作り直し 組み合わせればさらに楽しめる
「うむ、今日も絶好の釣り日和なり、なれど釣り場は…」
「なんか見えてる範囲だけでもひでぇ事になってんな、これだとメーターのGTやらなんやらは食われたか逃げたかだな」
「1日放っておくだけでこうなるとか凄いな、昨日イソマグロを食われる前までは居なかったんだろ?」
「だねぇ、というより初日にくっついていたのを駆除してそれからちょこちょこ撒き餌はしてたけど、その間は寄ってきてなかったから昨日の遊漁船の撒き餌に釣られて遠くから来たっぽい、イワシとかグルクンとか血と内臓入りのアラをバッサバッサ撒きながら移動してたし、GTとかも寄ってくるだろうけど血の臭いでサメも大量にくるよねって」
「内側は網を張ってるから侵入は防げてるけどサーフとかサメがいるから閉鎖ってなってるもんな、これちょっとしたテロだろ」
「すぐに閉鎖したので怪我人などは出ていませんが、辺り一帯で魚を食い荒らしているのがイタチザメの群れですので、閉鎖するのが遅ければ死人が出ていたでしょうね」
「馬鹿みたいに餌を撒いてイタチザメを大量に引き連れながら…とか性質が悪いってもんじゃねぇな」
「客に釣らせるために餌を撒くってのはわからないでもないけど、サメが来たから場所を変える、また撒いてサメが寄ってきたから移動、そして進入禁止区域までサメを引き連れて入ってきてさらに撒き餌、乗ってる客はまあここに来た直後は楽しかっただろうね、堤防の近くとかメーターのアオチビキのカイワリにオニカマスにと大量に居たし、それが落とせばもう釣れるっていう状態だったし、ホテルの宿泊客じゃないのと不法侵入だから密漁だけど」
「で、その密漁者になった遊漁船の客は釣り上げる事が出来たのか?」
「何人かはアオチビキとカイワリを釣って喜んでたよ、全部絞めて死んでたから全部証拠として没収されてたけど」
「客も何かおかしいとは思わなかったのかねぇ?そんないい場所なのに人が少ないというか1人しか居なかったという事に」
「類は友を呼ぶっていうし、その船長にはそういう固定客がついてたっぽい、遊漁船なんかでよくあるトラブルとして堤防に接近して釣りをさせて、堤防で釣りをしている人の糸が絡んで揉めるってのがある。
この国の場合だと特別な許可がない限り遊漁船は堤防に近づいて釣りをしちゃダメさせちゃダメってのがあるんだけど…ちょこちょこ遊漁船の許可イコールその許可と勘違いしているのがいる、瀬渡しの許可があるからって立ち入り禁止区域に客を降ろしていいというわけではない、ってのと同じ。
まあ、特別な…とは言っても、この日に堤防周辺に遊漁船を出したいんだけどーって申請して、堤防に人がいなければいいよーって簡単に許可は下りたりする、沖堤防周りとかは人が居ない時に限るとかね」
「当然そういう申請があるわけもなく、そもそも進入禁止区域に入ってきてかつトラブルを起こしていますので、警告をしても辞めさせないどころかこちらを挑発してくる始末、客も客で警告が聞こえているはずなのに誰一人として止めようとしなかったので情けは無用ですよね」
「運営元自体はまともだったみたいだけどしばらくは周りからの風当たりが強いだろうね」
「下っ端1人がやらかしたとしても全体をそういう目で見られるのはどの国も同じだな、それよりこの目の前にいるサメよ、これをどうにかしないと釣りが出来んぞ、どうにかしても魚が居なくなってるだろうけど」
「そうねぇ…堤防周辺だけじゃなく浜の方まで来てるから軽く50から100は居るのよねぇ…これを駆除するとなると…んー…ちまちま釣ってたらきりがないし…ちょっとやる気を出して…いけ!ひよこちゃん!イソマグロの仇をとるんだ!」
「ぴよっ!」
「仇も何も気の美味そうに兜焼きを突いてたじゃねぇか」
「ぴっぴよっぴー!」
「ひよこちゃん的には頭だけじゃなくて腹回りも食べたかったみたいだからねぇ、というわけで準備運動が終わったひよこちゃんを海にポーイ」
「ぴょー!」
「元気よく海中に突っ込んでいったが普通に食われて終わりじゃねぇか…?」
「まあ、普段はひよこで燃費を抑えてるけど、今は味は二の次にすれば食い尽くしてもいいのがいるから、1時間もしないうちにこの辺りから魚を食い荒らしてるイタチザメはいなくなるよ」
「サメを食うひよことかわけわかんねぇな…」
