濡れ衣を着せられ今も孤立状態。

 久晴は、今も誤解を解こうと心の中で格闘をしている最中である。

(何とかして、朝川さんに訴えないと……。何とかして、誤解を解かなければ……)

 久晴は、身に覚えのない濡れ衣に今も絶賛迷走中である。

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