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大口注文 三日三晩の作業

「ふわぁー…もっふもふぅー…オパールちゃんとオニキスちゃんは相変わらずもっふもふでいいねぇ…石鹸のいい香りもして獣臭くないしノミもいないし抱きつこうとしても逃げないし…のしかかってもびくともしない…ちょっと硬いけど…」

「まあ、オパールとオニキスはよく食べるけど肥満にならない様に管理してるし、お散歩による運動量もかなりの物だからねぇ、普通の犬猫なんかに比べるとかなり筋肉質なのは確かかな?」

「仕事の無い時は釣りもいいけどこうやってペットと戯れるのもいいよねー、ファッションでホワイトタイガーとかホワイトライオンを飼う人もいるけど、お世話次第でここまでもふもふになるなら大型種とかを飼いたくなるのもわからないでもない…ふぁー…」

「がふ…」

「ヴォフゥ…」

「オパールとオニキスは僕のペットなんだけどなぁ…」

「リオは今までペットの飼えない環境だったからねぇ、噛みつきもしない引っ掻きもしない抱きつけるペットとか凄い魅力的なのよね」

「そうそう、ちょっとした引っ掻き傷だけでなくちょっと甘噛みされるだけでも大惨事になりかねないからねー、かと言って魚を買うってのも無理だったのよ、何せ世界中飛び回ってて自宅に帰るのとか何ヶ月に1回とかそんなのだったし。

今はもうエリカちゃんの家に住居を移して世界中を飛び回る事もないから飼おうと思えば飼えるけど…家というか部屋を借りてる様な物には変わりないし、そんな状態でペットを飼うってのもねー…特に猫だと爪とぎで部屋を傷めちゃうし、犬も犬で板張りの床だと爪がカチャカチャあたるし滑るから犬にもよくないし…

でもオパールちゃんとオニキスちゃんがいればそんなことを気にしなくてもいいよねー…ここに来れば遊び放題だし…はふぅー…」

「オパールとオニキスが嫌がってないからいいけんだけどね、それより主様これ」

「んー?」

「昨日入ってきたカレーの大口注文、それとお持ち帰り用の盛り合わせの注文だけど出来る?」

「えーと…ビーフカレーがざっと3000人分の特上盛が500人分…かなり多いねぇ」

「無理そうならその10分の1とか20分の1でも大丈夫…とエステルが言ってたよ、1ヶ所で済ませられるならそれでよし、ダメそうなら複数のお店に注文するとは言ってたし」

「何か行事でもあったっけ?」

「突発的なお祭りみたいな物かなぁ?エステルの生みの親を含む複数の王妃様が妊娠してちょっと前にお祭りをやったじゃん?」

「6月くらいにあったねぇ」

「それで何事もなく順調に育って行ってるから今度は軍部の方で大規模な模擬戦やらなんやらをやってますますの健康祈願をしようって、そんな感じで模擬戦とか演習の後に食べる物を大量に用意しようって」

「まあ、用意出来なくもないけどかなり高くつくよ?特に特上盛が、アレ1人前の盛り合わせで中銀貨5枚だし」

「模擬戦に食べる物と勝った場合の賞品は何がいい?でも賞品は食べ物限定なってなったら特上盛り合わせがーってなったみたい」

「なるほどね、それでいつくらいまでに用意すればいいの?」

「模擬戦の準備もあるから中頃…15日だね、カレーは持ち運びも考えてペーストで、特上盛り合わせは移動式の冷蔵庫も借りれたら」

「カレーはペーストで保冷馬車もいるのね」

「賞品として授与するわけだからお店に行って受け取れーってするわけにはいかないからねぇ、それとカレーも常温で保存するのはちょっとね、模擬戦中に食べたカレーにあたって倒れましたじゃ恰好つかないし」

「だねぇ…ペーストにして水分をしっかり飛ばしておけば日持ちはするけど、それは冷蔵状態ならだしね、ペーストは瓶と鍋どっち?」

「量的に鍋かな?遠くに行くわけじゃないから密閉して保存性がどうのとかは必要ないし、それ以前に瓶詰3000個とか持ち運ぶのも調理するのも大変だよ、水で薄めて伸ばして火にかけるだけだけど」

「まあそうだね、鍋だとお玉で掬って他の鍋に移すだけでいいしね、それでも3000人分ってなると大鍋3つは使うけど」

「あ、一応ビーフカレーって指定だからお肉が沢山入ってるやつにしてね、形が残ってないやつじゃなくて大きいのがごろごろ入ってるやつ」

「ペーストにした物に後から加える感じのやつね、肉自体は何でもいいの?」

「大きければ何でも、バラでもロースでもタンでもテールでもホルモンでも、お祭りみたいな物だから予算は気にしにしなくていいし、限定の高い高級カレーにしてもいいんじゃない?エステルが後で何を言ってくるかは知らないけど、肉肉肉って感じだと模擬戦に出る人のやる気は出ると思うよ」

