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寒くてもやらなきゃダメ 変なところで人間を辞めてる

「店長ー、今思い出した事があるんですけど」

「んー?何ー?」

「マグロ食ってません、牡蠣鍋の時に大トロの刺身とか握りとかが出るはずだったのでは…?」

「あー…そういえばそうだね、マグロ出してないね」

「牡蠣鍋のインパクトで吹っ飛んでましたけど、ずーっと何か忘れてるようなって引っかかってたんですよね」

「まだ冷凍庫に入れっぱなしだから帰ったら解凍しておかないとねぇ」

「私は帰る前に凍死しそうですけどね、こんな状態で山に入ってるんですか?木々で遮られて多少ましとはいえ辺り一面雪ですよ?ちょっと気を叩いたらドッサーって落ちてくるくらい積もってますよ?」

「でも今日は雪は降ってないでしょ?だからこそ山道近辺も雪下ろしをして倒木を防いだり道を整備したりね?だから虎テープで目印を付けてある木はどんどん叩いて行ってねー、これを怠ると冬が明けた後に面倒な作業が増えるし」

「主にどういう作業が?」

「雪で折れた枝や木でまず道が塞がれる、次に融けた雪で道がぐずぐずになる、ついでに道もちょっと崩れる事があるから崩れそうなところの補強をね?後冬場でも松林はちゃんと整備しておかないと来年の天然松茸の収穫量が減る」

「松茸が減ると私の食べる分も減るのでそれは重要ですね、松茸を1本丸々じっくり焼いて食べるなんてタダかつ大量に貰わないと出来ないし」

「ちゃんと手入れしておけば毎年数百キロからは軽く採れるからね、夏と秋で2回収穫して恵里香さんの実家やらアイナ達の実家やら華ちゃんの実家やらにお届け、それでも400キロからは軽く余るくらいには収穫可能、熊もとか猪も食べに来るから全部は採らないけどね」

「勿体無い気がしますねー…熊とか猪に松茸なんて贅沢ですよ、むしろ世間一般からするとそこまで余ってるなら追い払ってでも全部収穫してこっちに寄越せって思うんじゃないですかね?」

「見ず知らずの人にばら撒くくらいなら活動期間中は山を見回ってくれてる熊とか猪とかに食べさせる方がいいね」

「そういう物ですかねー?」

「そういう物よ、それじゃあ雪を落としつつ松林まで道を整備して、倒木があったら纏めておいてあるところまで運んでかな?」

「さすがに倒木は無理ー、そこいらのアスリートや格闘家にはまず負ける事は無いだろうけど、気分はまだ普通の女子高生なので」

「女子高生って気分でやるような物なの?」

「年齢も心もまだまだ女子高生なのできっと女子高生、学校はクラス全員行方不明で退学扱いになってそうだけど」

「在校扱いならそれはそれで留年は確定だし、今までどこにいたのか他の人はどこに行ったのかってマスコミが押し寄せてくるだろうね」

「面倒なこの上なし、それならもう自主退学したほうが楽だけど中卒確定、詰みはしないけど兎に角噂になる事は間違いないのでどこに行っても肩身が狭くなるというか、まあ戻らないのが正解みたいなところがありますよね、召喚される前の時間に戻れるならそうでもないですけど」

「過去に干渉は…まあ…やろうと思えば出来るけど、そもそも時間に干渉出来るのは…意外と…居るね?」

「居るのか…」

「メイド達だとルシフと狐さんとイデアが干渉出来て、第二世代は代表をやってる1人だけとはいえ第一世代は全員可能だから意外と居る、それ以外は無理。

大体戻されるのは似て非なる世界というか、古いデータを新しいデータに上書きして無理やり昔の状態に戻してるとかそんな感じ、若返らせて元に戻すーとかは若返らせているわけではなく、古い方の自分と脳を交換して外見だけ元に戻ってるとかそんな感じ、機械的な方法で記憶を抜き出して上書きって方法もあるけどね」

「まあそうですよねぇ…聞いた話では大体そういう事をするのは中途半端というか、そういう事が出来るツールの複製品を使って悪用してるだけの普通の人みたいですし、巻き戻すなんて事は出来ませんよね」

「こういうちょっとした種火を起こしたりする事すら出来ない、出来なくなった人達だからね、そういう見せかけで誤魔化すしかないのよ。

ちなみに脳移植と記憶の上書き、どちらの方法をとっても長生きはできないね、脳は年を取って劣化したまま、記憶の上書きは脳に負担がかかるから上書きした瞬間脳死の可能性もある」

「元の所に戻す意味ってあるんですかねー?あ、倒木」

「ゲームで遊んでる人からすればゲームクリア後のおまけとかそんな感じ、脳を移植するって事はこういうチップが脳に埋め込まれたまま、つまり見えもしない物が見えて一般人相手に刃物を振り回す危険人物の出来上がり、後はどれだけ長く生き残れるかを賭けるだけ。

