コソコソ作ってました 金属はもう使い放題
餌の準備よし、竿にリールの準備よし、棒ウキやら改造した玉ウキやらの準備よしのその他小物やらなんやらの準備よし、後は積み込んで出発するだけ…なんだけど1名遅刻中と、まあ仕方ないといえば仕方ないんだけど、急がないとダメというわけでもないのでのんびりと。
「今日はどうなるかねー?」
「持ち帰れるような大きさかどうかは兎も角として釣れてるといえば釣れてるし、後は大きいのが寄ってきてるかどうかってところだね」
「私もねー…店番がなければやりたいんだけどねー…花井ちゃんがワールドの方に出向中で不在だからねー…」
「また何か新しい物を作っているのか、それともイベントの企画か何かか、どっちだろね?」
「何かを設計して作るって事はもうないだろうし、アマチュア向けのイベント企画だと思うけどね、メーカーのやる大会って大体仰々しいというか、とっつきにくいというか、一部を除けばちゃんと大会やってるからね。
逆に言えば初心者ばかり集まってやるようなイベントはあまりないというか、全くないってわけではないけど、1つのイベント内でこの釣りをやってみたいんだけどって言われたときに対応できないというか、実際に釣りをしながらというよりはたんにキャスティングだとか結び方だとか、基本的なことを教えられるだけというか、基本的過ぎてそんなものやってるうちに覚えるよってのばかりなのよね、特に今は入門編ーみたいな動画もあるし、それだけじゃあちょっとねーって感じ。
だから花井ちゃんが昔のよしみでーって感じで呼び出されたんだと思うよ?他にも引退してのんびりやってるロートルが呼び寄せられてるはず」
「もう顔も忘れられたプロだらけの初心者向けイベントになりそう」
「なるんじゃない?引退したロートルはガイドでもやってなきゃ暇を持て余してるだろうし、日がな1日釣りに出かけてるか家で仕掛けを作ってるか、たまに来るオファーを受けてそれの撮影に行ってるかだし。
まあ中には中村さんみたいに自由を極めて好き放題やってるのも居なくはないけど、ジュリアとか」
「ジュリアさんはまあ自由だね、そういう国の生まれってのもあるだろうけど」
「今日もどこかふらふらしながら釣りをしてるんだろうなぁあいつは」
「キャンピングカーはめったに使わないからいいんだけど、ちょっと釣り言ってくるってキャンピングカーに色々積み込んで出かけて行ったからねぇ、今はどの辺にいるのやら」
「一ヶ所に留まる事に慣れてないって事はないだろうけど、なんだかんだで大会だなんだと世界中飛び回ってたやつだからなぁ、同じところでずーっと釣りをするってのに慣れてないんだろうね、飽きたら居つくと思うけど」
「最初は海に湖にと往復してたけど、同じ場所である事には変わりないからねぇ、まあ年末には帰ってくるんじゃない?出来ればそれより前に帰ってきて欲しいけど」
「12月は鮭の解禁日だもんね、行かなくても自分のところの湖で十分だろうけど」
「まあそうだね、食べるだけなら養殖してる大きいのがいるし、釣るなら釣るで湖と海両方にいるしで北の大地に行く必要はないといえばないね。
んー…なんか見た事のない竿が…これ店長さんが作ったやつ?」
「そうそう、GBシリーズの権利は今全部私が持ってるわけだし、持ってても私のところの工場だとちょっと作れないからネレイドにGBシリーズを作って売っていいよー、その代り私が設計したのだけねーって感じで。
それで祭典にも出さずコソコソテストしてようやく出来たのがこちら、次世代のGBシリーズとなるゴールドブラッドクロス、略してGBXだね、第一弾はトラウト用でXXULからLの長さは150から210まで、ガイドの位置から軽さからグリップ素材になんだかんだと拘り抜いた一品。
まあトラウト以外にも使えるけど一応はトラウト用って事で販売、今日届いたばかりだしネレイドのホームページにもまだ載ってない正真正銘のサプライズ新作、お値段はそれなりにするけどね、一番安い150センチのショートでもメーカー希望が68000円、店頭はいくらか下がるけどうちでも税込ジャスト6万かなーってところ。
でもこれは間違いなくいい竿だよー?柔らかいだけじゃなく粘るし強い、柔らかいけどピンと張る、ガイドは全てトラブルレスでこうカツーンと硬い地面に叩き付けても割れないし傷つかないし軽い物でも遠投出来る。
ただ…軽さやらなんやら色々追求した結果グリップをちょっと妥協しなきゃダメだったって感じだね、コルクも軽いけどフルカーボンの方がもっと軽いし、それで妥協した結果がアジングでもよくあるブリッジシートのフルカーボン、そして出来上がったのがこれ、一番軽い150XXULでロッド自体の重さは21グラム、ちょい長めの210のLでも32グラム、兎に角軽さと感度と粘り強さに遠投性能と拘り抜いた結果…お値段がねー…
