皆自腹の最終日 サバイバルの方がまし
「はい、3日で5万の低予算ロケ最終日でーす、今日は予定通り養殖の鮭が釣れる管理釣り場に来ております、昨日は食べれるサイズが釣れなくて即引き上げからの海へ逃亡となりましたが…ここならば!どうあがいても食える物しか釣れない!
が!入場料お1人様半日5000円!1人1匹までなら無料!2匹目から2500円!高い!でも天然がまだ解禁前という事を考えると凄くお得、大きさもどんな物が釣れるかわからない天然と違って大物揃い、天然がお店に並んだらキロ4000円と安く見積もって、ここに居るのは7キロとかそういうクラスで卵も抱えてる、養殖で値段が落ちるということを考えてもキロ1500はつくだろうから超お得!
というわけでスタッフ含め6人全員自腹で半日券を購入しました、もう収録なんぞ知るか!って感じでカメラは固定、誰かが掛けたら手が空いてる人がカメラとマイクを持って突撃、そういうスタイルになります、釣り具も私と妹ちゃんが持ち込んだ私物の貸し出しです、それくらい食に飢えてます」
「あの手この手で工夫はしたけど基本は塩焼きだったからね、マース煮モドキとか食べれる野草でおひたしも作ったけど」
「雑草の塩茹でおひたしにムラソイやアイナメのマース煮と塩焼き、それと初日に作っておいた保存食のブラウントラウトの塩漬け燻製風、何とか予算内に済ませるのもお仕事のうちなので他の調味料を買うっていう選択肢がねー…入場料とか日券が不要なところはそもそも釣り禁止だし、そっちで出費がかさむからもう…」
「そして最終日でもうふっ切れて全員自腹、当然予算を軽く超えてるし経費で落とすにも限度というのもがあるのでこれはもう経費で落ちません、3桁後半万円経費で無理やり落としてたらもうどうにもならないよねって」
「今年使えるのはもうこれだけで何一つ経費で落とせませんよーって宣告されてるから、渡された予算を使い切ったらもう後は全部自腹です、ブラックなんてものじゃねぇぞ!出演者と同行してるスタッフが自腹で出してロケを続けるってどういうことだよ!
まあその分ボーナスを上乗せしてくれるらしいのでスタッフはあまり気にしなくていいでしょう、あくまでも今年はもう経費で落とせないというだけなので、ボーナスに上乗せして返済という手段を取るだけです、ボーナスを貰うまではお財布が軽くなって懐が寂しくなりますがね。
さて、それじゃ施設のご案内、ご覧の通りこちらは閉鎖した屋内プールを再利用する形で作られたところでして、鮭自体は淡水で育てられています、まあ一般的なサーモントラウトと同じですね、最初は淡水である程度育てて次に海水に慣れさせてそこで育ててから出荷する、それと同じです。
今お邪魔している場所はその淡水である程度育てる場所、養殖場なら大体ついている水流を生み出す機械で水を動かしたりするものが常時稼働中、そして生簀を覗き込むと30前後の鮭が沢山いますね、こちらは来年海水の生簀に移して育成、そこから市場に卸されたり管理釣り場の方に放流される予定です。
隔離して育てていたりするのもあって天然とは違うところもありますが、出荷したり釣れる様になるころは大体天然と同じ感じになっています、一番の違いは天然より確実かつ安全にたらふく食べているので、顔は小さく体が大きいって事ですかね?それもまた釣ってから説明しましょう。
というわけでお邪魔しましたー、今から釣り場の方に移動したいと思います、釣り場もプールではありますけど閉鎖したプールを利用しているだけあって広いですよー?」
「プールの水は川から引き入れてきた淡水だそうです、なので本来なら禁止されている川を遡上している鮭を釣れちゃうんですねー、これも養殖ならでは」
「まあ、こいつらは海水を知っても海を知ることなく一生を終えるんだけどね、海で育てるとアニサキスとか付いちゃうから、生で刺身が食べれるという利点が消えちゃう、繁殖も人口だから遡上してる気分を味わうだけという少し残酷な状態ではあります。
が!しかしそのおかげで美味しい物が安全に食べれるんだから文句を言っちゃあいけないね、というわけで到着しました、こちらが養殖所直営の管理釣り場、11月半ばから1月半ばまでのド短期営業になります、人工繁殖用の卵やらなんやらは取り終わった後なのでこちらに放流されている卵を抱えた雌もお持ち帰り自由です、狙って持ち帰る場合の雄雌の見分けは自分でやってください、養殖なのでヒレだの顔付きだので見分けはほぼ付きません、厳しい環境で育ってるわけではないので見た目がどうしても似通っちゃうんですよね、なので基本的には腹を開いてみるまで分かりません、養殖をしてる人ならある程度見分けはつくと思いますけどね、ある程度であって腹を絞ってみるまではわからないと思いますが。
釣りが出来る場所はこの見えているプールの範囲すべて、都心部なんかにある大きいところに比べると狭いですが、管理釣り場としてはまあぼちぼち広いってやつですね。
で、忘れてはいけない管理釣り場のルール!一応商売でやっているわけですからね、ちゃんと守らないといけませんよー?
