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色々微妙な日 マサラが決め手

「私はぼちぼち開催地に向けて出発するけど、ちーちゃんとさーちゃんは何か欲しいお土産ある?」

「開催地は何か名物はあるんですか?」

「無い、強いて言えばカワハギの味醂干し、でもそんな物は大体どこでも作れるし、地域特産の味醂というわけでもない普通の工場生産品だから名物であるかどうかすら怪しい、中途半端な場所といえば中途半端な場所だね。

一説にはおでんの発祥だとか干物の発祥だとか現在の形のお寿司の発祥だとかいう人もいるけど、そもそもお酒が作られている地域でも酢が作られている地域でもなし、お米もまあ地元の農家がちょっと作ってるかなーって程度。

そんな感じでどれも今一信憑性がなく、過去の文献漁っても干物はあれどそれ以外は出てこないぞって感じで、10年くらい前に名物や特産品をって感じでエサ取りの小さいカワハギを味醂干しにして売り始めた。

干物に関しては元が漁村だったところなら大体やってるから発祥も起源も何もないっていう落ち、昔はどうやって保存をするか、ってのが大事だったしね」

「おでんとお寿司はどこから出てきたんですかね…?」

「文献を見てまあここが発祥じゃね?っていうところにまあぼちぼち近いところだからいやいやうちがって感じ、なんたら大国が毎年とはいかずとも何年かに一度ここがここがって場所を移動してるような感じ、あれも遺跡を掘ったり文献を漁ってる人が自分の住んでる場所にそれを持ってきたい時に学会で発表する、何か一つでもいいから出土すればこの大国はここにあったんだって発表出来ちゃうからね、それでなんとか大国はちょこちょこ場所が移動する」

「なんか適当ですねぇ…」

「まあそんな感じで何もないところだから、何か名物をお土産にってなると地味に難しい」

「じゃあ何か無難な物でお願いします、そのあたり限定のラーメンとかお菓子とかで」

「はいはい、それじゃあちょっくら大会に参加して当分破れない記録を打ち立ててくるぜ」

「これでボウズで終わって予選落ちになったらある意味伝説ですね」

「それはそれで笑いが取れるので良し」


『なんて感じで大会に行ったんですよ』

「なるほど、まあボウズって事はないだろうし、普通に優勝してくるんじゃない?それより課題は全部終わったの?」

『終わりましたよー?一度家に帰って学校に行って実験もしましたし、もう後は暇な時間があれば裏の管釣りで釣りをして過ごしていいって状態です、ちーちゃんは朝から管釣りに入り浸ってるくらいには今日は暇なんですよね、店長が不在なのでガイドはお休みですし、オーバーホールなどもないので花井さんもカタログを見て時間を潰してますし』

「学生は休みでも世間はお盆明けでちょーっと忙しい辺りだからねぇ、平日が休みの職業の人もいるにはいるけど、先祖を大事にしてる人のお盆明けって地味に疲れるし、そういう人もゆっくりお休み中でお店は暇だろうね」

『だからこうやって電話して暇を潰してるんですけどねー、そっちは何か面白い事ありました?』

「んー…まあ普通?ぼちぼち動画も撮ってるし、9月くらいから順次アップされるから釣りの内容に関してはそっちを見てね」

『生配信とかはしたりしないんですか?』

「出来なくもないけど沖磯とか離島なんかでやる気はないかな?やるとしたら貸し切りの船かホテルの敷地内の堤防、それなら関係のない人が映り込む事もトラブルもないかな?」

『あー…生配信と関係のない人が映り込むとそのまま配信されちゃうから気軽にできないのか』

「離島と沖磯巡りはもう終わったし、近場でのんびりって感じで敷地内の堤防にポイントを作ってたんだけど、サメが大量に来て食い荒らされちゃったからねぇ、サメは駆除しても魚が散っていなくなったから今はそのポイントを作り直し中。

そうすぐに復活するような物でもないけど…生配信をするとしたらポイントが元に戻った時かな?それなら見てる方も色んな魚が釣れてるのが見れて楽しいはず」

『なるほどー、じゃあこれからしばらくは生配信がいつ来てもいいように通知設定をオンにしておかないとですねぇ、普段生配信が始まるのが授業中だったりするので切ってますけど…なんでいつも平日の朝から生配信をするんですかね…』

「それはもう仕事柄としか言えないかなぁ?休みの無い仕事だからこそいつ予定が空くか分からないし、世間一般が休みである土日祝日祭日に生配信、なんて事は出来ないのよね。