「そうねぇ…テールがちょっと余り気味だしテールで出汁を取って、お肉も本来なら整形の時に出る端材や前日の売れ残りを入れるところだけど、しっかりとした角切り肉にホルモンも入れちゃおうかな」

「テールカレーいいなー、私も食べたい」

「今考えてるのはお仕事の分だからリオの分はまた今度ね、下茹でに出汁を取るために煮込んだり、さらに解して骨から過食部を取ってで時間がかかるし」

「野菜で山車を取ったカレーもいいけど肉でがっつり出汁を取ったカレーは別格なんだよねー、チキンカレーもガラとか丸鶏を煮込んで作ったのは全然違うし、ポークとビーフも骨から出汁を取ると美味しさが跳ね上がるし」

「その分手間と時間がねー、とりあえず玉ねぎの納品を明日から1週間ほど倍にしてもらって…余ってるテールと骨を全部回してもらって…中々時間の掛かるカレーになりそうね」

「工場なら兎も角小さい小屋だし、3000人前ってなると大変だよねー…んー…冬場に毛布代わりにしたい…」

「一度に火にかけれる鍋の数に限界があるからねぇ、テールと牛骨から灰汁を取りつつ出汁を取るだけでもかなり時間がかかるし、玉ねぎの数も膨大な物になるからそっちの処理でも時間がかかるね、さらに煮込んで越してペーストになるまで水分を飛ばして、下茹でした肉を加えて…で1週間近くはかかるね」

「結構な大仕事だねぇ、私はまだまだこの休みを満喫するけど…」

「リオがオニキスにのしかかって寝転んでるのは絵になるのかならないのかよくわかんないね、顔がふにゃふにゃになっているからだろうけど」

「そりゃここまで心地よい毛並みならふにゃふにゃにもなるさー…仕事なら切り替えてキリッとするけどねー…」

「これがアオイ達の世界では凄い人気があって親衛隊までいるとか信じられんわ」

「親衛隊なんて物騒な物じゃなくてファンクラブね、何かあれば暴徒と化す事もあるから似た様な物だけど。

さて、それじゃあ私はちょっと農場やら牧場に行ってこようかね、材料を揃えない事にはどうにもならないし」

「はーいよろしくー、エステルにはボクの方から伝えておくねー」


「そんな感じでカレーの大口注文が入ったので頑張って1週間以内に3000人前のペーストを作ろうね?」

「寸胴1つで100人分として寸胴足ります…?」

「まあ足りないね、そこは後からどうにかするとして、とりあえず出汁から取らないとどうしようもないので今からひたすらテールと牛骨の処理だね、ここにあるやつ全部」

「これだけあると骨だけでも結構な値段になりそう、このテール焼いて食べていいですか?」

「ダメです、テールはざっと洗ったら水につけて血抜き、その間に骨を茹でてついている肉を全部削り落として、軽く砕いたらオーブンで焼く、焼き終わったら後はもう骨髄が全部溶け出てくるまで煮込むだけ。

まあ簡単に言えば香草を使わないフォンドブフだね、それと同時にテールからも出汁を取っておいて、出汁を混ぜたら玉ねぎとスパイスを追加したらもういつも通りにやるだけ、量がちょっと多いだけだね」

「フォンドなんたらって物凄い時間が掛かるやつですよね?」

「そうだね、三日三晩くらい掛かるね、だから交代でしっかり火の番をするように」

「ぅゎぁーぃ…休み明け早々ブラックだー…」

「そもそも3000人分のペーストを1週間以内に作らないとダメだから休む暇はほぼないんだけどね、煮込む段階になったら1人でも大丈夫だからそこからは適宜交代しつつ、骨髄が完全に溶けたら骨を取り出して玉ねぎとスパイスを追加して…だぁね」

「単純計算で寸胴30個の管理はきついっす」

「そこは大丈夫、海の家に行けば大きい寸胴があるからそれを使えば1つで3000人分くらいは余裕で作れるからそれを使って煮込んでいくだけだね、まあここだと使えないから野外での調理になるけど」

「火はどうするんです?薪や炭だと追いつかなさそうですけど」

「そこはIHっぽいやつを取り付けるから大丈夫、火の管理というか温度管理は楽々で焦げ付かない、やる事は煮詰まり過ぎない様に寸胴の中を確認しつつ適宜水を足す感じ、だから普通に作るよりは大分楽だね。