まずラインとロッド、管理釣り場なので周りの人に迷惑がかからないよう出来るだけ短いもの、長くても240以内に収めましょう、次にライン、こちらは3号以下、強引に寄せると魚が傷つくのでどんなに太くても2.5号まで、リールの大きさは制限なし、ラインの号数で制限が入ってるような物ですけどね。
続いて禁止ルアー、こちらの受付で展示されている物全て、いくら型の粒ルアーとか渦巻き状とか筒状の物とかが禁止、ソフトルアーは当然全て禁止です、が、実は使える物があります、この辺りというか天然の鮭釣りではよくカツオのハラモ、サンマの切り身、イカの切り身を使うんですが、これはここの受付で取り扱っていますので、どうしても釣れないって時はこちらを購入して針とメインラインを直結、そして投げてゆっくり巻いてください、スプーンに付けてもいいです。
フライフィッシングは?ってなりますけど残念ながら禁止でございます、出来る広さのプールはあれどフライの糸ってぶっといんですよ、つまり基本的に強引に寄せてくる形になるのでダメです、太いだけでナイロンやフロロの2.5号と変わらなければいいんですけどそんな糸はない、ので出来ません、フライマンは諦めましょう、ここで出来るのはルアーと餌釣りだけです。
で次ー、取り込む時は絶対ラバーネット、エリアトラウトをやってる人からしたら常識ですね、手で持つと余計に暴れて傷つきますので、ラバーネットで取り込み、水から上げずに針だけ外してちょっと休ませてからリリース、お持ち帰りする場合は上げちゃったり手で掴んでもいいです、持ち帰らないのに手で掴むという真似はやめましょう。
お持ち帰りのときのルール、その場で血抜きをするわけにはいかないので、お持ち帰りすると決めたものはスカリに入れて足元で泳がせておきましょう、そして帰る時に数えて貰って2匹目からは追加料金を払う感じです、で、スプーンやルアー、針を飲み込んだ場合はリリース禁止でお持ち帰りなので気を付けましょう、切られちゃった場合はまあセーフです。
次に使用する針、これも毎度おなじみバーブレスのみ、そして大きさはトラウト用の2番が4番がおすすめです、20センチとかそこいらの小さいヤマメとかニジマスじゃなく、70とか80あって7キロとか8キロあるので太軸で大きい針を使わないと伸びたり折れたりします。
まあ基本的にはこんな物ですね、一般的な管理釣り場とルールはあまり変わらず、ただし魚が大きいのでラバーネットは持参するなら直径80センチ以上の物、なければ受付で借りてください、壊さなければネットもスカリも無料で借りれます、今回は借りました。
とまあざっと説明したところでようやく本題、エリアトラウトならぬエリアサーモンフィッシングですね、私と妹ちゃんは初日に使ったリールとロッド、スタッフには予備として持ってきておいたチョイ太めとちょい強めのやつを渡してあります、スプーンバッグも予備で持ってきたのを渡しておいたのでボウズで終わるという事はないでしょう!ダメだったら受付で餌を買えば何とかなる!」
「私はもうカツオとイカの切り身を購入済み、撒き餌としても使えるらしいしね、量はそれほどないけど」
「何匹も何匹も釣るようなところではなくて食べるために釣るところだからねー、それじゃ早速やっていきまーす、全員2匹キャッチするまではやりまーす」
「はい、あっという間に2匹キャッチしたのでお終いです、食べるための魚を釣る管理釣り場なので必要以上に釣らない、これ大事、というわけで現在釣った鮭の処理をして貰っています、自分でやれば無料ですけど、500円出せば全部指定した通りにやってくれるというのをお見せするために1匹だけやって貰っています。
今指定しているのはチャンチャン焼き用と刺身用のブロックを作ってくれってやつですね、エラとか内臓とか要らない部分は全部処分してくれるそうですので、食べない部分は引き取って貰いましょう、そうすれば生ごみを減らす事が出来ますよー?
