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西の大陸では高級品 即座に切り捨てれる人

 氷の準備よし、大きな容器の準備よし、ミルクに各種果物に果物を使ったシロップの準備もよしでコップとストローにミキサーの準備もばっちり、後は屋台を準備して用意した物を配置して作るだけ、目標は500杯だけど…うぅむ…客足が止まったら場所を変えればいいか。

 まずは屋台の真ん中に大きな器をデーンと配置、屋台の軒に持ってきた果物を吊るして何を売っているかを分かりやすくして、大きな銀皿に剥いたりカットした果物を山盛り、ミルクを大量に入れた容器に氷を入れた容器にと並べていって…ざっとした準備はこんなも…あ、小さな妖精さんという名の虫を除けるための線香を忘れてた…

 えーと…確かこの引出しの中に…あったあった、これを忘れると虫さんがダイブしてくるからねぇ…気にするような人はここには居ないけど念のため。

 さて、それじゃあ商売を始めるための商品作りを始めましょうかね、氷を入れた容器からブロック氷を取り出しまして、屋台の真ん中に置いてある容器に入れて荒く大きく砕く、その上からさらに細かく砕いた氷をザーッと入れたら次はミルク、氷が入ってるけど目測で半分くらい注ぎ入れたら用意してある剥いた果物をミキサーにかけて、それもどんどん容器の中に入れて仕上げにシロップを少々、後はガッシャガッシャ混ぜれば…

「また何かけったいな物を城の中で売っとるのう、別にかまわんけど」

「初めて見る人は大体そういう感想になるけど物自体はいたって普通なのよね、仕事前に1杯飲んでく?」

「飲む、1杯いくら?」

「中銅貨2枚」

「小遣いで十分買える範囲じゃの」

「お小遣いが少ない王様でも安心、はいどうぞ」

「うーん、よう冷えとる、けどこれ以前に作ったジュースとはまた違うんかの?」

「前に作ったのは牛乳と果物のみ、こっちは氷が大量に入ってるぶんちょっと水っぽくなるから、絞った荷重に砂糖を足して煮詰めた物を添加してる、味自体はそれほど変わらないけどね」

「なるほどの、それにしても変わった作り方じゃのぉ」

「まあそうだね、こっちにはない作り方…西の海を渡った先の砂漠ではないけど気温が高い地域の作り方だね、ミキサーなんて物は無いし氷も高級品だから現地で頼むと小銀貨4枚とか取られるけど」

「わしこの国の生まれでよかった、わしの小遣いじゃ1杯も飲めん」

「こっちは魔道具が結構発展してきてるし、製氷用の器材も普及してきてるからねぇ、その分安くもなれば氷で薄まって水増し状態になっている分安くもなる、向こうだと氷を作るのはまだ氷術を使える人のお仕事で色々大変、1日に作れる量も限りがあるからどうしても値段がね、そうじゃない物は1杯大銅貨2枚くらいだけど温いよ?」

「温いジュースは嫌じゃのぉ…」

「こっちに比べるとかなりー…どころか、平和ボケしていたところ並みに争いがなかったから技術の発展が今一ね、こっちの大陸からすると西の大陸は未開の地とはいかずとも大分遅れているのは確かだね。

共同で使う大きな氷室はあれど個人用というか家庭用の冷蔵庫もなければ送風機もなし、このお城にある空調も全部属性術を使える人のお仕事」

「戦争前と戦後のうちとあまり変わらんといえば変わらんの、戦争中は最低限残してほぼ全員前線じゃったし、有利に事を進めるために色々開発はしてたが今の形になるまでは氷室の氷を作ったり、室内の温度を調整するのは人の仕事じゃったしの」

「逆に言えばそういう人達の仕事を奪ったという事でもあるけど、遠征やらなんやらではいまだに重宝される存在ではあるよね、冷蔵庫とか空調とか持ち運んで使うような物じゃないし」

「そうじゃの、行軍中冷蔵庫に入れて食料を運ぶわけにもいかんし邪魔になるからの、なんだかんだで道具に頼れないところでは重宝するの。

さて、それじゃあわしはそろそろ仕事に行くとするかの」

「はいはい、お仕事がんばってねー」


 溶けたりコップに注いで減った氷を追加してー、ミルクにミキサーで混ぜた果物とシロップも追加してよく混ぜてー、しっかり混ざったらこぼれるのは気にせずコップになみなみと注いで渡すだけ、こぼれて汚いだの汚れるだのと細かい事を気にしていてはいけない、屋内だと問題はあるけど屋外に場所を移しているので何の問題もない。

