表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
991/1104

冬といえばお鍋 ケアを怠ると兵器

 きーのーこーきーのーこーのっこのこー、小っちゃいきのこー細いきのこー立派なきーのーこー…よし、これだけ有ればいいかな?栽培してるのでまだまだ…というほどは残ってないな…気温が低くなってきたから鍋物の頻度も増えてるし、2ヶ月掛けて育てたご立派なしいたけもエリンギもほぼ刈り尽くされてるし…ほぼ天然風えのきも後1回鍋物をしたらなくるというか…うーん…

 いや…1回分もないな…今は皆帰ってきて全員集合状態だし、3人分あるかどうかくらいだから…もう全部採取してこれもお鍋に入れちゃうか、というわけで全部採取しまして、使用済みのホダ木は薪に変えて物置に。

 しいたけも大きく肉厚にしなければ収穫までそれほどかからないし、新しいホダ木を用意して各種きのこの種菌を打ち込んだら後は放置、湿度も温度も自動で調整してくれるので放っておけばそのうち美味しいきのこがニョキニョキーっと。

 肉厚なしいたけが無くなったのはちょっとさみしいけど、鍋物にするには向いてないので…でも食べたいから隅っこで育てようっと、最低1ヶ月からはかかるので早くても来年になるけど…まあいいか、特大肉厚用しいたけと書いた札を張り付けたら温室での作業はおしまいと。

 さて、それじゃあきのこをディジーに渡したらちょいと海まで行って漁をしてきましょうかね、葵さん用…と言いつつ皆食べるたらこと、ロザリア用と言いつつ皆食べるいくらと紅葉漬けも帰りに加工場で用意して…かな?


「あー…お鍋ですか、私達はまだ食べてませんねぇ…もつ鍋なら焼肉屋で頼めば出てくるんですけど、きのことか豆腐とか白菜の入ったお鍋は…」

「焼肉屋のもつ鍋はにらとニンニクとネギだからねぇ、水炊き用の材料は農場に行けばあるから食べれなくはないけど、こっちの気温だとちょっと微妙なところね」

「冷え込んでも20度切るかどうかですからねぇ、夏場も25度前後で過ごしやすいのは確かなんですが、冬場もそれほど温かい物を食べたいと思わなければ夏場も冷たい物を積極的に食べようとは思わないんですよね」

「寒いところでお鍋を突きたいなら葵さんの家の方に来てもいいのよ?使用人さんを全員連れてきても余裕はあるしね、何鍋かは作る時になるまでわからないけど」

「割りとその場のノリで決めてたり?」

「するね、ニンニク鍋の時もあるから食後のケアを忘れると翌日が大変」

「ニンニク鍋…何やらいろいろと不穏な感じがしますね…」

「物自体はシンプルなのよ?ニンニクが大量に使われているというだけで物としては肉鍋、そこに白菜を敷いて、その上にたっぷりの牛か豚か猪か馬の肉を並べる、その上にニンニクの芽と素揚げにしたスライスにんにく、鷹の爪ともつ鍋に近い材料」

「それならニンニク鍋という割りには普通…」

「で、ニンニクがてんこ盛り、お好みでそのまま素揚げにしたのを数十個から、さらにその上から下ろした生ニンニクをドバーッと、そして牛骨とか豚骨とか鶏がらスープを注いで煮る、これが美味しいのよ…」

「想像しただけで身体がからニンニク臭が漂いそう…でも興味はありますね、翌日に臭いを引きずらないなら食べてみたい気はします」

「じゃあ今日作ろうか?」

「お願いします」

「え?タマキマジで言ってる?ガーリックスメル漂うニンニクの花の女子高生とかドン引きだよ?」

「翌日に引きずらないのであれば大丈夫でしょう」

「お肉はどれにする?牛豚猪馬、羊とか山羊とか鶏でもいいけど、癖がないのは牛豚鶏」

「牛でお願いします」

「他にはあるー?」

「豚と猪ー」

「馬もちょっと食べてみたいです」

「はいはい、それじゃあ私は用意をするために早めに戻るから、遅れないように早めに来てねー?」

「はーい」


「というわけで今日はニンニク鍋です、覚悟しましょう」

「マジっすか、いやまあ何度も食べてるので美味しいのは知ってますけど、室内の消臭と臭気の排気をしっかりしませんとねぇ…」

「引き籠り組と使用人さんが全員来るから、鍋が牛豚猪馬で10ずつのコンロが40台だね」

「はたしてニンニクが何十キロ必要になるのか…お兄さんのところのメイドさんの襲撃を考えると数百ですかね…?」

「屋敷は屋敷で準備してくるから大丈夫…なはず?とりあえず農場やら加工場やら屋敷の厨房やらに行って必要な物を用意してくるから、コンロとかお鍋の準備をよろしくー」

「はいはーい、ディジーと二人でやっときまーす」


「これはまた…なんと強烈な…」

「凄いでしょ?これがニンニク愛好家が愛してたまらないニンニク鍋です、ニンニクをスライスの素揚げにして軽く散らすだけならただの肉鍋なんですけどね」

「何をどうしたらこんな悪魔的な物を思いつくんでしょうねぇ…限度というものが存在しないのでしょうか…」

「ニンニク愛好家にバックギアなんて物は付いてませんからね、ニンニクがあればあるほど幸せ、追加出来るならさらに追加する、腸内環境など知った事かと下しニンニクも大量消費、そうして誕生した料理の1つがこのニンニク鍋ですね」

