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手渡しだからこそ 地味に疲労マシマシ

「あー?ちゃんと買ったぞ、缶詰か瓶詰でよかったんだよな?タカムラとハナイ、それと今店にいる2人合わせて全部で12…多すぎる?いや多いって事はないだろ、瓶1つに対して入ってるのは1個分だぞ?日持ちするんだから一気に食う必要はねぇだろ、いつ届くのかって?そっちに帰った後だから来月頭だな…バイト2人はもうその頃には帰ってる?だったらタカムラが送ってやればいいだろ…今すぐ送れ?こっちから送ると地味に送料たけぇんだぞ、そのくらい気にするな?送る側は気にするんだよ、それに今すぐ送るとか通販で買うのと何も変わらんだろ…

あー、ちゃんと会えたよ、小さい店で品数は少なかったが物はよかったな、お宝というお宝はなかったがちょっとした居酒屋も一緒にやってて摘みは美味かったぞ、ナカムラはどうしてたかって?島についた直後は漁に出てていなかったよ、店自体は孫娘が店番して摘みを作ってた、うん、まあ20年とか30年とか会ってないわけだし、向こうは誰だよって反応はしてたよ、私も事前情報無しで見たら間違いなく誰だよってなるわ、当時の面影は残ってるがまあぼちぼち老けてるわけだし。

まあ、いきなり何しに来たんだよ的な事は言われたな、アポも無しに行ったわけだし、そもそも店に行った理由がただ行ってみたかっただけだしなぁ、積もる話とかそういう物が有ったわけでもなし、釣行の休憩がてらの観光で来てみただけーって、昔話はちょろちょろっとしたが…大した話はしてないな、あの時の大会がどうのこの時の大会がどうのってくらいだよ、後はタカムラの店に比べると全然儲かってねぇなぁとか、儲かるはずがないところの店だから儲かってたらそれはそれで怖いが。

それと人口が少なければ客も少ないからか、コマセは全部開封してコンテナに突っ込んで量り売りしてたぞ、仕入れてるのも3種だけでコンテナひとつ50キロくらいの全部同じ値段でキロ150円、タカムラの店も真似をしてみたらどうだ?まあ無理だろうけど…だよな、そっちは結構色んな人が来るから気にするもんな、ナカムラの店の冷凍庫とかカツオとかマグロの頭が袋にも入らずそのまま冷凍されてたし、グルクンも丸太ではいってりゃニザダイとかそういうやつの頭とかも冷凍されてたし、タカムラの店でやったら間違いなく苦情が入るだろうな。

…あー、そうだねぇ、ナカムラがいる島に渡って釣りをする人は居ないに等しいな、船だとフェリーとたまに行き来してる船を使って片道15時間からだろ?さらに遊漁船があるわけでもなし、民宿もあるにはあるらしいが…最後に釣り客が来たのが5年とか6年とか前らしいぞ?今の時代だからちゃんと電話も通じるが定期便以外で島に渡る場合は漁師の気分次第らしいからな、送迎の交渉をしても気分が乗らない、お前どう?俺もめんどい、とかそんな感じでそもそも迎えに行く事すらないらしい。

釣り?はしてないな、毎日行ってもいいと言えばいいが、1日で使う体力も結構なものからな、仕掛けを組んだりリーダーを結びなおしたりで大体1日か2日おきって感じだな、だから昨日はナカムラについて行ってみるだけで終わらせたな、普通に堤防でフカセをしてただけだったよ、そこでグダグダと管を巻きながらだらだら話して昼前には土産の瓶詰をな。

摘みのレシピを教えろ?お前知ってるんじゃねぇのか?場所を知ってるだけで行った事はないと、まあそうだよな、片道15時間でも往復にかかる時間は1ヶ月だしな、しかも島によって親しまれてているものが違うときたもんだ、私は食べただけでレシピは聞いてないから知らん、兄さんが聞いてたはずだが…はいはい、前日に獲れた魚を適当に角切り、または細切りにして軽く茹でたアーサとゴマを混ぜて醤油を加えて1日漬けるだけ、だとよ、獲れた物を使うから日に日に中身が違うらしいぞ、昨日食ったのは魚だけじゃなくイカと貝も入ってたな、結構美味かったぞ。青のりで代用出来るかは知らん、香りだけなら青のりでもいいんじゃないか?食べた感想としては海苔の香りがする漬けだし…そっちでやるならあおさがいいってよ。

