17話
「私の名前は、南条剛史です。斎藤梨花さんのマネージャーを務めさせていただいてます」
南条と名乗る男は、ものすごく険しい顔をしながら俺に聞いてきた。
「君と、梨花さんは、どういう関係なんだ」
彼はそのまま続けて
「うちの事務所は恋愛禁止だぞ!梨花アイドルの自覚足りないんじゃないのか?」
梨花は、今にも泣きそうな顔をしていた。
俺は、手を握った。
誤解されるかもしれないけど、梨花が震えているのを見てそんな気持ちは吹っ飛んだ。
「土曜日、事務所に来てもらおうか」
梨花は頷いた。俺の手をしっかりと握って。
「南条さん、用事って何ですか?」
彼は思い出したかのように可愛い花の付いた手帳を取り出した。
「これ、楽屋に忘れてたから」
彼がそう言うと、梨花も思い出したかのような顔をした。
「すっかり忘れてました。ありがとうございます!」
梨花がお礼を言うと、彼は去っていった。
「大変なことになっちゃったね...」
梨花がちょっと困ったように言った。
俺は何とかなるだろうくらいの気持ちでいた。
土曜日にあんなことが起こるなんて、あんなことが起こるなんて思ってもいなかったから。
「まぁ、大丈夫でしょ!」
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