慣れれば気にしない アイドルと同棲してるような状態なので…
今日もブロック氷を大量に用意しましてー、程よい大きさのブロックになったら粉砕機に突っ込んで少々粗目に粉砕した氷にしましてー、50リッターのポリバケツが5つほど満杯になったところで氷を砕くのは終了。
次にバニラエッセンスに練乳にコーヒーの原液、各種果物のシロップとミルクも大量に用意してグラスを並べて、ミキサーも3台並べて写真付きのメニューを張り付けたら準備は完了、それじゃあ始めますかね。
「はーいらっしゃいらっしゃい、まだまだ残暑が厳しい日に冷たーいミルクシェイクはいかがですかー?どれも1杯100ペッタンコー、甘く冷たく美味しいですよー?お持ち帰りも出来ますよーいらっしゃいいらっしゃーい」
「バナナを1杯ください」
「お持ち帰りですか?」
「ここで飲んでいきます」
「はいはい、それじゃあ少々お待ち下さい」
ポリバケツから氷をカップ1杯摺り切りで掬い取ったらミキサーの中に入れまして、バナナシロップを柄杓一杯に練乳少々、バナナペースト少々入れてミルクを注いだらスイッチを入れてよく混ぜてー…しっかり混ざったらそれなりに冷やしてある中ジョッキに泡も含めて全部注いで出来上がりと。
「はいどうぞ、飲み終わったらそっちの返却口に放り込んでおいてねー」
「グラスを置いてるからそっちで出てくるかと思ったらまさかのジョッキだった…」
「グラスはミルクの計量用だね、グラス1杯で約250ミリ、氷が押し込んでるわけじゃないからカップ1杯で大体200、そこにシロップに練乳にペーストを入れてしっかり混ぜつつ泡立てれば用意してある中ジョッキ丁度1杯分になるのよー?」
「なるほど…んー…冷た、泡の中に砕けた氷が入ってシャリシャリしてるのがまたいいですねー」
「これと似た様なのを1日に2000杯からは売る屋台が世界にはあったりするのよー?」
「ボス!今日は何の屋台ですか!?」
「今日はミルクシェイク、お持ち帰りでもこの場で飲んでいくのでもどっちでも、メニューはそこに」
「むむむ…じゃあイチゴとマンゴーをお持ち帰りで!」
「はいはい、200ペッタンコになりまーす」
先ほどと同じ様にミキサーに氷をカップ1杯ずつにシロップ練乳ペースト、ミルクも1杯ずつ入れたらお持ち帰り用の入れ物を用意して、出来たシェイクを入れたら漏れないようにしっかり縛って…
「へいお待ち」
「お持ち帰りがまさかのナイロン袋…もうちょっとこう…蓋付きの使い捨てカップとかはないんですかね…?というよりこれどうやって飲むんですか…」
「家に持ち帰ってからグラスに移すか、止めてるゴムを外してストローを突っ込んで飲むかだね、水筒を持参すればそっちに入れるけど」
「ありがとうボス、それじゃあさっそく狩りに行ってくるよ」
「はーい、頑張ってねー」
「ナイロン袋が変だと思ってる私が変なのか、疑問に思わず受け取っていった人が変なのか…」
「自分の常識だけで考えずに色々周りを観察してみる事だね、このゲームは世界中の人、ほぼ全ての国の人が遊んでると言ってもいいゲームだし、屋台巡りをするだけでもその国の屋台…ストリートフードとかストリートドリンクとかを色々見て各国の食文化やらなんやらを学べるよー?」
「屋台は焼き鳥とかたこ焼き以外はあまり利用しないんですよねー…たまにラーメンの屋台は利用しますけど、料理自体にバフ効果があるわけでもなし…」
「まあ、そういうゲームではないからね、食事はあくまでもただの食事、一応栄養自体は計算されてるからタンパク質を摂取すれば力が付きやすくなったりはするけど、そこまで計算して食べる様なものでもないね」
「コーヒーとパインとピーチくださーい、ここで飲んでいきまーす」
「はいはーい、300ペッタンコになりまーす、お代は纏めて?それとも別々?」
「纏めて払いまーす」
「こっちはバニラミルクとバナナを持ち帰りでお願いしまーす」
「はーいちょっと待ってねー」
んー、氷を入れてるポリバケツも残り1つかつ中身も半分で客足もボチボチ遠のいてきたから売り切るか、それともスパッと切り上げるかのどちらかだけど…遠のいたとはいえぽつぽつと来てるから氷がなくなるまでは続けるか。
「バニラミルクシェイクからコーヒーミルクシェイクまで全部お持ち帰りでくださーい」
「はいはーい、600ペッタンコになりまーす」
「今日はカトレアちゃん達はいないの?」
「冷房がガンガンに効いたお家でお仕事中、空気はカラッと乾いてるけど気温は35度あるしね」
「なんでこの地域はこんなに暑いんですかねぇ…ゲーム内で熱中症になって倒れるとか地味に辛いんですけど…ボスの権力で何とか出来ません?」
「出来ない、そういう地域に移住してきた以上は諦めて体を慣らす事だね、もしくは涼しい地域に出稼ぎに行くとか、雪山の遠征依頼とかは常時出てるからそれに応募するとか、いっそ振り切って火山遠征の依頼を受けるとか」