まあ刃物を振り回してる本人は一般人がいわゆるゾンビに見えたり、人ではない別の異形に見えたり、その辺にある建物や樹木も荒らされて朽ち果てている様に見えるだろうね」

「んー…悪趣味…」

「自分が作った玩具だから自分の好きにしていいっていう考えが根付いてるのもあるっちゃあるね、玩具にされてる人って基本的にどこかからコピーされてきた物でしかないし、ちゃんと長い時間をかけて独自の進化を遂げて生態系を作り出してるところに迷惑をかけたり巻き込んだりしない限りはまあ見逃すよって感じ」

「店長が介入してきたのは巻き込まれたからなんですかね?」

「そうだね、巻き込まれなかったら全員死んでようが星ごと消えてようが気に掛ける事もなかっただろうね、いつもの事だと。

でも巻き込まれた以上は落とし前をつけさせないとダメじゃない?交通事故で例えるなら歩道を歩いてた人をよそ見運転で跳ね飛ばすようなものだし、謝れば済むって問題でもないからね。

まあ、召喚とかそういう巻き込みに関してはお金で済むような話ではないし、そもそも使ってる通貨も価値も違うし、究極的に言えばお金どころか物資も人質も要らないから命で償おうね、生き延びて逃げ切れたら許してあげるね?ってくらい」

「それどのくらいの確率で生き延びて逃げ切れるんですか?」

「そうだねぇ…普通の蟻をその場から動けないように接着剤で止めて100トンプレスして生きてる確率くらい?」

「ゼロじゃん…」

「実際の力の差はそんな物じゃないけどね、ただ数だけは多いから蜘蛛の子の散らすように散っていったのを処分するのにちょこっと時間はかかる。

とりあえず倒木は脇道に置いといて帰りにホダ木用として纏めて置いてあるところに投げ込む感じだね」

「でー…それどうやって倒木を持ち上げてるんですかね?がっつり掴んでるようには見えませんし」

「んー…なんて言ったらいいんだろうね?簡単に磁石とか吸盤でくっつけてるような感じかな?」

「落ちてるどんぐりとか枝を拾うようにひょいっと持ち上げてるから本当は軽いんじゃないかと思ってしまうわ…でも握力が要らないのは便利そう」

「実際便利よ?掴む場所がない物でもこうやってペタッとくっつけるだけで持ち上げれるしね、でもくっつけた後は力技、鍛えてないと持ち上がらない」

「ですよねー、でもいろいろ使えそうそうですね」

「使いどころはそんなにないけどね、二枚貝を開ける時なんかは貝柱を切るほうが早いし、ボルタリングとかロッククライミング、木登りで掴む必要がなくなるくらい?基本的にはこう…瓦を重ねて下まで通して重ねて持ち上げるとか、ブロックを重ねて纏めて持ち上げるとか、そういう使い方の方が多いかなぁ?」

「要はロープとかの代わりなんですね、あ、松林が見えてきた」

「松が大雪で折れたりしてなきゃいいんだけどねぇ…折れてたら折れてたで処置して薬剤を流し込んでくっつけて元通りにするだけだけど」

「木の処置ってそんな物なんです?」

「木の種類によるけどね、松なら折れたところをくっつけて元に戻せば大丈夫、折れたばかりなら癒合剤を塗ってサラシを巻くっていう処置をしておけば松脂でくっついてある程度は元に戻る、時間がたってたらまあ…いっそ切って整える方が病気を防げたりはする。

んー…パッと見折れている木はなさそうだし、積もってる雪を落とすだけでよさそうだね」

「どうやって落とせばいいんですかねこれ?他の木みたいに蹴飛ばしていいんですか?」

「柔軟性はそれほどないから棒ででつついて上から落としてね?」


「よっしゃー!待ちに待ったマグロ!じゃんけんに負けてくっそ寒い中山に入ったり松林の雪下ろしをして思い出した甲斐があるってもんだ!」

「そういえば牡蠣鍋の時に出すのを忘れてましたね、これでもう全部でしたっけ?」

「これでもう全部だね、赤身にトロ中トロ大トロネギトロ、刺身に握りに巻き寿司にマグロユッケ、焼いても美味しいけど…まあ刺身とお寿司が鉄板よね」

「んー…まぁーい…やっぱりマグロは刺身とお寿司ですよねー…噛めば噛むほど味が出てくる赤身に口の中に入れれば溶けて消えるほどよい厚さと大きさに切った大トロに…」

「これを掛けた店長さんに感謝しないとね」

「マグロってどのくらいの物が釣れるんです?」

「マグロはピンキリですよ、5キロにも満たないキハダから100キロを超えるクロマグロまで、お兄さんが持って帰ってきたのは400キロクラスで取り扱う場所が場所なら1匹で4000万とかで落札されるやつですね、ご祝儀価格ってのもありますが」