カラーリングもゴールドブラッドクロス、ということで金地に赤でクロスさせるか、赤地に金かで悩んで金地に赤のクロス、まあ遠目にも分かるようにってほどではなく赤は細くうっすら程度だけど、グリップも金地に赤のリング、グリップエンドには側面と底には赤でGBXのロゴ、輝く金もいいけどあまりいやらしくならないよう反射しないようにちょっとくすませて落ち着いた感じにはしてある。
特化してるだけあって現状これよりいいトラウトロッドはないんじゃないかなー?アルマディンとかあの辺りはフリースタイルで何でも出来ますよってやつで特化はしてないし」
「クリムゾンウルフとアルマディンフェンリルはよくある何にでも使える入門用の究極系みたいな感じだしね、難にでも使えるし最高峰の性能はあるけど極振りしたような特化には勝てないというか、そもそも今までの特化はクリムゾンウルフ以下だったというか」
「あれを超えるようなのを作れっていう方が無茶っていうのもあるけどね、でもその無茶を通したのがこれ、トラウトに対してならクリムゾンウルフとアルマディンフェンリルの1.5倍は使えるといっていいね、ハゼとかキスとかオイカワとかに使ってもいいかもね」
「なるほどー、じゃあとりあえず全部1本ずつ頂戴、今日のへち釣りで使ってみる」
「はいはいまいどー、まあ出来ればトラウトで下ろしをしてほしいけど、どう使うかは買った人次第だしね」
「今日は沖堤防だからトラウトはまた今度だね」
「という事があって買ったのがこちらのGBX、ゴールドブラッドクロスというGBの新シリーズになります、何も言わずに使ってたけどへち釣りで使ってた見慣れないのがこれの150XXULね。
まだカタログにも載ってない、店長さんのお店以外には卸されてないロッドだけど、来月には各店舗で取り扱いを始めると思うから、急ぎじゃない人以外はのんびり入荷を待ってください、一番短くて安いのでもメーカー希望が68000円だそうですので、急がなくても売り切れるということはないと思います。
今回出たのはトラウト用のロッドのみでそれ以外の物はまだ未定、というより店長さんの趣味を重視した感じだね、そしてこれに合わせるリールがこちら、名前はそのままゴールドブラッドクロスですね、1000番と2000番と3000番、それに加えてC2000とC3000で右利き用左利き用で計10台。
こちらのリールも店長さんが拘りに拘り抜いて設計してまして、まず重さが3000番で驚きの50グラム、1000とか2000になるともっと軽いです、小型からメーターの大型までいける様にドラグは最大9キロ、ギア比は5.1:1から10.1:1までの可変ギアを採用、それに加えてトラブルレスも採用して捻じれを徹底的に解消、スプールはDスプールではなくノーマル、なれどエッジの角度は0.0単位で調整、巻き取る時にリール側で少々テンションが掛かる様になっているのでぶかぶかになる事もなし、オシュレートは通常だと密になるようにスロー、スプールを外せばここにオシュレートを弄るための物がついていますので、オシュレートを弄りたい場合はここを切り替えてください、切り替えればフリー、まあこんな感じで普通のリールと同じ様に巻き取る様になります。
そして気になるリールのお値段、1000番で78000、2000番が83000、3000番が88000円、C2000とC3000は2000番と3000番より3000円安いです、コンパクトな分材料費がちょっと浮いてるとかそういうやつですね。
とまあGBXの宣伝は以上です、トラウトに特化しているとはいっても淡水海水問わず他の釣りにも使えますので、お財布に余裕のある人は買ってみてくださいねー?」
「宣伝を済ませたところでトラウトを釣っていきまーす、ロッドとかリールが軽すぎじゃない?と思った人も居ると思いますが、最近のハイエンドの中でも最高峰とされるロッドとリールは大体こんな物です。
というより軽くするだけなら簡単でして、そこからどう折れない壊れない物を作るのかが難しい、でもそれをクリアしたのが現在の最高峰とされるロッドとリールになります。
リールに関しては金属部品が結構使われてますけど、新素材の軽く硬く錆びない金属を使用していますので、全ての部品を金属で作ったとしても今まで軽いとされてきた物の3分の1以下の重さで仕上げる事が出来ます。
