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選りすぐりの卵 上層の人は気にしない

「ぴぴっ、ぴぴょー、ぴぴよ」

「これとこれ、それとこっちの箱の卵」

「ぴっぴー」

「それとそっちで選別されて商品になってないひび割れ卵も買うから頂戴」

「中身が漏れてるのもあるけどいいのかい?」

「殻が目的だから大丈夫、中身も中身でちゃんと料理するけど」

「ぴっぴょ」

「はいよ、それじゃあ全部で3780円ね」

「さすが餌から拘って育てられた鶏の卵、いい値段してるねぇ」


 まずは卵を綺麗に割って中身と殻に分けて、殻を割らないように薄皮を綺麗に剥がして、表面がツルツルになるまで磨いたらひよこちゃんに渡して私は卵の中身を料理すると。

 ただ普通にスクランブルエッグや卵焼きにしても面白くないのでここは…南印風で行くか、現地でもないし宗教上食べれないだとかそういう事はないので、肉は鶏だけでなく牛と豚も遠慮なく使っていきましょ。

 何印と言えば丸、もしくは四角い縁のない鉄板、後は中華鍋にフライパンに…調理器具に関しては割と節操がない感じがするけどそれも含めて南印料理、それ用のコンロだのなんだのを用意して、油に玉ねぎに千切りキャベツにピーマンにトマトにバター、そしてチーズも大量に。

 南印風なのでお米もバスティカ米をバターと少しの香草を入れて茹でて冷した物、茹でて油を絡めて冷やした若干沖そばに近い麺、さらにそれを揚げてパリパリにした揚げ麺、袋麺も親しまれているけど…麺だらけになってしまうのでまあこの3種で、パスタも多いといえば多いんだけどねぇ…要望が来たら追加する程度にしておきましょ。

 それじゃあちゃちゃっと仕込をやっていきましょうかね、まずはお米を茹でつつ麺も茹でて、冷ましている間に各種野菜の千切りと、各種肉の用意と…今日も1日食い倒れコースだねこれは。


「向こうで大会があった時にも見たけど、そのカーンとかカンカンッて叩くのってなんなんだろうな?パフォーマンス?」

「パフォーマンスというわけではない、こうやって混ぜたりしてるとお玉とかヘラにちょっとついてくるでしょ?これをカーンと叩き付けて落とす、全部は落ちないけど何度か混ぜて何度か叩きつけてるうちに綺麗に剥がれてに混ざるようになる」

「それで今作ってるのはなんだ?なんかバッサバッサと調味料やらなんやらを入れてるが」

「これはドライカレー、キャベツにピーマントマトをたっぷりの油で炒めて、バターを入れて茹でて冷やしたパラパラのバスティカ米をどさーっと入れてしっかり混ぜる」

「それで出来上がり?」

「いやまだまだ、しっかり混ざった物をこっちの容器に全部移して、今朝買ってきた卵を溶いた物をたっぷりのバターで焼いて、中まで火の通ったスクランブルエッグが出来たらここにさっきできたドライカレーを入れて混ぜる。

そしてドーナツ状にして中心に穴を空けてさらにバターとキャベツとピーマンを入れて炒めてまた混ぜる、最後に追いバターでドライカレーを炒めてチーズをたっぷり削ってかければ…南印風ドライカレーの出来上がり、パクチーは好みがあるから使ってないし、辛さも色々好みがあるからちょっとピリッとする程度」

「なるほど、とりあえず1皿くれ、でも肉は使ってないんだなこれ」

「ないからこそバターとチーズがたっぷり、使っててもたっぷり使うけど」

「大体の人は豚と肉は宗教上食べない、だからスパイシーでもヘルシーって考えてる人がいるけどそんな事はないよな」

「現地に行ったら卒倒するだろうね、油たっぷりバターとチーズもたっぷり、鶏の皮は食べないけどチキンは大体1度揚げてから煮たり炒め物に混ぜたり、だからカロリーが物凄く多いっていう」

「主様こっちのはなに?」

「それはただの唐揚げ、でも南印風だからレッドチリパウダーなんかを使っててちょっとピリ辛、それと皮はついてない」

「えー…皮が美味いのに?」

「ついてないだけで皮はちゃんと置いてあるから大丈夫、そっちはまたお摘みとして焼き鳥だね」

「ならいいや、俺にも1皿くれ」

「ひよこちゃんは?」

「ぴぴょ」

「チーズマシマシね」

「しかし…レストランの一角で料理しているせいか普通に宿泊客が並んでるぞ、いいのか?」

「いいんじゃない?ひよこちゃんの帽子用に買った卵の量的に食べて貰わないと無くならないし、卵以外は全部ホテルが抱えてる食材よ、だから現地だと100円とか200円で買える料理が一気に高級料理に」