前倒しで仕事を進めてしまえば予定は空くけど、それでも仕事で呼び戻される事もあるし、中々難しいのよ」

『なるほどー、休みがない仕事となるとそうなるのも仕方なしですか…ところでさっきからカンカンなってる音はなんです?』

「昨日作った南印風の料理が意外と好評だったから、今日もホテルのレストランの一角を占領して屋台料理を作ってる」

『屋内で屋台というのもあれですけど占領して何も言われないんですかね?』

「何かを言ってくるような人はいないね、ぼちぼち注文も入ってきてるからもう切るねー」

『あ、はーい、屋台がんばってくださいねー』


「んー、このマサラチキンも美味ぇな、ちょっと辛いけど大分押さえてあるから色ほどは辛くねぇし、揚げた物を取り出して手で叩くのはちょっと意味わからんけど」

「じゃあこっちのまだ叩いてないの食べてみる?」

「くれー、んー…ガリガリだな、これはこれで美味いが肉もちょっと硬い」

「衣はかなり厚めで長めに揚げるからガリガリになる、さらに鶏肉は皮がついてないから油がほぼ残ってない、マサラ入りの衣でちょっとは水分が入ってるけどまあそれも限界がある感じ、それで一度揚げたマサラチキンを叩いて衣をちょっと砕きつつ繊維をほぐす、後はもう一度油の中に入れて出来た隙間に油を軽く染み込ませて南印風骨付き唐揚げの出来上がり、ちょっとパサパサしてる事には変わりないけどね」

「柔らかい唐揚げもいいがこれはこれで、持ってかれた水分は飲み物で足せばいいだけだしな」

「大体向こうの料理はチリとマサラを使っておけばそれっぽくなるよな、パスタにもマサラとチリは付き物だし、初めて食ったときは衝撃だったが」

「辛くて衝撃だったのか美味しくて衝撃だったのかどっちだ?」

「まあ両方だな、美味いけど兎に角辛いんだよ、レッドチリにグリーンチリ、さらにパスタを炒める油にもレッドチリを使ってるしで、チーズとバターは大量だからそれほど感じないが後から衝撃が来る」

「美味かったのならいいんじゃね?」

「基本的に体さえ慣れてしまえば向こうの物はなんでも美味いんだよ、辛いけど、後パクチー抜きってちゃんと頼まないとそれも大量に入ってくる、無しって頼んでも入ってくる時もあるが」

「向こうはその辺割と適当だからね、全部入れなくてもいい物に全部入れたり、入れなくてもいいものを入れてもまあいいや全部混ぜちゃえってやったり、そういう細かいミスは結構あるね、肉に関しては絶対といっていいほど間違えないけど」

「肉に関しては宗教が絡んでるからな、水牛は食えるけど念のためにって食べないやつもいるし、ベジ思考もまあぼちぼちいるからな、肉を食わないってだけでチーズとバターはもりもりだけど」

「野菜しか食べないってわけじゃないからまあ健康的ではあるよね、バターとチーズ、生クリームと卵の摂取量を考えなければ」

「それで国外から旅行に来たベジが困惑するんだよな、野菜の総量が5とするとチーズが1卵が15くらいの割合になるし、バターもガンガンに使うしでカロリーが大量っていう」

「魚の場合はどうなるんだ?それも宗教上でダメとか?」

「魚は別に神の使いじゃないので食べても大丈夫、水牛を除く牛と豚は神の使い、神の乗り物だから食べちゃダメ、歩いているところを邪魔しちゃダメとかそういうのがある、だから品種改良によって作られた家畜用の牛ではなく、家畜にする前の原種に近いのがいるんだよね」

「見た目自体はそれほど変わらんけどな、ちょっと筋肉量が多かったり角が違ったりってくらい」

「なるほどねぇ」

「ちなみに魚は基本的には全部輪切りで三枚に下したりとかはしない、頭落として内臓を取って軽く洗ったら後は食べれるところまで全部輪切りにして1枚いくらって感じで売る、そしてその魚がどうなるかというと」

「今その並べて揚げてる様な感じになるんだな」

「本当はフライパンで焼くんだけど、揚げ焼きだからまあ大して変わらないね、マサラとレッドチリを入れた小麦粉を塗してしばらく置いて味と香りをつけて、それから油の中へ入れてしっかりと。

でも向こうの完全再現だと骨がついたままになるから三枚に下してちゃんと骨も取ってるし、揚げてる魚もトラウトサーモンとかタイとかスズキとこっちに合わせてあるのも用意してる、現地だとサワラとカツオが大体輪切りになって売られてるかな?」