で、水場を借りて今妹ちゃんがやっているのは大体の人が大好きないくらの処理ですね、こちらのいくらはアニサキス等はついてないのでざっと洗ったらもう後は漬けるだけで大丈夫、というわけでその準備として解してるわけですね、解して洗って水を切ったら瓶の中へ、漬けるための醤油等はその辺のスーパーに行けばもうそのまま注ぐだけってのがありますのでそれを買います。
と言ってる間にもう終わりましたね、取り切れない骨の周りは兎も角刺身用ブロックがこんな感じで、形を整える時に出た端切れがこちら、これは叩いてネギトロ風にでもしましょうかね?そしてチャンチャン焼き用、こちらも鱗は綺麗に取り除いて身に骨は残っていないので食べるときに骨が…ってなる事はないです。
他にも引いた後の皮、カマ等もちゃんとお持ち帰りできますよー?持ち帰るときはこういう透明なパック、まあよくあるやつですね、これに小分けして入れてくれますので、取り出したり料理する時にあの部位はどこだと探す必要がなくていいですね。
今回は頼んでませんけど刺身にしてくださいと頼めば刺身にしてパック詰めしてくれますよ?
北の大地へ鮭釣りに行こう、でも釣れるかどうかわからない、場所によって解禁日が違う禁止事項が違う、どこまでがセーフでどこから密漁になるかわからない、という人はこちらの管理釣り場までどうぞ、天然と違って5匹も6匹もとはいきませんけど、1匹でも十分、お土産を含むなら3匹か4匹でもお釣りがくるくらい上等な物が釣れますよー?」
「こっちの今日食べる分の処理もざっと終わったよー、お土産にする分は追加料金を払えば送ってくれるって」
「まあ、払わないっていう選択肢はないですよね、というわけで追加料金を出して各自送り状に記入!ここからはモザイクが入るのでバッサリカットでーす」
「はい、また場面が変わりまして現在は魚市場に来ております、釣った鮭だけだとちょっと寂しいのでちょこっと何かを追加しようと、そんな感じで買い物に来ました、当然自腹です、なのでいかに安くいい物を見つけるかという目が大事です。
場所が場所なのでウニとかカニに目が行きがちですけど、今の時期はこれ、ホッキガイ、こいつの刺身が美味いんですよ、そしてまだまだありますこちら、マガキにハタハタ、ボタンエビにシマエビ、ですが今回のメインは鮭なのでハタハタは置いときましょう。
この中で一番のおすすめはマガキ、この辺りで獲れるカキは昆布などが豊富にあるところで育っているのでそこはかとなく昆布の風味がするんですねー…生で食べると当たる可能性もありますので、ちょっと勿体無いですがしっかり茹でてから氷水で冷やして丼に乗せたいと思います、茹でた後の出汁はドシンプルに味噌汁にします、これが美味しいんですよ。
そして地元ならでは、ここでしか食べれないという事もないですが割りとお安く変えて食べれて美味しいもの、こちら、生の細切りマコンブ、炒めてよし煮てよしそのまま醤油をかけて食べてもよし、これも加えましょう。
高い物でもないですが買いすぎると出費が増えるのでこんなものですね、ホッキガイ、マガキ、シマエビ、コンブ、この4つで私はフィニッシュです、この4種で2000円を超えないってんですからお得ですよね、この4つをお店で頼んだらこれより少なくて5000円コースですよ?観光客向けだとさらに減って種類が増える分8000円からですかねー?