「どっちも無理っす、どっちも片道1ヶ月掛かるし道中で半壊したり現地に着いても凍死したり焼死したりと碌な噂がねーっす」
「定期的な採取イベントで転送先として開放はされてるけど、それでも耐寒耐熱装備は必須だしねー、無しで行ったらそりゃ死ぬよとしか。
後開放されていけるる場所は浅層というかまだ麓で楽な方なんだけどねあれ、自力で辿りついでそこよりさらに上に行けるようになったら今より稼ぎは増えるよー?稼いでも店を建てて経営シミュレーションゲームに移行するか、農業用の土地を買って一次産業で稼ぐか、そのまま鍛えて最強を目指すかしかないけど」
「闘技場は人間を辞めた化け物揃い、何かを経営するにもそっちの知識は一切なし、農業はちょっとやってみたくはあるけど…お金が無いんですよねー…日雇いの依頼やちょっとした討伐以来やらで家賃は十分払えて貯蓄も出来てるけど…農業用の土地代で億飛んでいくのは辛いっす」
「以前は安かったんだけどねー、今は地価が上がって新しく家を建てるにもその土地代だけで数千万は軽く飛ぶね、去年の代理戦争での戦勝国だから行商人も大量に入ってくれば人も増えて国自体が潤ってというのもあるけど…その後に移住してきた人、つまりは敗戦国からの移民に対しては税金やらなんやらがちょーっと重く圧し掛かるからね、難民だから移民だからと甘くないのがこの世界、むしろ攻撃してきてたのをちょっと多めの税金だけで許してやるんだからやさしい方だろ?って言う感じだぁね。
一応報酬とかそういう物に関しては他の人と同じだけ貰えてるはずだし、元々ここに住んでる人達の今の税金は戦って勝った結果だから別に不公平とかそういう事はないね」
「移住しないのが正解だったのか、それとも今が正解なのか…」
「何が正解で何が間違いかはこれから何をするかで変わってくる事だね、はい注文の品の全種お持ち帰りお待ち」
「取りあえず採取依頼いってきます」
「はーい行ってらっしゃーい」
とは言った物の・・・今年の代理戦争イベントはどうなるのかねぇ?いつになるかは知らないし、ずっとこのままって事は無いから有るはずではあるんだけど…うぅむ…
ま、私には関係ないか、参加は禁止されるだろうしそもそもする気もないし、負けたところで特に何も変わらない影響がないくらいには貯えもあるし、食料も自給自足出来る体制にはなってるしで…うん、関係ないな、肥料と養殖場で育ててる魚の飼料が上がったりはするだろうけど収支はプラスになるはずだし、多少上がったところで…だぁねぇ。
「マンゴミルクくださーい」
「はーいただいまー」
「で、今年は代理戦争やるの?」
「やるよー?ルールは基本的に去年と同じで今年は10月頭から末まで、去年は夏イベントからほぼすぐでちょっと忙しなかったから1ヶ月ほど準備をする猶予をねー、告知は出してないから急なイベントっぽくはなるだろうけど、今年もあるだろうって思ってる人は多いからまあそこは大丈夫かな?」
「やらないと税率とか変わったままだしね、1年経ってほぼほぼ元通りにはなってるけど」
「まあ税率はどうでもいいんだけどね、ほっとけばそのうち元に戻るし、何より負けた側が悪いとしか言えないし、ただ去年はねー、ちょっと出歩く神キャラが多すぎたかなーって感じでその調整をね、戦場にマルスが降臨するわヘルメスの散歩コースにぶち当たるわで苦情がね、あれも負ける方が悪いとしか言えんけど」
「毎回遭遇するようなものではないんだろうけど、将棋とかチェスト化のボードゲームを途中でひっくり返されるようなものだし、そりゃ苦情も来るでしょー。
ミルクシェイクを販売してた時に愚痴も聞いてたけど、優勢で勝ち確定だったところに急に表れて盤面をひっくり返すどころか全てを破壊していくのはどうなのよとか、全員強制魅了状態にして玩具にするのは止めてくれとか、今年は自然災害のような存在を出すのは止めてくれとか、襲ったら危ない商隊はわかりやすいように何か目印をつけてくれとか、襲ったら絶対返り討ちに合うの商隊は戦場を横断させないでくれとか」
「最後の2つは絶対ご主人様の商隊でしょ、戦時中であろうがお構いなしに国外に商品を運んでいくし」
「ブランド品のマスノスケとか織物なんかの輸出はうちの収入源の一つだからねぇ、それに兵器を運んでるわけじゃないし、敵国に売るにあたって値段も相応に上がってるしで…ねぇ?」
「経営シミュレーションをやってる人からすれば戦争とか一番の稼ぎ時よね、全ての需要が高まっているに等しい状態だし、輸出品なんかに制限は掛かれど輸出出来る物は値段も上がるしでねー、そしてそれを買わざるを得ない状態になっている時はなおのこと、まあそこまで酷い戦争じゃないしお遊びみたいな物だから上がって2割くらいだけど」