 そもそも綺麗だの汚いだのを気にするような人は時折吐瀉物塗れになる訓練場には居ないというか来ないというか…そんな事を気にしてたら兵士にも騎士にもなれないよねって。

「ねぇちゃんこっちも1杯くれ」

「今日は飲み物だけで食べれる物はないのか?」

「飲み物だけー、何か食べたいなら吊るしてる果物を買って食べてー、吊るしてある果物は1つ大銅貨2枚ね」

「飲み物よりたけぇなおい」

「こっちは溶けた氷で大分薄くなってるし何より量が違う、その大きいバナナ1本で30杯くらい作れるからね?」

「こっちはピッチャーでくれー」

「ピッチャーだと1杯大銅貨2枚ー、大ジョッキが大銅貨1枚、中ジョッキなら中銅貨5枚、普通のコップなら中銅貨2枚ねー」

「これ持ち帰りとか出来る?」

「入れ物を持参して貰えれば、でも今日中に飲まないとダメよ?後これはすぐ飲まないと氷が溶けてかなり薄くなる」

「薄くなるのはちょっとなぁ…」

「周りの物を冷やすだけで溶けない凍らせない氷でもあれば別だけどね」

「氷の魔石でも放り込むか?」

「ありゃ石だから溶ける事はないがただ発動させるだけだと長持ちしねぇし冷やすどころか凍らせるからダメだろ、冷蔵庫に使われてる魔石はそうならないよう回路を組んだり調整して抑えてあるからこそ長持ちしてるんだ、ただ体を鍛えるだけじゃなくそのあたりも勉強しとけ」

「そういう体長は仕組みを理解してるんですか?」

「基礎的な部分だけはな、かみさんにあっちのほうが長持ちだの効率が良いだのと言われて覚えたのもあるが、軍にも魔石を使用している最新の物が増えてきてるからな、それらをいつでも使えるようにと各隊の隊長は一足先に基礎を叩き込まれるんだよ。

今日の午後からはその新しく配備された物の使い方と、新規で入ってきたやつは基礎も一緒に勉強だな、当然使い方によっては兵器にもなるからその応用もやるぞ」

「家具を兵器として転用するのはどうかと思うけど、兵器として開発してる魔道具も家具として作られてる魔道具も基礎は全部同じだからねぇ、回路がちょっと違うだけって物もあるし、はいピッチャー」

「このミキサーって道具も使い様によっては兵器になる、が、そういう使い方をしないで済むようにするのが上と俺達の仕事というのも忘れるなよ?家具まで兵器に転用する様になったらもう後がないって事だからな」

「戦争すらないのが一番ですけどね、ところでここのお代は隊長持ちですよね?」

「ま、このくらいならな、でも以前の模擬戦で負けた時に奢らされた分はいつか返してもらうからな?よーくおぼえとけよー?」

「模擬戦といえばカレーが凄く美味しかったですよね、あれまた食べたいですねー、どこに行けば食べれるんでしょうか?」

「あぁ?あー、まあ確かに美味かったが、あれは模擬戦用にと作られた特別な物らしいから無理だろ、後話を逸らそうとしても無駄だぞ、お前らが調子に乗って頼んだ特上盛り合わせにより失った大銀貨4枚の恨みはきっちり晴らさせてもらうからな?」

「でも隊長も食べてたんだからいいじゃないですか」

「俺が金を払ってんだよ、それなのに1切れも食わないのは損なんて物じゃないだろ、よくて上盛だと思ってたら特を頼みがやがってからに…ちったぁ隊長の財布を心配しろよ、隊長の財布は叩けばいくらでも金が出てくる昔話の壺じゃねぇんだよ」

「俺らより給料貰ってるじゃないですか、俺なんか月に大銀貨1枚っすよ1枚」

「戦後に入ってきた新兵ならそんなもんだろ、戦前に入隊して生き残ってたら月に5枚は貰えただろうけどな」

「この間の3日立たずに終わった戦争ですか?」

「違うわ、あれは戦争とも呼べない何かだろ、それより前にあった違う世界から勇者を召喚したやつだよ、あの時はいつ死んでもいい様思い残す事が無い様にって給料が跳ね上がってたからその時に入隊してりゃ新兵でも大銀貨5枚は貰えたな、今は命を懸けることもほぼ無くなったから元通りだが」

「その時はまだ田舎に引き籠ってましたねー、食料生産と供給のために駆り出されることはほぼない農家の跡取りばんざーい、って思ってたらなぜか今はこうですよ、次男の方が農業に向いてるからってあれよあれよという間に追い出されて新兵ですよ、どうなってんですかね?」

「引き籠ってるだけで何もしてなかったからじゃねぇか?ま、新兵はいつでも募集してるし来る者はほぼ拒まずだからな、とりあえず死にたくなかったら本気で訓練に励め、そして先日のような無様を人前で晒さないように頑張るんだな」

「新兵全員と熟練の兵士で別れさせて模擬戦をする意味はあったんですかねー…一方的な虐殺だった気がするんですけど…」

「浮かれているやつらの鼻っ柱を折るには丁度良いだろ?ありゃ入隊してからしばらく後にやる恒例行事みたいなもんだ、ただその場所が王妃様の健康祈願をかねての大々的な模擬戦という大舞台になっただけの話だな」

「それで新兵全員が攻めてきた敵国の兵の役をやるのは納得できねーっす、すこしは花を持たせてくれでもいい気がします」

「そういう甘い考えをしてるから背中に突き立てられてる物にも気が付かねぇんだよ、ちったぁ精進しろ、戦場ならお前のようなやつは真っ先に狙われるぞ、生かさず殺さずで歩けない様にして部隊の足を引っ張る材料にされるか、釣り出すための餌にされるかのどちらかだな」