それじゃあ私は寸胴を取ってくるから骨の洗浄作業とテールの血抜きをよろしく」

「はーい」


「ここが温度調整のレバー、沸騰させたい場合は120度とかに設定して沸騰させず保ちたい場合は90度とかそこいら、灰汁を取る必要があるから最初は高めに設定して灰汁を浮かせて掬い取って、取り終わったら90度に下げてじっくり。

テールは小屋の方で煮込んで出汁と灰汁を取り終わったら出汁だけをこっちに寸胴に移して併せる、出汁を取り終わった後のテールは肉を取り除いたら肉は冷蔵庫に仕舞って骨はコンポスト、それも終わったらホルモンやらブロック肉やらも3000人分くらいあるから3センチ角くらいのサイコロ状に切って下茹で、下茹では表面に火が通ったら灰汁の浮いてるお湯を捨てて、圧力鍋で柔らかくなるまで圧力をかける、圧力をかけ終わったら煮汁は寸胴に移してお肉は冷蔵庫ね」

「これが温度計でこっちの蛇口は純粋に水を入れるだけの物で…」

「骨を取り出したりちょっと混ぜたりする時はこれとこれね」

「普通の網ですね」

「普通の網だね、大きくなればなるほど調理器具とは違う代用出来る物になるっていう、大規模な芋煮なんかも人の手じゃ混ぜれないってことでショベルカーで混ぜたり掬ったりするからね」

「あー…なんか見た事ある様なない様な…」

「それと似た様な物で人数が増えれば増えるほどちょっと合理化、ご飯はスコップを使うし保管もポリバケツだったりするのよー?

で、混ぜる時はこれ、舟を漕ぐ時に使う木製の櫂、よく船頭さんが固定したのを前後に動かしたりしてるでしょ?それと同じ様にこれもそうやって動かして中を拡販する、物干し竿でもいいと言えばいいけどこっちの方が楽だね」

「これだけを見たら料理をしてる風には見えませんね…」

「中のスープを取り出す時はここ、ここに蛇口がついてるからこれを捻れば中のスープがここから出てくる、ペーストにする時に使う寸胴はいつものやつね、出来たペーストは1つの寸胴に纏めて寸胴にある程度たまったらお肉を加えて混ぜる、大体3分の1から半分くらい…かな?先にお肉を寸胴に入れておいてもいいけど大体カレーペースト1に対してお肉が3くらいね」

「カレーというよりはカレーペースト漬けの肉みたいなものですかね?」

「そんな感じ、フォンドブフを使うから冷えたらゼラチンでカッチカチに固まるけど、それで、煮込む時の水分の目安は上から3つ目くらいの線、骨髄が残らず溶け切ったら骨を取り出して玉ねぎとスパイスを投入、玉ねぎも溶けて消えたら上から5か6番目の線まで煮詰めて水分を飛ばして、後は小分けにしてペーストを作っていくだけ」

「よーし、それじゃあじゃんけんで順番を決めるかー」

「勝てば天国負ければ地獄とまではいかずとも夜は寝たいよね…」

「店長は手伝ってくれたりしないんですか?」

「空いてる時は手伝うけど常時とはいかないね、今日のところは煮込みまでは手伝うけどそれ以降は頑張ってもらわないと」

「うぬぬー…楽は出来ないかぁ…」

「ペースト1肉3の割合で混ぜたとしても寸胴が足りないんですけどそれはどうしましょうか?」

「そこは心配しなくても大丈夫、各騎士団とか各小隊にはそれ用の炊き出し鍋があるし、それを借りてくるからペーストが出来たらそっちに移せば大丈夫」

「保管はどうしましょうか?結構な量になるので置き場所に困りそうですけど」

「ペーストとお肉を入れた鍋は冷蔵馬車に、空鍋は外に積み上げておくからそこから順次取って行ってもらえれば」

「遠征管理とか知ったことじゃないっていう鍋の扱いがまた何とも…」

「職業軍人はそんなものよ、でも一応念のために一度洗ってからペーストと肉を混ぜた物を入れてあげてね?

そして私は炊き出し用の予備鍋を借りる為にお城に行ってくるから骨の処理をよろしく」

「はーい、でも早く帰ってきてくださいねー?少しでも楽をしたいので」

「今少し楽になっても後がきついのは変わらないけどね」

舟を漕ぐのに使うやつ、武器として使う人も居なくはない

一度に3000人分ということで鍋をかき混ぜるために使用、従来の使い方と違うような気がしないでもないが量が量で工場生産っぽくなると大体そんなもの

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