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頑張ればなんとか 実はやってました

 んーむ、今日もぱらぱらと餌を撒いてはいるものの、一度散った魚は中々戻ってこないのが辛いところ、かといって全くいないわけではなく少しずつ戻っては来ているので…もう何日か続けていればメーターのロウニンやらカイワリやらがその辺中で泳いでる姿が見れる…かな?

 さすがにサメに食われたのと同じくらいのイソマグロはもう来ないだろうけど、20キロとか30キロクラスなら可能性はなくはなし、というより推定120キロのイソマグロがこんなところに居ついたのがおかしいだけで…40キロとか50キロクラスが餌場として堤防周辺を回遊コースにするという事はあるけども。

 今日の餌撒きはまあこんなもので…ホテルで朝ご飯を食べている時間はないから朝食は移動しながら、船で道具を積み終わったヒルダとジュリアさんが待っているはずだし、ちゃちゃっと場を綺麗に流して掃除したら船に向かいましょ。


「さて、船でそれなりに移動してきたわけだが、今日は何を狙うご予定で?相当強いタックルだからマグロ?」

「マグロも釣れるだろうけど、今日の狙いはカジキ、ここならシロとクロにメカジキマカジキときてバショウもいる、それをキャスティングでね?」

「それでポセイドンとセイルフィッシュを持ってきてるのか」

「ショア用だからちょーっと長く感じるけど、この船だと丁度良いくらいでしょ」

「そうだな、申し訳程度の転落防止柵がついてるだけでほとんど地面に立ってるのと変わらないし広いからな、何より揺れないし」

「番組で新製品紹介みたいな感じで使った時はトローリング用のクルーザーでキャスティングしてたんだよねぇこれ…性能は申し分ないんだけど、オフショアよりショア人口の方が多いからって事でショア用として開発されたっていう」

「だったらオフショア用に2メーターあるかないかのを作ればいいと思うがなぁ…同名というかシリーズ物として作るってのはこっちだとよくあるんだろ?」

「あるね、ネレイドがポセイドンとはまた違う、ちょっと尖ったハイエンドとしてサラキアってのを出してて、そっちはショア用とオフショア用で2種出てるね」

「それは無いのか?」

「一応祭典の後送られてきてるからあるにはあるんだけど、うちといえばまあこれかなー?って、それにサラキアもいい竿ではあるんだけど、200キロとか300キロクラスのマグロとかカジキだとちょっとパワー不足。

50キロクラスのヒラマサくらいならまあ十分余裕をもってー…だから性能としてはかなりいいんだけどね、対象が3桁キロのハイエンドか2桁キロのハイエンドかっていう差は大きいね、あまり泳がない思いだけの魚であれば100キロでも200キロでも行けるけど、マグロとかカジキになると無理かな?」

「マキシマが昔出してたグラディエイターシリーズみたいな物か、あれは200から300ドルで買える割にはいい竿だった」

「一応ネレイドでも生産は続いてるけどね、ショアとオフショアの強い味方ミドルクラスのグラディエイターシリーズとしてまあぼちぼちと、それをハイエンドまで高めたのがサラキアかな?でもお値段が5万なのでポセイドンの半分以下くらいなので耐久性等は…ってやつよね、そもそもブランクスからして違うし」

「ブランクスの差は大きいよな、どんなにいいガイドやリールシート、グリップに仕上げてもブランクスがダメなら…」

「まあ、マーメイディアとかその辺りのブランクスがおかしいだけなんだけどね、それに頼らずって作ったのがサラキアとも言える、というよりあのブランクス高いのよ、作ったのはレッドウルフだからレッドウルフが作る分にはいくらでも安く作れるんだけど、マーメイディアとワイバーンはそれを買ってる形になるから、どうしても倍近い値段の差がねー…

初代マーメイディアとワイバーンはそうでもなかったんだけど…そっちのブランクス素材は他のハイエンドやミドルに使われてるから無駄にはなってない…かな?」

「タカムラから貰った時の値段は1本600ドルからだったが…今は1000ドル超えてくるもんなぁ…値段以上であるってのは確かなんだが…」

「それと同等のクリムゾンウルフでも長くすると7万前後になるくらいには高いんだよね、アルマディンの方になるとさらに進化して文字通り倍の性能になってお値段も倍だけど」

「単純に費用が倍掛かってんのかねアレ?」

「ブランクスを作るための機材を調整、同時に素材の軽量化もして、なんやかんやありまして出来上がったのがアルマディンフェンリルのブランクス、グラス3カーボン7のコンポジットである事には変わりないけどカーボンだけでなく混ぜるグラスも進化、そのグラスでピュアグラスロッドを作ると3メーターまで伸ばしても重さが30グラムくらいしかないし、パワーも8トン未満の低弾性から20から50トンの中から高弾性カーボンくらいまで自由に調整出来て綺麗に曲がって折れず強い。

それを混ぜるのが最初から200とか300トンとかいうばかげた数字の超がつくほどの高弾性カーボン、混ぜ方もただ混ぜるってだけじゃなく、感度や軽さをそのままに柔らかいグラスを介して全体に万遍なく力がかかるようにして折れない竿に。