はいはい、瓶詰は帰ってからな、じゃな」


「今日は肉肉肉って感じだな」

「昨日一昨日が魚多めだったからね、その前はバーベキューでベーコンエクスプロージョンを作ったりもしたけど」

「今作ってるのはなんだ?」

「鉄板焼肉飯、ご飯はラードを入れてちょっと硬めに炊いてあるからぱらっとほぐれやすい、これをさらにラードで焼いた細切りの豚ネックと一緒に炒めて、ご飯が脂でギットギトになったらちょっと鉄板の隅によけて置いておく。

次に玉ねぎのみじん切りを御飯の半分くらい炒めて、避けておいたご飯と混ぜたらちょっと辛口の焼き肉のタレを掛けて鉄板に広げつつタレの水分を飛ばしてぱらっとさせて、滲み出てきた油で軽く揚げ焼きに近い状態にすれば…」

「匂いだけでかなり来るなこれ」

「上にバサッとかけた青ねぎは免罪符か何かなんだろうな」

「はい、これで出来上がり、表面はぱらぱらの焼き飯、揚げ焼きになっている部分はちょっとパリッと、七味とか一味、山椒をかけて食べても美味しいよ?」

「そりゃ美味いだろうなぁ…焼き肉のタレで炒めたってだけでも美味いのに」

「そしておかずは肉肉肉で牛豚鶏のバーベキューセット、牛はハラミにホルモンにと脂が多い部分にトロトロになるまで圧力をかけたスジ、豚は普通のバラとロースににちょっと圧力をかけてトロトロにしたバラとスジ、鶏が腿と皮とせせりと軟骨入りつくね」

「そっちの塊は?」

「これはローストビーフ用、ワインに漬けて香りをつけたりしてるけどステーキにして食べる事も出来るっちゃ出来る」

「普通にステーキとして焼いて食べるだけならこっちのまだ切ってない塊ハラミでいいよな」

「そっちのまだ切ってないハラミはそのままどかんっと塊で焼く予定、仕上がり自体はステーキと大差ないはず、オーブングリルでほどほどにって感じだし」

「普通っちゃ普通の焼き方だな、だからこそ美味しく焼けるんだが」

「筋切りなんかは考えず常温に戻した塊ハラミを下味も付けずただ焼くだけ、というよりここまで大きいと下味も何もないからなぁ…」

「まあいいんじゃね?バーベキューなんて基本的には下味も何もない肉を焼いてソースを付けて食うわけだし、肉その物が美味いなら気にしなくていいだろ」

「まあね、それじゃローストビーフを焼きつつ塊のハラミも焼きましょうかね」

「こっちはこっちで好きに焼いて食べてるから焼けたらくれー」

「俺はとりあえず飲み物を追加で頼んでくる」

「行ってらっしゃい」


 塊ハラミはローストビーフより高めの温度で中までしっかり、ローストビーフは表面だけ焼いたら温度下げてじっくり、ハラミとローストビーフの表面を高温で焼いた時に出た少量の脂と肉汁に赤ワインを少々加えて、おろし玉ねぎと酢と砂糖、塩を加えて味を調えれば簡単ソースの出来上がり。

 ケチャップを入れたり醤油を入れたり、にんにくを入れたりする事もあるけどそこは好みと気分の問題よね、それなりにいいワインを使っているので香りに影響する物は控えめに、出来たばかりのソースは刺々しいけど冷やして少しおいておけば角が取れて丸くなるのでしばし冷却。

 そうこうしている間に温度を高めに保っている塊ハラミが焼けたのでグリルから取り出しまして、食べやすい大きさに切ったらスキレットに戻して先ほど作った玉ねぎソースを掛ければ…

「塊ハラミのステーキ…というよりローストが出来たよー」

「お、焼けたか」

「玉ねぎソースが掛かってるけどさらにその上からにんにくを載せたり焼き肉のタレを掛けても合うから、ソースの味に飽きたら各自で味を変えてね?」

「ローストビーフはまだ?」

「あっちはもうちょっとだね、ハラミよりさらに低温だし、今取り出すと芯のほうはまだ生だよ、それでも食べれなくはないけどワインの香りがする火の入りすぎたタタキになる」