「そもそも物価が全然違うから同じ様に作ったらそれだけで6倍からは変わるだろ」

「だねぇ、この国はバターとかチーズとか他の国からしたらびっくりするくらい高いもんね、このドライカレー1皿をお店で出すとしたら1300円は取らないと元が取れなさそう」

「そっちの揚げっぱなしになってる唐揚げは大丈夫なの?水分大分飛んでない?」

「ちょっと水分が飛んでるくらいが丁度良い、この水分がちょっと飛びすぎてる細長い唐揚げ、これをこうやって切って小さくしまして、中華鍋で卵を焼いてご飯を投入、ネギに先ほど切った唐揚げ、塩に旨味調味料に砂糖をほんの少々、レッドチリも少しとマサラも足してがっふんがっふん混ぜておたまをカーンと、本場だとまあ結構豪快で色々飛び散って汚れたりするけど、人種的な物だろうね、良くも悪くも色々大らかな人が多いからちょっと飛び散ったくらいじゃきにしない、逆にこの国の場合はちょっと飛び散ったり、注文した料理に違う料理の破片が入ってるだけで騒ぎ始めるくらいには几帳面すぎるし完璧を求めすぎるのよね。

はい4番の人のチャーハン上がりー、次の人はー?」

「これが南印料理って言ったら違うだろっていうやつが多いんだろうなぁ」

「その国に輸入されて魔改造された時点でもうその国の料理とも言っていいだろうね、どこの国を何を基とするその国のそれって感じで、はいはい、焼きそばねー」

「調味料適当、調理時間長め、油は横で上げている揚げ物油から取る、切った野菜だなんだはザルに入れて乾燥も気にせず棚にドン、茹でた麺もお米もボウルに入れて常温で保存、その場で切って追加する事も多々。

そういう物だと知らないやつが見たら間違いなく騒ぐだろうなぁこれ」

「その都度その都度取り出して、計って、なんて時間のかかる事はしないからね、分量も全部目分量と感覚、味が濃くなる事はあっても薄くなる事はないし、量が多くなる事はあっても少なくなる事もない。

後向こうで料理をしてる人の何が凄いって、これで何か作ってって持ち込んだら見た事の無い物でも迷わず味付けをして独自の料理を作り出すんだよね、基本麺はぐでぐでになるまで茹でるけど」

「兄さんも割と似た様な事をしそうだけどな」

「私の場合だと適当に作ってーってなると当たり外れの無い無難な物に落ち着くけどね、5番の人の焼そばで来たよー、次の人はー?お任せ?じゃあ適当に作るねー」

「主様、こっちで焼いてるつくねみたいなのはなんだ?」

「チキンシークカバブ、ミンチにした鶏肉にスパイスで味付けをしてるだけだから、スパイスで味付けをしたつくねみたいな物だね、このまま食べる事もあればこうやって具にする事もある、はい6番の人お任せの辛チキン入り固焼きそば上がったよー」

「辛いのか」

「南印の料理は基本的にレッドチリとグリーンチリ入りだからな、多少マイルドにはしてるだろうが後からじわじわ来るのは確かだろ、チーズとバターで抑えられてるけどこのドライカレーも地味に汗が流れ落ちてくるしな」

「7番の人はドライカレーと南印唐揚げねー」

「注文する人が並んでいれば待てない人がギャラリーとして見に来てるのが何とも」

「これも向こうだとよくある事だな、店の中だけじゃなく店先にコンロや鍋を出してる店とか屋台だと結構ギャラリーが集まってくるぞ」

「一度本場の物を見てみたい気がしないでもないな」

「見るだけなら動画で見ればいいだろ、それに現地の料理は辛いけど美味いのは確かなんだが…慣れてないと腹を下すぞ」

「えぇ…」

「フライパン等に前回の食材が残っているから、1枚の布巾で鍋やコンロ周りを拭いたり鍋を掴んだりするから不衛生、それで食中毒になってお腹を壊している、っていう説があるんだけど、お腹を下すのは不衛生なのが原因じゃなくて単純に水が合わないのと、結構な量のレッドチリとグリーンチリ、それに大量のバターとチーズで結構な脂の量になるからお腹が処理しきれずに下しちゃうのよね。

一番多いのは水が合わなくてお腹を下す、次に辛い物を食べて胃が荒れてお腹を壊す、3つ目がその2つ同時で4つ目が単純に雑菌に当たって食中毒と、不衛生なのが原因で当たるのは実は結構少ない、1年食べ続けて年に1回か2回あるかないか程度で、この国と大して変わらない程度だったりするのよー?」