カーボン自体も従来の物と全然違うから超高弾性カーボン100%で作っても折れる事はないんだけどね、ティップを360度曲げて回転させても折れない、それで魚の口から弾かれて針が刺さらないのかといえばそんな事も無い、まあ他のメーカーからすれば凄く不思議なブランクスだね」

「実際不思議だろうなぁ…50とか60トンの高弾性カーボンは張りとか感度はあるがその分折れやすくなるはずなんだが…逆に折れなくなるってどういう事だってなるよな」

「他のメーカーでは真似が出来ない技術と再現出来ない新素材だからこそ出来る力技ってね、上には上があるけど」

「あれはノーカンだろ、あれが一般に売りに出たら釣り業界どころか色んな業界が終わりを迎えるぞ」

「ウルカンの道具に関しては釣り道具のみにしかならない様にしてあるけど、その制限を取っ払ったらなんでもコピー出来ちゃうからね、それこそ人でさえ、まあ見た目だけその物の金属製の人形になるだけだけど」

「ルアーを設計してもすぐコピーされるとか商売上がったりだよなぁ、あの道具の作り的に複製品を売られるって事は無いだろうが、少なくとも何一つ買わなくなるな」

「行くところまで行った技術は経済を完全に破壊するね、だからこそばら撒くなんて事はせず、アイナ達にもここぞという時だけってしてあるんだけど。

今のところ一番多い使い方としては頑固な根掛かり外し、サンゴに突っ込んでもうどうやっても取れないんじゃないかってなったルアーも取れちゃうし、針が沈んでる木に刺さった値掛かりもとれちゃう」

「一応こっちの金で売ってくれるがラインだけで10万ドルから、全部合わせりゃ軽く数百万ドル、それの使い道が根掛かり外しってのもすげぇ贅沢だよな、ゴミが一切という事を考えれば地域的に環境的も大幅にプラスなんだろうが」

「ま、あれを作れるのは私かルシフか狐さんかウルカン、それと第一世代だけだし、経済が壊れるとかそもそも高すぎて売れないとかそういう心配はいらないね、第一世代の場合はそもそも経済とかそういう概念がないし、それぞれ考えが違ったりするけど全員同じであるという事には変わりなし、それに考えが違うからとは言ってもそりが合わないとかそういうのではなく、3という数字を導き出すのに足し算を用いるか引き算を用いるか掛け算を用いるか割り算を用いるか、またその時の数字はどうするかっていう考え方の違いだけで最終的に答えは同じに行き着くから喧嘩をしたりとかはない、するだけ不毛ってわかってるから。

それで何人かに分かれて同じ物を作り始めて、効率の悪い部分は除去、良い所取りだけをした物が作られていく、そうして出来たのがこのお掃除ボタン、この頑固な染みどうやっても消えないなーって時にこれを元通り綺麗な状態にって指定してボタンを押すと新品同様になる」

「確かに便利ではあるんだが…それを使って掃除してるのか?」

「使わないね、自分で掃除をするとかそういう非効率な事も好むから、とりあえず作ってみただけって感じ、それと自分がゴミと思ってる物は全部消せるから、人をゴミと思えば人も消せる」

「危険物にもほどがあんだろ…」

「一応これ冷蔵庫に設置して常時起動してたりもするのよ?保存の大敵であるカビとか霜とか、そういうのを常に除去して発生しないようにしてる、お風呂だと水垢とかそういうのを除去して常に綺麗なお湯を張りっぱなしでお掃除の手間を省いたり、まあ使い方次第だね」

「間違っても人類に向けて使うなよ?兄さんの事だからまずないとは思うが…」

「普通に家の掃除にしか使ってないから大丈夫よ」

「話してるところ悪いんだが、これ本当にカジキとかマグロが釣れるのか?」

「釣れるよー?トローリングより難しいけどやってやれなくはない、とにかく遠投してギア比を15とか20まで上げて巻き続けるだけ、トローリングだと仕掛けを流して引っ張るんだけど、こんな感じで船を固定しちゃってるから、とにかく投げて巻いてを繰り返すしかない。

バショウカジキの場合背びれが見えるから、それが見えたらチャンスだね、見えても巻くのは止めずに最後まで巻ききる、そしてまた投げる、止めたらすぐどこかに行っちゃうからね」

「釣れるのかねぇ?」

「私は釣った事あるぞ、セイルフィッシュ…こっちだとバショウカジキだな、カジキの中では比較的小さいが旋回能力と泳ぐ速度がエグイ、食う時に背びれを水面に出してくるから見てて楽しいぞ、そんな角度で旋回するのかよってくらいよく回る、後ろから食って来る事もあれば泳ぐ速度と旋回力に物を言わせて頭から来ることもある」

「地味ーに私はバショウを釣ってないんだよね、セイルフィッシュという名前なのに釣ったのはブルーマーリン、約7メーターで重さは推定4000lbはあったけど」

「そっちの方がエグイだろ」

「トローリングと違ってバックで追いかけるという事もしてないし、それでも1時間という制限があったから中々にきつかったね、取り込みはせず船まで寄せてちょっと移したところで針を外してさようならって感じだけど」

