よくわからない習性 1号が言っちゃダメ
んーと、出荷数がちょいと上昇の卸価格も上昇の襲撃回数も上昇傾向、襲撃に関してはうちは被害が出ないので何の影響もなし、今が稼ぎ時とはいえブランド物を大量に卸すと価値が下がるのでブランド物は抑えて、特にブランドにはなってない餌用に増やしてるエビやらイワシやらを品目に加えるのも有りといえば有り。
全体的に食料に需要が高まっているのでイワシもキロ300で行けるだろうし、エビもキロ200で売れそうだから…ちょっと品目に加えてみるか、卸すのは次回以降になるけど今なら結構な量を一度に買い取ってくれるはず。
他にも品目に加えれる物はあるけど、あまり増やしすぎるとそれはそれで価格が下がっちゃうので控えめに、余ってるならもっと安く卸せという人も出てくるだろうけど、商売でやっている以上安く売るのはねぇ…商売じゃなく食糧支援なら無料で流すけど…
さて、今日の収支報告書やらなんやらはこんなもので、養殖場をちょろっと見たところでちょっとお出かけしましょうかね、イベントに参加はできずとも通常の依頼は受けれるし、未消化の高額依頼をパパっと済ませていつ何があってもいいように蓄えを増やしておかないとね。
「今月分の羽毛と刈り取ってきた量産用の毛、それと貯金用のお金」
「はい確かに、増やす事考えると毛だけの方がいいのは確かですが、たまには毛皮にして持って帰ってきてくれてもいいんですよ?」
「食べる目的でもないのに狩るのはちょっとねぇ、それに皮なら牛皮とか羊皮とか他の物でも十分代用出来るし、何なら毛と同じように培養して増やす方法もなくはない、鞣すより時間は掛かるし毛よりさらに手間は掛かるし必要な物も多いけど」
「人工毛皮は貴族には今一評判がよろしくないんですよね、フェンリルの毛単体で作った糸の方がフェンリルの毛と牛革を組み合わせて作ったフェンリルの毛皮風ファーコートの方が価値が下がるというか、牛革も貴族御用達のいいものを使ってるんですけどね」
「混ぜ物は許さないとかそういうのだろうか?」
「植毛して培養した毛は価値は下がらないのですけどね、我ながら貴族とは面倒な生き物だなーと思います」
「毛はよくて皮の培養はダメ、また他の皮と組み合わせた毛皮もダメ、難儀だねぇ」
「まあいいんですけどね、貴族同士の付き合いもあるとはいえ、現状フェンリルやフェニックスなどの素材を取り扱っているのはうちだけですし、人工培養した物だから要らないというのであれば卸さないだけですので」
「あれ?以前は取り扱ってるところなかったっけ?」
「無くはないですが、昔たまたま採取出来た物を培養し続けてもうそこらの野犬と変わらない品質に落ちていますので、余った毛を加工して糸にして売りに出した時点でシェアをほぼ全て奪い取った形になりますね。
こちらが取り扱っている物と同等、またはそれ以上となると森の深部まで狩りにいかなければなりませんので、今は独占状態といっていいですね、同等以上の物となると培養したものではない毛を刈らないとダメですが」
「うちは定期的に交換してるからね、駄犬は毛を狩るだけで討伐はしてないから毛が伸びた頃に刈りに行けばいいだけだし、ぽっぽちゃんとかひよこちゃんは美味しいから依頼に出てる素材だけ渡したら余りは売らずに持ち帰るけど」
「そもそも国の精鋭を集めて2ヶ月3ヶ月かけて討伐に赴くような存在ですし、日帰りで梯子する方がおかしいんですけどね、討伐へ赴くときは資源確保などの王命ですし、そこで得た物は毛の1本に至るまで全て貴重品なので王に献上。
個人で討伐隊を組んで行ってもいいですけど、その場合は全滅覚悟になりますし、個人での討伐に成功した貴族はそもそもいませんし、個人で討伐に赴いて死なずに毛を運よく持ち帰れた貴族は本当に運が良かっただけですので」
「若気の至りとかそういうのかなぁ?」
「5代前の当主がフェンリルを討伐して毛を持ち帰ったと吹聴していたそうですが、毛を数本しか持ち帰ってなかったそうなのでまず間違いなく討伐はしてないでしょうね、ですが家は本物だったのでそれを今の代に至るまで培養し続けて財を成したというのは事実ですね。
品質は劣化に劣化を重ねてもう野良犬と変わりませんが、輝きなどは王家が所有するフェンリルの毛その物ですので、劣化しているとはいえ王家が所有している物と同じような物を買えるとなれば…」
「まあ飛びつくよね、新しい物珍しい物を買い集めるのは貴族の習性というか」