「私のところは武器なんかは取り扱ってないし、輸出額が上がって収入が増えるだけだね、商隊が襲撃される回数も普段の数倍以上に跳ね上がるけど」
「代理とはいえ戦争は戦争、敵国の商隊を襲撃して略奪しても合法だからねー、そりゃお金が無い傭兵団とか人達はお小遣い稼ぎで襲撃するよねって、返り討ちにあったら今持っている物全てを失うけど」
「そのロストでばら撒いた物を拾いに来る人もちょこちょこいたねぇ、それも稼ぎ手段の一つではあるし有りといえば有りだけど、同じ国の人に対して高値を付けて売ると恨みは買うだろうね、実際それをやって傭兵団に粘着された人も居るし、だからと言ってこっちがダメだよーて言って止める気はないけどね、プレイヤーキルは別に規約違反じゃないし、犯罪予告とか犯罪をしてるわけでもなくゲームの規約は守ってるし、人の恨みを買う様な事を続けてりゃそりゃそうなるよとしか言えないよねー、やるならもっと上手くやらなきゃ」
「私は恨みを買うような商売はしてないし、私怨で襲われる事は無い…と思うよ?」
「どうだろうね?ご主人様の場合カトレアちゃんを筆頭に上から数えた方が早いくらいの使用人を何人も抱えてるし、1号と2号も人気があるから私怨で襲撃してるのも何人かいると思うよー?」
「自分好みにカスタマイズした使用人を雇える様になってるのに?」
「隣の芝生は青いというか、自分のところの使用人より他人の、それも公式動画の方にも1号のゲームチャンネルにもちょこちょこ出てる人気のある使用人の方が美人で可愛く見えるものよ、まあいうなればアイドルと同棲してるのと同じ、それも複数人同時に、つまりいつ後ろから過激派に刺されてもおかしくない状態、刺される事はまず無いと思うけど、そもそも刺さらないし」
「刺されようと思えば刺さるけどね、いつぞやのサスペンスごっこみたいに」
「死体が消えるわ監視カメラがそこらじゅうにあるのに何も映っていないわで迷宮入りだったね」
「あれは魔法が存在しない…という事は無いけど、誰も使えない世界だからこそ成り立つ物だからねぇ、証拠が一切残らない方法じゃ解決出来ないよね」
「映像だったり指紋だったりを集めて、使用したトリックを証明したりさらには動機がどうのと説明したり、そして全てが明かされてそうだったのかーってなるような要素が一切ないからね」
「動機はサスペンスごっこがしたかった、犯人は堂々と入室して腹部を刺した後に姿を消して外に出て鍵をかけた、なおその際姿は消しているので監視カメラには映らない、鍵は念動力でちょちょいと弄れば簡単に開け閉めが可能、トリック自体は単純だけど出来る人が居ない世界では…」
「まあ動機からして酷過ぎるしバラエティにすらならないね、それはそれとしてそういう嫉妬で常に背後を狙ってる層がいるのは確かだし、懲りずに商隊を襲っているのはそういうやつらよ」
「なんともだねぇ…よし、今日の収支報告書完成と、氷で文字通り水増しされている分中ジョッキで出しても結構な黒字だね」
「店で材料を仕入れてたらその値段で黒字は無理だろうけどねー、よーし、私も今日の作業は終わり、とはいっても殆どする事なんて無いけどね、基本的にはAIに指示を飛ばすだけでいいし」
「もう開発も運営も必要ないのでは?」
「AIをメンテナンスする人員は必要、とはいっても作ったのが第一世代の爺だからエラーなんぞまず発生するわけもなし、バグがあれば自分で除去するし独裁者になったりする事もなしで人を害する事もなし、開発運営の主なお仕事がどういうイベントにするかを考える事、そしてAIに指示を出して作って貰ってテストをする事だぁね、後は苦情の処理やらなんやら。
そっちもAIに丸投げしてもいいっちゃいいけど、それだと人がする仕事がなくなっちゃうじゃん?」
「まあ、そうねぇ、便利ではあるけどお仕事は無くなるね」
「本格的にやる事が無くなっちゃったら堕落していくだけだし、そうすると退化はすれど進化も進歩もしなくなるからねー、AIだけは自己進化し続けるけど。
そういうのもあって適度に人の仕事を残したり作ったりするのは大事よ、楽出来る部分は楽をして効率化を図るのも大事ではあるけど、楽を極めて全部丸投げする様になったらお終いよー」
「歩みを止めた時云々…ま、私達が気にする事では無いね、カトレアー、これの処理よろしくー」
「それじゃ私も一旦管理室に戻って様子を見てきますかねー、夕食までには帰ってくるから夕食は私の分もよろしく!」
ナイロン袋
色々使えて便利な物、小分けした野菜に肉に釣り餌に半端なボルトやネジを入れる物が無い時、生ごみを包んで捨てる時にと便利
ナイロン袋をストリートドリンクの容器として使う国もあれば手提げ出来るビニール袋にビールを入れて売る国もある、捨てる時にかさばらなければ提供する側もコンパクトに纏めれて色々合理的