ルアーはキチンやらゼラチンやらで自然にやさしい、短期間で完全分解されるちょっと話題になったりもしてるけど、ロッドやリールに関してはそれほど話題にならないので意外と知らない人が多いんですよね、新素材に移り変わってから結構経ってますけどキチン製ルアー以下の認知度です。
さて、ぼちぼち釣り始めますが…使うスプーンがこちら、金ぴかでなかなかいい光沢でしょー?これ金属じゃないんですよ、キチンプラスサンドで作られた新素材スプーンです、まあテスト品ってやつです、万遍なく珪砂が入って重量のバランスを取っているもの、トップヘビーで頭だけを重くしているもの、その逆でボトムヘビーの計3種。
珪砂を使っている都合上金属製のスプーンより軽いのが難点ですが、それ故に重量配分が自由に出来る、というのが強みですかね?ソルト用バイブレーションでよくある背中側は薄くて頭とお腹側だけ重くしているのをスプーンでやってる感じ、見た目は普通のスプーンと全く変わらないけどね。
動きはバランス型が従来のスプーン、トップヘビーがちょっとミノーっぽくお尻を振る感じ、ボトムヘビーが頭をちょっと振ってバックスライド、という物に仕上がっています、でも発売は未定です、作るのが面倒というか素材の確保が難しいというか、金属に関してはほぼ無制限に使えるようになって来てるんですよね。
なので分解されにくい、またはされないプラスチックや樹脂を使ったルアーなんかは兎も角として、錆びて分解された金属なんかは海水から精製出来るようになってきてますし、沈んだ船やらなんやらのサルベージもほぼ全て完了して金属は飽和状態、特に海水から精製出来るようになったのが大きいですかね?
詳しい事は言えませんけど、鉄、鉛、アルミ、タングステン、銀、金等、色んな金属が特殊な工程を踏むと精製出来るようになってますよー?なので現在金属はほぼ使い放題、スプーンをキチンで作る意味はないってやつです。
まあ、実験とデータを取っておけば今後何かに使えるかもしれないので、発売されるかどうかは置いといてテストだけはやるって感じですねー…っと、まず一匹目、何トラウトかは釣り上げてみるかはわかりませんが、ボトムヘビーのスプーンも釣れなくはないという事でいいでしょう。
でー…金属が今飽和しているって話ですね、これは人口も関係してます、100億近くまで人口が増えていた時ならちょっと足りないかなーってなっていたかもですが、いま世界の総人口は約20億、単純計算でも消費量が約5分の1、さらに沈んだタンカーやら軍艦やらコンテナやら車やら、淡水海水問わず全てサルベージして各金属に分けて延べ棒にしてありますので、実は海水から精製しなくても金属自体有り余ってる状態になってるんですよね、汚染の浄化を兼ねて精製は続けてますけど。
さらに、昔から続くというかよくある家電なんかの不法投棄、国内だけじゃなく国外でもあるアレ、あれらも全て回収しつくされています、そして分解されて再利用可能な素材の状態にして保管されていたりしますよー?どこの誰がそんなことを世界規模でやったのかというと…まあルシエラカンパニーしかないよねって。
捨てた物である以上もう誰の物でもない、海に沈んだ物にしても誰も回収しない、回収しようともしない、じゃあうちが貰っていもいいよねって感じで片っ端からサルベージ、不法投棄されたゴミも全て回収して素材に変えましたよーって感じ。
タンカーやら輸送中に沈んだ車やら所有者がどうの、沈んだ軍艦やら潜水艦やらは機密がどうのってなってくるけど、所有者を主張するならさっさとサルベージしとけよとか、こんな型落ちもいいところな潜水艦の情報とかとっくに知ってる機密情報なんかいらんわ、後うちの軍艦だ主張するなら全部公表するぞ?って感じでもぎ取っていったみたいよー?
実際結構危ない場所に沈んでる物もあったみたいだしね、ばれたら一発開戦…とはならないけど相当面倒な事になるところに沈んでたりとかねー、でも今は綺麗さっぱり証拠も消えて素材も飽和するくらい集まって三方良し状態…と言ったところで釣りに関係のない話はここまでにしておこうか、使い放題になったのはそれだけじゃなかったりもするけど。
とりあえずGBXを今すぐ買う場合は直接店長さんのお店へ、のんびり待つという人は来月までお待ちください、以上、それじゃ引き続きのんびりトラウトを釣っていきまーす」
金属は使い放題
ルシエラカンパニーが裏でゴニョゴニョした結果世界中に落ちている金属から何から全て延べ棒やらいつでも使えるマテリアルへと再生成された
他にも海水から精製出来るようになったりもしているが…実際は人口減少で消費量が減ったのが一番大きい、減ってなくてもそのうち使い放題にはなっていたと思われる、ご主人様がその世界を見限っていなければ