「私の場合は水で腹を下した、チリ自体は食べ慣れてるから大丈夫だったんだが、店に売ってるミネラルウォーターでもダメな時はダメなんだよな、水質が違うってのもあるが」

「ミネラルウォーターとは言っても基本的にはその国で取れた水だし、水道水よりましってだけだからね、7番の人ドライカレーと唐揚げ上がったよー」


「注文をしていったのは全部で30人くらい…という事を考えると大して繁盛はしなかったな」

「ここは上層階に泊まってる人用のレストランで下層階の人は入れないところだからそんな物だよ、逆に言えば何かを言ってくる様な利用者は居ないという事、だからこそ一角を占領してこういう事が出来るわけだね。

それに、下層階なら100人からは注文も来ただろうけど、紹介状で来て浮かれてる人も結構いるから、消防法だのなんだのと言って騒げば、調味料手掴みに茹でた麺やご飯の保存法、食器で混ぜたり回収したりにも文句を言ってくるだろうね」

「上層階は気にするような年代じゃないってのもあるんかねぇ?」

「食べられるだけでありがたや、って事はないと思うけど、少なくとも今の時代の様に衛生ガチガチで免疫力が低下してちょっとした雑菌でお腹を壊す、なんていう体をしていないのは確かだろうね、昔からお金持ちっていう人も居るには居るだろうけど、お金を持ってても考えがアレっていう人は会員証作れないし、上層階は必然的に気にしない人しか居なくなるってやつだね。

下層階は招待状出来たお試しがほとんどで、宿泊客としてではなくお客様気分で来てるから気に入らない事があると割と騒ぐ、会員証が出来るまでは大人しくて会員証を発行して貰った後に態度がーっていう場合もあるけど」

「まあ、そういうやつは結構いるよな、そういう部分を人前で抑えられてこそ…なんだが、そこに認められたから自分は特別、認められてないやつは全員下、気に入らない事をやってるやつがいたら好きに断罪していい、とかそういう考えのやつ」

「めんどくさいやつだなぁ…」

「甘やかされてかつ何をやっても親がお金で解決、って環境で育つと大体そうなる、その副産物的な感じで何かあったとしても現実を直視出来ない、しない、何もかも全て自分の都合のいいように解釈する、という傍迷惑な存在になるね。

去年もそれで砂浜とか堤防で釣りをしている時に何人かに絡まれて、そのうちの8割くらいは最後まで理解をしようともせず会員証没収、または招待状を白紙にして即ホテルから叩き出しで敷地内立ち入り禁止になってたかなぁ?砂浜で大人ぶって休憩している時に私が釣りをしてるのが気に入らなかったらしいよ?堤防の場合だとクルージング中の景色を台無しにするとか何とかで」

「全部言いがかりというのが中々に得点が高いな」

「2割は出入り禁止かつその他ルシエラカンパニーが経営、関係する全ての場所への立ち入り禁止という現実を突きつけられて青ざめてたけど、残り8割は全部私が悪い事にしようと強制退場になるまで最後までごねて、お前の人生くらい簡単に潰せるとか、親に頼んでまともに生きていけなくしてやるとか脅しをかけてきてたりしたねぇ」

「難癖つけてキレ散らかした結果まともに生きていけなくなったのは自分と」

「喧嘩を売る相手はよく見ないとダメだっていういい例だな、売らないのが一番いいが」

「私は基本的には買わないけど、それはそれでずーっと向こうが喧嘩を売り続けてくるのがねぇ」

「兄さんの場合無視して我関せずになるから余計にヒートアップするんだろうな」

「そもそも言いがかりで突っかかってきて喧嘩を売ってきてるから、それを嗜めようとしてもそれはそれで火に油を注ぐというか、火にガソリンや火薬の粉末をばら撒く感じでさらに爆発して燃え上がるから結局は無視するのが一番いいのよね。

嗜めようとした場合が100とすれば無視した場合は最大でも8割くらい、大体は嗜めようとした時の6から7割くらいで済む」

「鎮火して0になる事は…ないだろなぁ…自分で次から次に燃料を投下していくだろうし…」

「ないねぇ、ホテルの支配人が来ても消えず、出入り禁止の通告をするとさらに燃え上がり、強制退場で敷地外に連れて行かれてもガソリンをかけたように爆発して、いつになったら鎮火するの?ってくらい勝手に燃え続ける、自分が悪いとは砂粒ほどにも思わないんだよね、あの手のタイプは」

「ぴぴょ」

「辛チキンシークケバブが欲しいのね」

「こっちは塩皮をくれー」

「はいはい、でももうちょっとしたら餌を撒きに行くからね?」

「大丈夫大丈夫、酒は一滴も飲んでないからな」

「ポイントが復活するまでどれくらいかかるかねぇ?」

「早ければ3日、遅くて10日後かな?」

「最終日までには復活して欲しいところだなぁ…」

「サメはもう居ないから後は魚の気分次第だろうね」

南印風

牛も使うし豚も使う、味付けもマイルドになっているのであくまでも風

本場の味を完全再現するとチリの刺激で胃をやられてお腹を下す、ついでに超高カロリーで通風注意報が出る

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