「仕立て屋を介してお金が回るので悪い事ではないんですけどね」
「しかし5代前となると最低でも150年くらいか、そこまで培養を続けても野犬くらいの品質で止まってる辺り駄犬の毛の良さがよくわかるね、普通の羊毛だと3回かそこいらでもうプツプツ切れて使い物にならなくなるのに」
「伊達に森の深部の支配者をしているわけではないという事ですね、討伐してもしばらくすると復活しますし」
「でもそのおかげで定期的な収入もあるし、こうやって美味しい物が食べれると」
「今日はなんでしょうか?」
「まだガラを煮込んでるだけの段階だし、ラーメンでもシチューでもカレーでもなんでも作れるね、まあ何がいいか聞いたら大体ラーメンと唐揚げになるんだけど」
「鳥を使った料理は色々あるはずなんですけどねぇ…なぜこうも偏るのか…」
「まあ、それだけ美味しいという事で、多分ラーメンになるだろうけどリクエストを聞いてきましょうかね」
「ラーメンの場合は塩と醤油とタンメンの3種でお願いします」
にーっこんーでーにーっこんーでー、にんにく玉ねぎしょうがにリンゴー、ニンジン白菜隠し味ー、さらに煮込んでー濾したら完成ー。
「主様がちょっと本気出すと圧力鍋もびっくりな速さでラーメンの出汁が出来るよね、これ普通なら丸5日くらい掛かるでしょ」
「そうだね、ぽっぽちゃんとひよこちゃんはいい出汁が取れる分牛どころじゃない大きさだし、骨も太いから髄まで全てってなると結構かかるね」
「まあ一番びっくりなのはこれが空を飛んでるって事だけどな、物理法則どこ行った」
「1号が物理法則とか言い出したらダメでしょ、物理法則から最もほど遠い生物といっても過言ではないのに」
「住む宇宙によって物理法則が変わるし、ボクはボクの生まれた世界の物理法則に従ってるだけだし、だから宙に浮こうが体重がトンを超えようが何の問題もないね!」
「でも他所の宇宙の物理には突っ込むと」
「なんとなく突っ込んでおかないとダメかなーって?」
「ダメでしょ、とりあえず暇ならそこに用意してあるチャーシューやら麺の生地やらを切って準備をする」
「へーい、しかし…この華麗なる麺打ちを動画にすれば新たな視聴者が取り入れられるのでは…?」
「職人もびっくりな絹の細さといってもいい麺にはなってるけど、間違ってもゲームチャンネルで流すような内容の動画ではないでしょ、やるとしたら料理チャンネルとかそういう方向だよ」
「ボクは基本食べる側だからなー、定期的に料理を作って編集してとかメンドイ、生配信でやってもいいけどメンドイ、三ツ星もびっくりな物も簡単に作れるけどメンドイ、でも調子に乗ってる高い材料を使ってるだけの自称シェフの心をバッキバキに砕いて発狂させろっていうのなら喜んでやる、やっすい1枚20円もしないベーコンと捨てるようなくず野菜だけで審査員が以降の審査を放棄するほど凄い物を作る」
「実際ポンッと作りそうだけどそういうのは出来るだけ止めようね?向こうも商売でやってるわけだから、足元を見て全然違う物を出してきたらまあ…やってもいいんじゃない?とは思うけど」
「まーでもボクは外食はしないし、やっぱりメンドイからいいや、はい、麺出来たよ」
「はいはい、味玉もメンマもタンメン用の野菜にカマボコにと用意できたし、後は唐揚げを上げるだけだね」
「今日の唐揚げの種類は?」
「ゆず塩とニンニク醤油の2種、追加しようと思えば出来るけど?」
「塩と粗びきコショウのみのシンプルなやつもよろしく」
「はいはい」
「んー…さすがボク、ここまで細いのに切れないしちゃんとプツッとした歯ごたえもある、何でも出来る自分の才能が恐ろしいね」
「生地を打ったのは私だけどね、1号は伸ばしただけで」
「ぐぬぅ…まあいいや、醤油大盛りで」
「こっちはゆず塩唐揚げを大盛りでお願いします」
「はいはーい」
「あ、そうだ、主様今日の夜からはどうするの?」
「んー…どうしようね?高額依頼は全部済ませたし、現実の方での夕食も済ませたらもうやる事がないといえばないね、動画は放っておいてもAIが全部編集して投稿してくれるし」
「じゃあ戻ってきたらカゲロウ斬のネタ部屋行こうぜー、加速バグとぶっ飛びバグの研究も進んできてるし、他にもバグはないかとさらなる研究も行われてるし、結構楽しいぜー?」
「そだね、いつ修正されるかはわからないけどやりたい放題できるうちに楽しんでおかないとだし、練習も兼ねてやるかー」