「一体ニンニクの何がそこまで惹きつけるんでしょうね…」

「まあ、単純に美味しいんですよね、それとこんなに食べてもいいのかという背徳感もちょっとしたスパイス」

「確かに…何かいけない事をしている感じはありますね…これを食べたら人としての一線以前に女として何かを失う感じがしてきますし…食べたら止まらなくなるんじゃないかという予感というか確信も…

ところで店長の姿が見えませんけど…台所ですか?」

「さらに沼へ引きずり込んでくれる料理を今作ってるところですね、とは言ってもこれより強烈ではないので、普段のおかず程度に食べる分には丁度良いくらいの物ですよ」

「本当ですか?これを見て次に出てくるものが普通とは思えないんですけど…」

「意外と普通ですから逆にびっくりするんじゃないですかね?煮えるまでまだ時間がかかりますし、それまではこちらの牛刺しをどうぞ」

「牛刺し…は普通ですね、どこかにニンニクを仕込んでるのかと思いましたが」

「薬味で下しニンニクはありますがそれはお好みでどうぞという感じですね、わさび醤油でもしょうが醤油でもお好みでどうぞ、わさび塩もありますよ?」

「んー…焼肉屋で扱っている特上とはまた違った美味しさ…こちらの方が均等にサシが入っているのと脂の割合が少し多い感じですね、口の中に入れたら噛まずとも溶けてなくなりつつもしっかりとしたお肉の美味しさが…」

「結構いいお肉を屋敷の方から持ってきたみたいですからね、お鍋の方も期待していいと思いますよ?」

「ニンニクに覆い尽くされているのが勿体無い様なそうでも無いのか…食べてみるまで分からないって怖いですね…」

「初めてはそんな物です、私も牛刺しを摘まみながら追加が来るのを待ちましょうかね」


「はい、お鍋が煮えるまでに突く物の追加だよー」

「これは…きのこ?」

「きのこ、えのきとマイタケとエリンギにニンニクバターソースを掛けてサッと混ぜて蒸しただけ、エリンギは細く切る必要があるけど、混ぜてしまえば後は蒸すだけだから簡単よ?」

「ニンニクの香りはそれほどしない…というよりわかりませんね、すでにニンニクの香りが充満してきてますし」

「コンロ40台、鍋の数も40でさらに追加の揚げニンニクも山盛り、おかわりのお肉に免罪符の野菜もたっぷり」

「白菜は免罪符ですか…」

「この場における白菜は免罪符、ニンニクを野菜としてがっつり食べるのが基本、お肉でニンニクを巻いて食べる」

「食べるのが怖くなってきました…それはそれとしてこれ結構いいですね、えのきのシャクシャクっとした感じにマイタケの旨味、エリンギでまた違った食感に…ニンニクもそれほどですし、白米にもパスタにも合いそうですね」

「茹でたパスタと混ぜるだけで簡単キノコパスタになりますよ?白米だと鉄板にハンバーグかステーキ、その横に添えればバッチリですね、全部合わせてもいいですけど」

「一緒に食べるならハンバーグですかね?んむ…んー…これは作るのも簡単そうですし、気が向いたら作ってみましょうかね?」

「ガーリックバターじゃなくてちょっと酸味のあるオニオンソースなんかでもいいのよ?当然パスタに混ぜるのもそっちでも大丈夫」

「今度試してみます…あー…このシャクシャクとした感じに程よいにんにくの香りと薄すぎず濃すぎずのバターソースがきのこによく絡んで…お箸が止まりませんね」

「ソースはちょっと濃いめに作っておくのがコツ、えのきって意外と水分が出るからね、熱した鉄板でもフライパンでもソースをかけてサッと混ぜたらすぐに蓋をして蒸すときのこの水分と旨味がソースと混ざって丁度良い感じになるし、さらっとしたソースでもえのきから出てくるぬめりで全体に絡みやすくなるのもいいね」

「なるほど」

「そしていい感じに白菜がへたってお肉にも火が通って完成しましたニンニク鍋、味は付いてますがポン酢もありますのでお好みでどうぞ、ニンニクはお肉で巻いて食べてもそのまま食べてもいいです」