「トローリングだと糸が切れないようにバックで追いかけたりするが…船固定でそれは船員と船長がビビったんじゃねぇか?」

「結構驚いてたね、キャスティングで掛けた事もだけど、ファイト時間制限だけはトローリングと変わらないからねぇ、途中で切れるか時間切れかってところで船までべったり寄せてきたわけだし、なんだったら世界記録軽く超えてるし。

でもまあなんやかんやあって記録には残らず映像記録と写真だけ残った感じ、船まで寄せたけどギャフも何も打たず針を外して体力の残ってるうちにリリースで、正確な計量をしてないからって事と、PEを使ってるからラインクラスがどうのこうので対象外にされたのと、トローリングじゃないからダメって感じで幻の記録になった」

「なるほどねぇ、そういうところ地味に頭が固いよなぁ、ラインは何を使ってたんだ?」

「スパルタの7とか8だったかなぁ?結構特殊なやつで普通のやつの倍で200lb位の強度があるやつ、リーダーもそれ相応に200lbを超えてるやつね」

「トローリングだと50から130lbクラスだから…まあ大幅に超えてるわな、でもトローリングの方が楽っちゃ楽なのは確かだが、ロッドは船に固定してるような物だし、走るだけ走らせつつバックで追いかけて巻いて寄せて、だからなぁ」

「カジキってそんなに大きくなんの?」

「普通はならない、ブルーのメスで900キロ以上行くんじゃないか?って言われてるくらい」

「マキシマの方のツナスペシャル…今はポセイドンっていう名前だけど、そっちで釣ったクロマグロは2匹目と3匹目が3メーター少々の400キロクラスというのは本当、1匹目は実は思いっきり下に削った釣果偽装だったりする、5メーター600キロクラスって事にしてるけど、釣り人が殺到するとー…って事でそうしたのよね、カジキにしてもそう、7メーターはあるけど思いっきり痩せてて1500lb位ってしたのよね。

一応映像からはまあ大体それくらいに見えるかなっていう映り方だし、マグロは持ち帰って計量するにはしたけど何キロかは画面に映らない様にしてたのよね」

「実際は何キロだったんだ?」

「682センチの1364キロ、だから映像の中でギャラリーが物凄い騒いでいるっていう」

「放送されたのは?」

「588センチ637キロ」

「ひでぇ釣果偽装だ…まあそれでもギャラリーは沸くだろうが…」

「ま、そんなのが早々掛かるわけも釣れるわけも無し、1メーターくらいのバショウカジキが釣れるといいなー程度で投げるのが良いね」

「だなぁ…そんなもんが掛かったら吹っ飛んでいく自信があるわ…」

「俺は確実に海の中に消えるだろうなぁ…」

「ちっこい分軽いしな、踏ん張れる体勢になるまではドラグは緩めにしとけよ?」

「ところで主様はさっきから何をやってんの?ぽむぽむちゃぷちゃぷいい音出してるけど」

「お昼に使う生地作り、チャパティの生地を薄く延ばすとこんな感じになる、これをよく練ったら丸い鉄球みたいなそれ用の鉄板に広げて被せる、穴が空いてたら上から塗って補修、結構水分のある生地だからここまで薄くしてもしっとりしてる」

「変わった物を作るなぁ…それもまた南印料理か?」

「そうだね、今日のお昼はこれと普通のビーフカレー、主食だけが南印って感じ」

「そうか、まーとりあえず昼まで投げ続けてみるか、釣れるかどうかわからんけど」

「トローリングですら釣れるかどうかわからん釣りだからなぁ、キャスティングだと一番望みがあるのは…小型のマグロをかけてからの追い食いか?」

「そもそもマグロが釣れるのかどうかすらもわかんねぇな」

「マグロが回ってきたら何かしらのカジキが追ってきてる可能性もあるから、マグロが掛かったらそのままちょっと泳がせるのもありだね」

「マグロの泳がせとか贅沢だな」

「大きい物を釣るには大きい餌、ただそれだけだね」

「基本は変わらないって事ね、それじゃあカジキだけじゃなくマグロの方も狙ってみるか」

「ぴぴょ」

「ひよこちゃんのマグロはお昼まで我慢してね?」

「ぴよ」

「サメの次はマグロを食べる気なのか」

「美味しい物はいくらでも食べれるもんねー?」

「ぴよー」

「そうか…まあほどほどにな?後太って重い状態で頭の上に乗ってくるなよ?俺の首は主様ほど頑丈じゃないんだ」

「ぴぴょ」

「善処するだって」

「これはダメそうだな…」

「ダメだろうな」

ぽむぽむちゃぷちゃぷ

ロティの生地を混ぜた時にする音、面白いくらい伸びてひっくり返した時に空気を包み込むのでぽむっと、そして混ぜたときにちゃぷちゃぷ音が鳴る

薄く延ばしてそれ用の丸い鉄板で焼いてカレーと一緒に食べる、水分の多い生地なので薄くてもしっとりしている

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