「多分修正されないとは思うけどね、加速もぶっ飛びも物理演算なんかを使って崖からの落下防止とかでちょっと地面に吸い付くようにしてるアレ、アレを利用してベクトルがどうのこうのってやつだし、修正したら位置の微調整の時に屋根とかそういうところからストーンと滑り落ちちゃうようになっちゃうしね」
「それもそうか」
「落ちそうになった時後ろに引っ張られて落ちにくくなってるからこそ微調整も簡単だし、ちょっと傾いてもそう簡単には落ちない、まあぶっ飛ぶタイミングはシビアだったりするし、吹っ飛びすぎるとエリア外に出て任務失敗になるし、壁に激突するとダメージを受けるし、2段か3段ジャンプを使えば吹っ飛びをキャンセルできるけど着地に失敗したら落下ダメージで死ぬし、飛んでいく角度もなかなかねー、吹っ飛ぶために使用する角とその角度、入力受付フレームは3フレームくらいだけどその1から3のどこで射出するかでも変わる。
ネタ部屋と言いつつガチ部屋よりガチな人が集まってるのがまた何とも、皆笑いながらやってるから余裕はあるけど」
「まあよくある事だね、ある程度極めちゃったが故に余裕が出来て面白い方向へ進むってのは、ストイックに続ける人もいるっちゃいるけど」
「今一番ホットなのは壁抜けの研究だね、ふっ飛びで遊んでる時に壁に激突したと思ったら壁抜けしたっていう情報が出てきて、ふっ飛び中の壁抜けは条件はある程度分かったんだけど他にも壁抜けをする方法がないかという研究がね」
「条件がわかる前に何人犠牲になったんだろうなぁ…」
「300人体制で研究を始めて3時間後に成功者が出てきて、そこからタイミングやらなんやらを特製するのにもう3時間だから壁のシミになった忍者は軽く4桁行ってるだろうね、スプラッタな表現はないけど」
「とりあえず現実の方での夕食が終わって、お風呂も済ませてからになるからこっちに戻ってくるのは現実時間で9時過ぎかな?」
「それまでは適当にアレサとかシャドウフレイムでもやって時間を潰しておくよー」
「はい、現実時間夜の部始まりまーす、時間が時間なので短めに…何て事するわけないよなぁ!現実の方で見てる人は兎も角として、ゲームにログインしてる人は現実では寝てる状態で疲労も眠気もすっきりだからね!」
「強制睡眠状態にする、という事で一時騒がれたけど、健康に害はなく脳に異常が出るわけでもなく、不眠症の人も強制的に眠らせて不眠解消とはいかずとも、薬不要で睡眠がとれるから逆に体と精神衛生にいいって判断が出てるんだよね、それで不眠症が自然と改善される人もボチボチいるとかなんとか」
「そんな小ネタは置いといて主様が来たから予告通りカゲロウ斬をやっていくぞー、今日は攻略は目指さず何でもありのネタプレイ部屋にお邪魔したいと思います。
ネタプレイ部屋で何をやるのかというと…カゲロウ斬でいま現在最もホットな壁抜け!これを一緒に研究しようではないかと!」
「私は壁抜けは初めてなので初歩的なやつ、ざっと調べたのでやり方と条件は大体わかってますが、多分何回か壁のシミになると思います」
「ボクも初めてだから何回かは壁のシミになるだろうね、ぶっ飛びと加速は大体マスターしたから何処でも出来るけど」
「今わかっている壁抜けはある程度ふっ飛んで加速、そして壁にぶつかる1フレーム前にジャンプ、するとダメージ判定が消えて壁の中にスポッと、との事なんだけど、他にも壁を抜ける方法がないかと研究されているらしいので、基本を覚えたらそっちの研究に加わりたいと思います」
「まあ、このゲームは壁を抜けなくても屋根裏に潜り込めるし天井に張り付けるしでそれほど意味はなかったりするんだけどね、それじゃやっていきまーす」
「壁のシミになる回数を当てた人にはコメントをする権利をプレゼントします」
「当てなくてもコメント出来るけどね」
加速・ぶっ飛びバグ
とある動作をすると急加速し、またとある状態で浮くような行動をとすると一直線に吹っ飛んでいく
吹っ飛びバグは2段もしくは3段ジャンプの技能を使い切っている状態で発動すると止まる手段がなく、壁のシミになるか場外送りで任務失敗となる
加速バグは進行方向と逆に入力すれば止まるが、それまではアクセル全開のバックで加速し続けるレースゲー状態なので壁に当たるとシミになる、前を向いて後ろに加速して進むという都合上後方の確認ができないのでこれでチキンレースをするシノビもいるとかなんとか…