「勿体ない様に見えてもそれが美味いんだよな、小さいナマズっぽい魚も基本マサラチリに小麦粉を塗して、って感じだけどそっちは骨が柔いから骨ごと食えるし」

「それは用意出来なかったから比較的似てる魚として普通のナマズをそれっぽい大きさに切ってある」

「チャネル?」

「普通のナマズ、清流で育てた泥臭くない1匹4000円からするちょいお高いやつ、脂はほぼないから近い感じにはなってるよ」

「じゃあ次は魚を盛り合わせでくれ」

「はいはい、でも注文分が先ね」

「客層自体は昨日とと変わらんが、飯じゃなく摘みとして食いに来てる感じだな、今日は」

「朝食時はもう過ぎてるしね、それに海で遊ぼうにの念のためにまだサメがいるかどうかの確認と、危ないサメだけを除ける物の設置があるし、そうなると出来る事といえば敷地内のゴルフ場でゴルフか、テニスコートでテニスか、草野球か、それとも駄菓子を摘まみつつメンコやベーゴマ、50円玉を積み上げてゲームセンターで遊ぶか」

「出来る事多すぎるだろ、それでここにいるのは遊ばずにレストランで飲む事を決めた人達と」

「そうなるね、18番の人マサラポテトとマサラチキン、それとマサラフィッシュフライね」

「とりあえず何でもマサラをつけておけばそれ風になる気はするな」

「向こうの味付けの基本だからね、これを主軸に味付けをすれば大体南印風」


「そういえば電話はなんだったんだ?急用か何か?」

「いや、店長さんがキス釣りの大会に行ったっていうのと、客が一人も来なくて日までやる事がなーいっていうさーちゃんからの電話。

世間一般だとお盆明けでちょっと忙しいし、お盆に働いて代休を貰っている人はそれはそれで燃え尽きてるだろうし、お店はどうしても暇になっちゃうって感じ、学生さんも課題を終わらせてない場合はそろそろ本腰を入れないと間に合わないし、計画的にやっていても墓参りだなんだでちょいと疲れ気味で部屋でだらだらしたりね。

気にせず行く人は行くだろうけど、店長さんのお店周辺の人達の場合は行かない方を取ったという感じ」

「ふむ、ここにいると釣り以外で疲れる様な事はないからなぁ、そもそも私はお盆という行事とは無縁だ、そもそも宗教がちげぇし」

「俺はお盆がなんなのかがわからん」

「この国に根付いている行事の一つで、この時期になると霊界から先祖の霊がやってくるからそれを迎え入れる準備をしたり、お墓の掃除やお参りをしたり、それで最後にまた送り返すっていうのがある、まあ最近は掃除とお参りはするけど単なる親族の顔合わせイベント的な方に移り変わっていってるし、伝統だからやってるってところも少なくはない」

「本当に霊が来るのか?」

「来ないね、そうであると考えられているだけだから、掃除や墓参りをしなかったり、迎え入れる準備をしなくても別に何も起こらない、だから程々にして顔合わせって感じ。

カッチカチのところは精霊馬だなんだとか作ったり、掃除に墓参りに送り迎えに送り返しにと最後までやるけどね」

「実際に来たりしたらどうなるんだろうなぁ?」

「どういう姿で来るかによるだろうね、一般的には霊体からまず見える事は無いといわれているし、見えるなら見えるでどの年齢の時の姿になってるかってのもあるだろうし、声が聞こえたら聞こえたで小言は確実に来るだろうから、それはそれで廃れていきそうではあるよね、毎年毎年なんで先祖達の小言を聞かなきゃならないんだとなって、だんだん誰もやらなくなる。

後子孫も子孫で1人しかいないっていうわけじゃないし、顔を合わせたことがない人と先祖が同じだったりする事もなくはないわけだし、先祖はいったいどっちの家に行けばいいの?ってなるよね」

「まあ…そうだよなぁ…」

「扱いが悪いけど名士になっている本家の家に行けばいいのか、扱いは良いけど本家と面識すらない小さい分家に行けばいいのか、先祖がどういう人だったのかにもよるけど、さらに言えば先祖も一人じゃないっていうね、もう完全に大渋滞待ったなし」

「実際には起こりえないからこそっていう行事なんだな…」

「そうとも言えるね、11番の人マサラチキンとチキンシークバー上がったよー」

「この感じだと今日は夜まで営業しそうだな」

「んー…どうだろうね?」

色々微妙な日

世間一般は普通の平日なのでそれなりに忙しいが、趣味関係のお店は色々な理由により客足が遠のいて暇になる

店長さんのお店は趣味のお店なのでよほど元気だったり絶対に行く、と言う意思がない限りは足が遠のくので…

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