「とうとう完成してしまった…でも匂いは物凄く美味しそうなんですよね…」

「匂い消しはありますので気にせずまずは一口行ってみましょう」

「うー…あー…」


「アレですね、1回食べてしまったらもう気にならなくなるものですね、生のようにガツンと来るわけではなく、一度素揚げにしてから煮ているのでホクホクしていますし、生ほど香りが強いわけでもなく甘みもあるので…」

「愛好家だとニンニクを巻いた肉の上にさらに生の下しニンニクをかけますし、生のニンニクをその場で潰して絞り出すってのもありますね」

「それは恐ろしいですね…何かもう人を辞めないと至れない場所のような気がします…」

「ケアを怠ると歩くガス兵器の出来上がりですからね、後普通のケア用品は息を誤魔化すだけで体臭まではケア出来ませんので、がっつり食べたらもう出歩かないのが基本ですね、自分が気づいていないだけで結構な臭いを漂わせていたりしますので」

「ニンニクの臭いを完全に消す事が出来れば気にせずいくらでも食べれるけどね、はい、追加のお肉と白菜とニンニクとニンニクの芽」

「臭い消しがなかったら明日からしばらく外をまともに歩けなりますねこれ」

「使用人さん達はお買い物とかもあるから死活問題だろうね、そんな使用人さん達は気にせず食べまくってるけど」

「食べ始めると止まらないんですよねこれ、こう牛の薄切りを1枚取りまして、ちょっと色が変わり始めるくらいまで出汁の中で泳がせる、色が変わり始めたら取り出してニンニクの芽とニンニクを包んで卵黄をつけて食べる…これがまたいいんですよ…」

「さらに追加の油かす、これも出汁の中に入れて出汁を吸わせておくと美味しいよ?そしてまだまだあります普通のホルモンにタンにテールから作った追加の出汁、フライドオニオンとフライドガーリック、山車を取った後のテールで作ったテールチャーシュー。

豚の場合は豚ホルモンで作った油かすとか豚トロチャーシューとか、猪とか馬も物は違えど似た様な感じだね、で、これが締め用の麺、締めでなくても普通に食べてもいいけどね、つけ麺でもそのままお鍋に入れてニンニク肉ラーメンでも」

「ニンニク大量というだけでも背徳感が凄いのにそこにラーメンも追加するとか…でも手が止まらない…」

「ちなみに普通の水炊きの場合はうどんの時もあれば中華麺の時もあり、しらたきを最後に入れて醤油と味醂でちょっと味を調えて締めにする事もありますね」

「普通の水炊きもまた今度食べたいですねぇ…お鍋が食べたいとは言いましたがなぜニンニク鍋になったのか…物凄く美味しいんですけど…」

「そこはまあその日の気分で作るからね、でも次に作るとしたら海鮮鍋かなぁ?牡蠣とかハマグリとかをそれぞれの鍋でてんこ盛りにしたやつ、大量の白菜を鍋に敷いて大量の牡蠣やハマグリを盛り上がるくらい、その上から濃縮した昆布出汁を焦げ付き防止でちょっと注いで、蓋をしてしばらく蒸す、そして蓋を開けると…」

「あー…想像するだけでもう…」

「凄いですよー?熱されて収縮して絞り出され濃縮された牡蠣やハマグリなんかの出汁で白菜がくったくたに、そして食べ進めて少し空いたところでタラを入れて煮たり、カニとかエビとかホタテをしゃぶしゃぶにして食べるんですよ、ブリやヒラマサにカンパチと言った冬にこれでもかと脂を蓄える魚も薄く切って一回軽く潜らせてパクっと…

次の鍋はそれにしましょうお兄さん、次のきのこが育つまでまだちょっとかかりますし、普通の水炊きは少し前に食べましたし、店長さんから貰ったマグロもまだありますし、カキとハマグリの出汁を絞り出した海鮮鍋にマグロ丼やらなんやらにしましょう」

「そうねぇ、マグロも冷凍はしてあるけど冷凍してても変色はするし、大トロとかネギトロもまだまだ残ってるし、お鍋と摘まみやすいお寿司にしようか、握りと巻の」

「いいですねー…というわけで次回のお鍋は牡蠣とハマグリの2種プラスアルファ鍋です、期待して待つがよろし」

「まあその頃にはカレー小屋は休暇に入るし、こことの出入りも増えるだろうからくいっぱぐれることはない…かなぁ?」

「いいですねー…私も長期休暇がほしい…」

「頑張ってくださいとしか言えないのがまた何とも…」

ニンニク鍋

白菜を敷いてその上に肉を並べ、親の仇のようにニンニクをドカ盛り、好みで生の下しニンニクもどっさり乗せたら蓋はせず、牛骨豚骨鶏がら等何でもいいので出汁を鍋に張り火にかけてじっくり煮る

腸内環境を気にせず肉でニンニクを巻いてがっつり食べよう、なんならタレに生の下ろしニンニクを追加しても直接巻いた物に乗せてもいい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