「高いですねぇ…タカミヤは何も考えずバクバク食べてますけど値段を知ったらどう思うのか…」

「高いとは思ってもそのまま食べ続けるんじゃないですかね?タマキちゃんも欲しい物は早く取らないと無くなりますよ?使用人さんも含めて結構な人数がいますし、マグロ以外にもイカとかサーモンとか色々用意してありますけど」

「マグロも美味しいのは確かですけど、このイカやサーモンも美味しいのでバランスよくですね」

「食い倒れ上等海鮮丼出来たよー」

「はいはいはーい、こっちくださーい」

「あれを食べたら本当に倒れそうですね…」

「赤身からネギトロまで全部盛り、さらにイカにタコにエビにサーモンいくらホタテカニウニタイ生しらす、寿司飯も相応にドカンとはいって総重量5キロくらいですかね?寿司飯は1キロくらいでしょうけど」

「普通なら10人くらいで分けて食べるパーティー用とかですよねアレ」

「メイドさん達ならあれでも足りませんけど、世間一般では写真を撮るだけ撮ったら10人かそこいらで仲良く分けて食べるパーティー寿司ですね、決して1人で頼んで食べるような物ではないです」

「ですよねぇ…はたして食べきれるのかどうか…刺身と握りも結構食べてましたし…」

「時間をかけて全部食べるんじゃないですかね?消化を助ける飲み薬もありますし、ちょっとお花を摘みに行く時間が長くなったり一時的に体重が5キロ以上増えたりしますけど」

「美味しい物を沢山食べたいというのは分からなくはないんですけどねぇ…」

「お堅いお寿司屋さんじゃないからこそ出来る物も追加したよー、牛たたき握りにイカとサーモンの炙りマヨ、普通のわさび巻にたこわさいかわさ数の子わさびその他わさび和えの中巻各種、そしてツナとエッグフィリングのツナマヨ巻、エビカツとんかつカニカマ天にうなぎの太巻、そして普通のサラダ巻」

「多いですねぇ…でもこれが全部無くなるんでしょうね…」

「まあ、このくらいなら後で押し寄せてくるであろうメイドさん達のおやつとして全部無くなりますね」

「海鮮丼んまーい!」


「あぁ…食べ過ぎた…でも後悔はしていない…」

「胃薬を飲んで無理やり消化したとはいえ無理をしすぎでは?」

「いやー…ああも次から次へと出されると…ね?全部食べたいじゃん?使用人さん達もあれやこれやとなんだかんだで全種コンプリートしてたし…」

「全種食べれど丼を食べてはいませんし、1貫ずつとかの少量ですよ?余裕があればそこからもう1つ2つという感じでタカミヤみたいに丼を食べてかつ10貫とか20貫食べているわけではないですし…途中から強力な胃薬というドーピングをして大丈夫になったとはいえ一体何キロ食べてるんですか…」

「んー…丼が6キロあって巻き寿司も2本ずつとか食べてるから…15キロくらい…?」

「なんでそういうところで人間を辞めるんですかね…」

「店長の作るごはんが美味しいのが悪い、ちょこちょこお昼ご飯は作ってくれるけどあそこまで豪華で種類があるって事は無いし、家の保温気は温かい物限定だからお寿司とか出せないし、美味しい物は食べれる時に食べておかないといつ食べれるかわからないし…」

「ここ1週間ばかし贅沢をしすぎな気もしますけどね、1日の間を置いているとはいえニンニク鍋に牡蠣鍋ときて今日のお寿司ですし」

「明日は何が食べれるかなー…うぉっぷ…」

「何が食べれる食べれない以前に遠慮をするという事を覚えた方がいいと思います」

「いやぁ…ねぇ?葵さんとか春香さんとか透さんがあれもこれ持って進めてくるからつい…」

「恵里香さんもそうですけど…実家に遊びに来た孫に美味しい物を食べさせようとするお婆さんみたいなところがありますよね…年齢的にはそうではないんですが…」

「仕事が忙しくて特に何も出来ないから食べ物でおもてなし…なのかなぁ…?うぷっ…」

「そんなところにご飯をたかりに来るのはどうなんでしょうね」

「ちゃんと…ちゃんと私は働いたから…くっそ寒い中雪山に入って行って山道整備とか手伝ってきたし…」

「私達は温かいお部屋でゲームをしてましたけどね、使用人さん達は手持無沙汰で私達の家とこの家を行き来して掃除だなんだとしていましたけど」

「くっそー…じゃんけんに負けなければなぁ…」

「まあ、タカミヤが負けていなければお寿司にはならなかったでしょうし、じゃんけんに負けはすれど最終的には勝ったという事で」

「んー…そう…なのかなぁ…?」

わさび和え各種

タコだけでなくイカやタイ、サーモンにマグロにエビにといろいろ和えても美味しい

そのまま食べてもいいが軍艦や巻き寿司にしてそのまま食べるもよし、醤油を足してもマヨで追撃するもよし

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