「俺は海の方で元の姿は見た事はあるけど、かき氷を食って死ぬ様なやつだぞ?本当に大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫、あれでも大分加減してる状態だから、ちょっとやる気を出せばサメくらいなら海鳥がイワシを丸呑みするのと同じ感覚で食べてくれるよ、やる気であって本気じゃないのがポイント、それじゃあひよこちゃんがサメを食べている間に今日もイワシとキビナゴ、それとガンガゼを混ぜたコマセを外側に撒こうか、全部が全部居なくなったわけではないだろうから、またぽつぽつ撒いていけば寄ってくるはず」
「本来なら昨日今日とで本格的にの予定だったが…密漁船1つでこうもボロボロになるとはなぁ…」
「これからは侵入してきたら自動で警告が飛ぶようにしておきませんとね、昨日と同じ様な手合いには効果はないかもしれませんが」
「あの手は何を言っても聞く耳持たずだから、然るべきところに捕まえて貰って現実を突きつけるしかないね」
「んーむ…パラパラーっと撒いても何も寄ってこないな」
「辺り一帯からサメが消えたら臭いで寄ってくるだろうし、薄く広く撒いてまた場を温めていくしかないね」
「そういえば浜辺と周辺を封鎖してるけどさー、ホテルの宿泊客は何も言わないのか?」
「ただ封鎖しているだけでなく、封鎖に至った原因と理由を伝えているので何も言いませんね、連日の撒き餌により魚が増えているのでダイビングの予定を入れていた人は残念そうにしていましたが、原因と理由を聞いた後は納得していましたよ、その後それなりの数の宿泊客が各所に電話をしていましたが、それがどこで、捕まった人がそれでもし職を失ったり、それが原因で一家離散したり、財産を全て失って、借金を抱えたとしても…こちらのあずかり知らぬ事ですね、ただ運が悪かっただけでしょう」
「絶対何かあるなこれは…」
「ヒントにもならないけどホテルに泊まっている客層を考えればまあ…大体察せるよねっていう、今回の件に関しては事故でも何でもなく自業自得なんだけども、最初にここは進入禁止で漁も釣りも禁止ーって言った時にすぐ止めてればまた違っただろうけどね。
だったらそこでやってるお前はなんだとか、お前が黙ってりゃ禁止でもバレねぇよとか、うるせぇ黙ってろとか、ここはお前の所有物でもないだろうがとか船に乗ってる客に結構言われたけどね、船長も船長でそんなバカほっといてどんどん釣ってー、魚探にメーター超えてる魚が一杯居るよーとか言ってたし、邪魔だから竿を片付けてとっとと失せろとか、最終的には堤防にほぼべた付けっていう、だからこそ糸が仕掛けに絡まないようイソマグロを誘導して散歩状態になったというか、常にイワシやら血と内臓やらを撒いてたから餌が食えると臭いのついた船を追ってたサメがきて、イソマグロの逃げ場というか誘導出来る場所がなくなって食われたというか」
「その時はまだ2匹程度だったんですけどね、かなり派手に撒いていた様で…大体地図で指しますとここからここまで、サメに食われるとある程度移動してまた撒いて、を繰り返していたみたいですので、ここからここまでのサメをほぼ全て引っ張ってきてかつ沖の方のサメも誘き寄せた形になりますね」
「なんかそういうの見た事あるな…魚を釣るためにーって撒き餌として食わない部分と血を海に大量に撒いてサメに襲われて、人を襲ったサメを駆除するぞー、でも中々出てこないから状況再現で餌をまくぞーってやったらバカみたいにサメが集まったっていうB級映画を…」
「そんなのあるんだ?」
「サメを題材とした映画が流行ってた時期だったからなぁ、もう30から40年くらい前の古い映画だよ、サメといえば血の臭いで寄ってくる、なら血と内臓と頭を大量にバラ撒けばこうなるんじゃないか?って感じで作られた映画だな。
当然ながら安全面を考えて危険なサメが居ないに等しい場所で撮影されたわけだが、それでもシロワニとかそういうのは撮影中に数匹集まってきたらしい、撮影期間中実際のサメも撮影するためにそこらへんで撒いてたから餌付け状態になってて、最後の方は臭いじゃなくモーター音で寄ってきて餌が撒かれるのを待ってたとかなんとか、撮影が終わった後は自然と野生に戻って行ったらしいが」