「うえぇ…」

「模擬とはいえ軽い戦争みたいな物には変わりない、王妃様達が見ているからこそ手早く制圧して済ませてはいるが…本来の鼻っ柱を折るための模擬戦だと今言った様に相手の行動を鈍らせるためにわざと生かさず殺さずの行動不能に陥らせる、または吊し上げて釣りの餌だな」

「隊長も吊し上げられたりしたんすか?」

「俺は足手纏いになる事も無ければ吊し上げられた事もねぇよ、むしろ吊し上げられたり負傷して動けなくなった味方を一時的に見捨てて裏を取りに行くための部隊を即興で編成してたりした側だよ、兵士1人のために10人も20人も負傷させて失うのはバカのやる事だからな。

そしたらあれよあれよと小隊を任されたり昇進したりして今に至るってやつよ、仲間を大事にするのも大切な事ではあるが状況次第ではスパっと潔く切り捨てる事が出来なきゃ隊長にはなれんさ」

「俺は仲良くしてるやつがそうなったら助けに行っちゃいますねー…」

「個人で行ってそれで捕まったり死んだりするのは自分の勝手だが部隊を巻き込むなって事だな、捕まって餌にされたやつにも家族はいるが、それを救出しに行く部隊全員にも家族がいる事を忘れてはいかん、だからこそ1人2人という小をその場で切り捨ててでも大を生かすってやつだ」

「そういう事を普通にやる本格的な模擬戦は新兵が全員回復次第やるのでお楽しみに、今言った事を覚えていればバカな事はしないと思いますが」

「中隊長はどうだったんすか?」

「私は隊長と同じで切り捨てた側ですよ、よくあるのが見捨てて行けないと言った人や吊し上げられている餌を助けに行こうと言った人をその場でバッサリと。

単純な話ですが動けない人を救出、というか運ぶためには最低でも3人は動かす必要があるんですよ、1人が担いで交代、2人が担いでいる人と担がれている人に矢が当たったり攻撃が飛んでいかないように穴を塞いで、種族によっては運ぶのにさらに人数が増えますのでそれだけで10人くらいは動きを制限出来る事になりますね、つまり1人を救出するために最低3人、多くて10人からの命を懸けろという事になってくるわけです、さらに担いでいる人と担がれている人は戦力外で丁度良い的でしかない、さらに救出に成功したら成功したで治療が必要、手足を折られて行動不能になっているのでよほど治癒術に長けた人がいない限りは復帰は絶望、復帰出来たとしても1人のために治癒術士を使い潰す事になる、とまあ色々と邪魔になるんですよ。

なので私はそう言い出した人達をその場で斬って被害を最小限にして先輩にあたる熟練の兵士に一撃を加えた、というわけです」

「本当はそういうバカを説得して被害を餌にされたり足手纏いとしてわざと加減されたやつだけに止めておくのがいいんだが、手っ取り早いのは恐怖で縛っちまう事だからな、特に新兵は恐怖で縛りやすいからこそ切り捨てるというのも正解ではある、模擬戦は刃を潰してるからから死ぬ事はまずないが効果は覿面だな」

「隊長も中隊長もやってる事が地味にえげつねぇ…入る隊間違えたかも…」

「こちとら数百人の命を預かってる隊長だぞ?そのくらい非情な判断が下せなくてどうするよ、情に流されて部隊を半壊させましたーなんて笑い話にもならねぇよ、それに他の隊の隊長も間違いなく小をすぐに切り捨てれるやつだからどこにいこうが変わらねぇよ」

「えー注文が止まったところで…ピッチャーが10の大ジョッキが4の中が8、普通のコップが40で…お代はこちらになりまーす」

「今は訓練中で財布を持ってないからいつもの様に帰りの時に払うからツケておいてくれ」

「はいはい、第二大隊さんも第一さんと同じようにツケね」

「よし、それじゃあ休憩終わり、軽ーく汗を流しに近くの森まで行くぞー、犬っころと追いかけっこと行こうじゃないか」

「それはこっちが追いかけられる側では…?」

「死にたくなければ前のやつにくらいついていく事だな、各自30分後に完全武装で北門に集合!急げよー?遅れたら犬っころだけじゃなく狼も追加されるぞー?」

「さて、それじゃ私もボチボチ河岸を変えましょうかね、それじゃがんばってねー」

「はーいがんばりまーす」

「色目を使うのはいいが手は出すなよ?あれでも王や王妃様、王女様に顔がきくしため口で話せる人だからな?」

「うわーぉ…」

でっかい容器に入った飲み物

30リッターからは入るちょっと大きめの金属容器にブロック氷をドカンと、そして荒く砕いてミルクとシロップ、ミキサーで砕いた果物を入れてガシャガシャとよく混ぜるだけ、ようはただのミルクシェイク

西の大陸だと氷はちょっと高級品なので贅沢な飲み物にあたるが、色々発達して氷が普及している中央大陸ではかなり安くなる

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