「タタキ…タタキ丼も食いたいなぁ…鉄板焼肉飯はもう食い切ったし、肉だけだとなんか物足りない」

「とは言っても今はそれ用の物がないし、作るとしたら夕食時かな?」

「じゃあ頼むわ、ご飯は寿司飯で」

「俺も寿司飯に乗せた肉丼で頼むわ、魚を使った海鮮丼もいいけどタタキを寿司飯に乗せた丼も美味いし」

「ま、でも今は目の前にある肉だな、次の釣りに備えてしっかり食っておかねぇと」

「カヤックの釣りは地味に疲れたもんなぁ…まさかイカに誘拐されるとは思わんかったわ…」

「2キロくらいのアオリでも人が乗ったカヤックくらいなら引っ張って行っちゃうからね、コウイカ系とはいえ5キロともなればねー」

「美味かったから良いんだが地味に疲れたわ」

「とはいえカヤック自体はエンジン付きだったじゃねぇか、こっちは足こぎで追いかけてたんだぞ」

「足漕ぎだったら引っ張られても足で漕いで追いかけれるけど、エンジン月の方だとねー、操作がコントローラーだから竿とリールを持っている時は引っ張られるがままっていう」

「堤防とかの足場が安定してる場所なら苦労しないんだろうけどさぁ…糸はどんどん出ていくしカヤックはどんどん引っ張られていくし、何より重いし、まだ船で釣ったサメの方がましだったまであるわ」

「踏ん張れないこともないけどカヤックは引っ張られていくし、持ってる手にも力が入っちゃうからね、小さいのなら兎も角大きいのが来ると余計に力が入っちゃうっていう」

「しかしあれよく釣れたよなぁ、餌木を投げたわけでもなし、針が刺さっていたわけでもなし、1時間以上ずーっとムルーに抱き着いたままだったんだろ?」

「よほどお腹が空いてたのか離したくない何かがあったのか、たまにある事ではあるけど1時間以上抱きついたまま離さず取り込まれるってのはかなり珍しいね」

「抱きついてた魚もちょっと齧られてた程度だったしな、でも苦労しただけはあって美味かったわ、イカ天にイカフライに昆布締め、あれだけ美味いならまた釣りたい気はするな」

「堤防にフカセをしに行く時に餌木なんかを持っていくと釣れるよー?それ用の餌木も持ってきてるし、次に堤防に行く時は餌木も持って行こうか、運が良ければアカイカも釣れるよ?あっちは普段水深100メーター位のところにいるから滅多に見えるところまでは出てこないけど」

「アカイカ美味い?」

「冷凍して繊維を破壊して旨味を出さないとあまり美味しくはない、でも冷凍すると物凄く美味しくなる、釣ったばかりの物より一手間加えた方が美味しくなるってやつだね。

冷凍して繊維を壊すともちっとした食感になって甘味と旨味が出てくる、獲れたばかりの物だとサクサクっと歯切れはいいけど旨味も甘みもほぼほぼない」

「んー…まあいいや、クブシミも十分美味しかったし、無理に狙う必要もないな」

「アカイカはもし見えるところまで上がってきていたら程度に考えておくのが良いね、さて…ローストビーフもそろそろかな?」

「ローストビーフが一番美味いのは中心ではなく焼けて水分が飛んで旨味が凝縮した外側だと思う」

「それは結構賛否が分かれる意見だろうね、でも焼肉なんかでちょっと焼きすぎてカリカリなったのが美味しいのは確か、焼きすぎるとえぐみが出てくるけどね」

「端切れくれ」

「どうぞ」

「んー…この下味と香りが一番強くついてる外側が美味いのなんの、この端切れだけでビール瓶1本いけるわ」

「中もしっかり香りと味が入ってるし柔らかくてソースがなくても美味い、これはコーラが進むわ」

「ローストビーフをビールとかコーラで流しこむとか見る人が見たらブチ切れるんだろうなぁ、でも美味いからいいじゃんよね」

「ソースに使ったワインはともかく漬け込みに使ったワインは1本980円くらいの安物だけどね」

「なんにでも言えるけどちょこちょこ居るんだよな、自分の考えているそれ以外認めないってのが」

「マナー云々と同じだね、はい、全部切れたよ」

「よし、それじゃあローストビーフをがっつり食うか、そしてちょっと休憩したら焼肉を再開だな」

「周りに誰も居ないからいいけど、誰かいたら絶対食いすぎだろとかどこに収まってるんだって思われるんだろうな」

「鉄板焼肉飯も合わせると大体4キロずつは食べてる計算だね」

「焼き肉用の肉はまだまだあるし、10キロが目標だな」

「私は夕食用にタタキ用のお肉を貰ってくるついでに寿司飯を作ってくるから、のんびり食べながら待っててねー」

「はいよー」

鉄板焼肉飯

なんて事はない鉄板で肉とご飯を焼いただけの焼き飯、少量入ってる玉ねぎに上から掛けられた青ネギは免罪符か…

豚でも牛でも鶏でもいいが脂は多めで炒めたご飯から染み出てくるくらいが美味しいので健康を気にせず脂大目で痛めて食べよう

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