「まあ、サメも一応知能はあるし、魚も餌付けをしたら人に馴れるから多分それだろうね、人に馴れてるイタチザメも存在してるみたいだし、血の臭いを出した時点でかぷっとやられちゃうだろうけど」
「あー…名前を付けて可愛がられてるのがなんかいたなぁ…でもあの個体だけで大人しい種類のサメですって判断して世界に発信するのは間違ってるだろ…ホホジロが勘違いされる要因になった映画ほどの影響力はないだろうが…エネドリの最大手と言えるところがそれを言っちゃってるのがなぁ…あれ間違いなく何人かイタチザメに近づいて食われて死んでるぞ…」
「イタチは結構悪食だし、共食いもするし、食べれる物は何でも食べるからねぇ、ホホジロは餌である動物と間違えて、だけど、イタチは最初から目に入る物ほぼ全て餌と認識して、だから色々とねー」
「のんびり話をしてるのはいいんだが、溶けてるイワシとキビナゴをさっさと持ってきてくれ、ガンガゼ入りのコマセはもう撒き終ったぞ」
「あーはいはい、これが今日の分ね」
「ぴぷー…」
「お帰りひよこちゃん、全部食べた?」
「ぴぷっ」
「それなら良し、ご褒美としてダイエットを1ヶ月は免除してあげよう」
「ぴよっ」
「でも1ヶ月後太っていれば太っているだけダイエットがきつくなるからねー?」
「ぴょー…」
「本当にあの近辺集まってきてたイタチザメを全部食ったのか?」
「ぴよぴよ、ぴぷっ」
「食べたついでに近くによって来ようとしていたのも追い払ってきたんだって、だから進入禁止区域の外から餌をドバドバ撒きながら誘導しない限りはしばらくは入ってこないだろうって」
「最後のはげっぷか何かか?」
「1メーターから2メーターのを136匹食べてきたみたいだからね、活動中にほとんど分解吸収済みだけどちょっと残ってるみたい、だから頭の上に載ってると首にずしっとくる」
「見た目はほぼ変わらんのだがなぁ…というより136匹って何トン食ってんだよ」
「さぁ…?1匹あたり100キロから250キロとして20トン前後?まあちょっと首にずしっとくるだだけで、今のひよこちゃんの体重自体は12キロくらいよ、ひよこの姿に戻ってるから燃費が良くなってまだちょっと残ってるって感じ」
「その大きさで12キロとかえげつねぇな、一体何で出来てたらそんな重量になるんだよ」
「そういう物としか言えないかなぁ…?」
「それより今日はどうするの主様?釣りの予定は潰れたわけだけど」
「そうねぇ…釣りに行くにはもうかなり遅いとも言える状態だし、それ以前にエサはポイントの作り直しで今日の分は使い切ったし、解凍するのにも時間がかかるから昨日の様な事故を防ぐための対策で時間を使う感じかなぁ?
船でオモックとかルアーとかを投げに行くのもありといえばありだけど」
「オモックなー…悪くはないんだが…サメの大群が来た後で釣れるかどうかが謎だなぁ…」
「岩に隠れてる小さいハタ系なら釣れるんじゃない?カンモンハタとか成長しきってないバラハタのちっこいのとか」
「それはまた微妙だな…」
「隠れる奴は隠れて無理なやつは散って逃げてるだろうしな、こういう時はスパッと諦めて…飲むか、というわけで兄さん摘みお願い」
「また泡盛を飲むのか?」
「さすがにまた二日酔いにはなりたくないからサルサビア、それとミントエキスにバニラエッセンス、ガムシロップにフルーツ缶、そして炭酸水、これだけあればずーっと飲み続けられるぞー?」
「そのままじゃなくて味と香りを変えるのか」
「そのままで美味いが自分独自の美味い組み合わせを見つけるのもいいもんだぞ、コーラにレモン汁とかクエン酸とかバニラエッセンス、有名どころだとバニラアイスやソフトクリームを乗せたコーラフロート、あれも飽きない様に味と香りを変えるための組み合わせだな」
「サルサビアにアイスは乗せないのか?」
「乗せるならミントアイスだな、スーッとした感覚は大事」
「お摘みは何で?」
「いつものポークで、後は唐揚げやらなんやらを持ってきて貰う」
「はいはい、それじゃあポークを1缶開けて焼いてきましょうかね」
「よろしくー」
「ぴぷっ」
「ひよこちゃんはお腹が落ち着いてからね」
混ぜ物
ただそのまま飲むだけではなく色々混ぜて飲むジュースも美味しい、ソフトクリームを乗せたフロートが有名でもあり鉄板
それで完成しているジュースに混ぜ物…と思うところだがやってる事はノンアルコールのカクテルなので別におかしくはない