まあこの辺りは観光とは無縁ですし、かなり外れにある港町なので時間さえかければ安く買えるってやつですね、今買ったホッキガイも500円ですけど、10個も入っていて500円ですからね、細切り昆布なんか200円で500グラムですよ?なので妹ちゃんやスタッフ達の戦利品と山分けして贅沢な丼を作りましょうねーって感じです。
私のお買い物は終わったので後はひたすら待ち、妹ちゃんやスタッフが何を持ってくるかを車でゆっくり待つとしまーす、というわけでスタッフもお買い物タイムに入るのでカメラはここで切りまーす、特に何もなければ撮影再開は料理中になると思います」
「はい、何度目かの場面転換を得てとうとうやってまいりましたロケの締めくくり!の前に戦利品発表です、編集で私がお買い物をしているシーンがこのすぐ前に入ってると思いますが一応私の戦利品はこちら、ホッキガイやら細切り昆布やらですね。
そして妹ちゃんが買ってきたのがこちら!特大ズーワーイーガーニー…いやほんとよく買えたねこれ、足は何本かないけど6人で分けて食べるなら十分、そしてもう1つ、タコ、こちらも足が何本かなくなってる傷物、この2つ合わせて900円だそうです、売り物にできなくて裏に置いといたのを交渉して引っ張り出してもらって買ったとかなんとか。
なのでぱっと見だと足だけですけどよーく見るとカニの甲羅は割れていたり、タコは裏側も魚につつかれてボロボロだったり、簡単に言えばタコは獲れた時にはもうすでに死んでいたっていう、そのまま捨ててもいいけど大丈夫なところをとれば食べれなくはなし、ちょっとめんどいけど大丈夫なところを刺身なり茹でてたこ焼きなりと、それ用においてたやつですね、なのでこの大きさでも400円だそうです。
そしてカニ!足が3本ほどないし甲羅が割れてたりしますが、大きさが大きさなのでちゃんと身を全部取り出せば6人分は余裕でとれるでしょう、そしてここまで酷い状態だからこそ500円で買えたと、これ完璧な状態だったら街の方へ出荷されて1杯18000円とかついてたでしょうね、こんな感じでボロボロになっちゃうと売り物になりませんが。
そしてスタッフの戦利品がこちら、誰一人ウニを買ってないのはさすがといったところ、ウニは割って中身だけを売るのが基本なので途中で割れても価格に影響しにくいんですよね、買ったところでそんなに高くはないですけど…スタッフを見ると誰かが買うと思っていたって顔をしてますね、支払いを済ませる前に誰が何を選んだか確認を取ればよかったのに…
でもまあ被りは少ないし、被った物は炙ったり軽く湯通りしてドンの具材の種類を増やすだけですね、それじゃさっそく料理をしていきまーす、そして完食を持って今回のロケを終わりにしたいと思います」
「次のロケはもうちょっと余裕のあるロケがいいね、サバイバルでも調味料とかは全部予算とか経費で落ちるし、お米を除く食料は全部自分で採って来いだけど」
「ほんと次のロケはちゃんと予算確保してよー?」
マース煮モドキ
南の島の伝統的な煮物、本来のマース煮は塩と泡盛で魚を煮るだけととてもシンプル
朝食に作ったモドキは骨を焼いたり野草を採取して追加したりと工夫はしているので不味くはない、けど塩だけには変わりないので何かが足りない…




