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値段が倍以上違います 大体どう料理しても美味しい

「いやー…まさか当たるとは…」

「何がどうであれ当たりは当たり、これはこれで運が良かったと思えばいいんじゃないか?」

「二人共気楽だなぁ…」

「ぴっぴっぴょー」

「ひよこちゃんも気楽か…というよりどうすんだ、こんなところで旅行チケットを手に入れても使えないだろ?」

「そうねぇ、チケットを貰っても使えないし、期限も今月までだし、何よりここに旅行に来てるのに北の果て行きの旅行チケットはねぇ…そうなるとこの特賞は要らないから返却して交渉するとして、何か欲しいのある?」

「私的にはポーク缶1年分、昨日食ったカリカリに焼いたおにぎりのやつが美味かったんだよなぁ」

「あれは缶詰だから地元に戻っても買えるだろ、俺的にはこれだな、沖そば5人前入り10セット、4等だから2等や特賞に比べるとかなり見劣りするけどここ限定だぜ?家でも沖そばと同じそばは出てきた事が無いって事を考えるとこれだろ」

「ひよこちゃんは?」

「ぴぴっ」

「じゃあ交渉してポーク缶にしようか」

「えぇー…向こうでも買える物にするの…?」

「いやー、実はねー、ここだとポーク缶、つまりスパムね?ここだと100円から150円で買えるんだけど、向こうに戻ると同じ物が1缶500円からするのよ、それを考えるとポーク缶1年分はかなりお得なんだよね。

1年分で365缶貰えるとして、こっちでそれだけ買うのと帰って向こうのスーパーなんかで買うのとではかなり差が出てくるのがね…それに対してこっちの沖そばはお土産用だから間違いなくここ限定なんだけど、それほど高くはないからこれならお土産用に普通に買って帰ってもいいなーってやつ」

「なるほどなー…決め手は本土の値段か…」

「そうなるね、というわけでお姉さーん、旅行チケットは返すから2等と交換してくれなーい?」

「私の一存では無理なので商会長に聞いてきますー」

「後は待つだけだね、ダメだったら換金するか2等を引く人が出るのを待って交換を持ちかけようか」

「その2等を引いた人がチケット要らないって言ったらどうするんだよ」

「その時はさっきも言った様に換金、買い取りを拒否されたら…どうしようね…要らない物は要らないし…焚き付けにでも使う?」

「焚き付けに使うくらいなら叩きつけてでも返す方がいいんじゃないか?マジかこいつって目で見てるぞ」

「だって…ねぇ?釣り旅行をキャンセルしてまで2泊3日の国内最北端の旅行に行く気はないし、行くなら今よりアメマスとか鮭が解禁される秋中旬から冬にかけての方が良いし、夏場に行ってもちょっと船で沖に出てジギングをするかなーってくらいしか…」

「観光しろよ、それ用のチケットだろこれ」

「最北端の岬はもう何度か行ってるのよね、釣り番組の収録とか、結構前に国内一周旅行した時とか、個人的な釣行に行った時とか、それを踏まえて秋中旬から冬がいいという結論がね…冬なら雪景色も綺麗だし、ウィンタースポーツも盛んになるしね」

「なるほどな、まあまだチケットがどうなるかわからんし、聞きに言ったやつが戻ってくるのを待つか」

「だねぇ」


「開けてびっくり何とやら、ここの人達は1日でポーク缶をいくつ食べるんだよ」

「2人で1缶の5人家族想定で約900、缶詰なのもあって期限は3年からはあるから結構持つね、うちは10人ちょっといるから割とすぐなくなりそうだけど」

「メイドも居るから本気で消費すればあっという間だろうな」

「で、こんなに大量に貰ってどうするんだ主様、今家に発送しても誰もいないぞ」

「ホテルで保管して貰って帰る時に纏めて積み込めばいいでしょ」

「んー、それにしてもここの人ってポークが好きだよな、商店街をぶらぶら歩いただけでもポー玉おにぎりをはじめとして、色んな種類があるチャンプルーにもほぼすべてポークが入ってるし、沖島カレーなる地域限定のようなカレーも基本はポークだし、とんかつとは違うポークカツにポークバーガー、ポークカツバーガー、サンドに焼きそばに…」

「普通の豚肉の代わりに使っているような感じはあるね、その背景としてはまずポーク缶の安さと保存性、すでに味付けがしてあるから使いやすいし、割と何にでも合っちゃうってのがあるね」

「確かに、ただ焼いただけでもう美味いもんなぁ…」

「ジューシーにいれたりする事もあるのかこれ?」

「入れるところもある、沖そばに乗せても当然美味しい、キャベツににんじんジャガイモポークでポトフも作れる、本土の方だとスパムイコールチャンプルーってなるけど、使い方は色々有るってやつだね、高くて冒険出来ないって人が多いけど」

「値段が3倍から5倍も違えばそれはなあ…安全策に走るのは分からなくもないな…」

「ぴっぴー、ぴっぴょー、ぴっぴっぴー、ぴよっぴよっぴよー…ぴょっ!」

「俺の頭の上でタップダンスは止めてくれ…」

「ポー玉おにぎりを食べてポークをかなり気に入ったみたいだからねぇ、大量にポーク缶があるのが嬉しいみたい、ホテルに戻ったらお昼はポーク缶を使って色々作ろうか」

「ぴょー」

「見てる分にはてちてちやってて可愛いんだがなぁ、自分の頭でやられるとなるとちょっと鬱陶しくはなるだろうな」

「地味に足の爪がちくちく刺さるんだよ、軽いしちょっと頭皮に当たるだけだから痛くはないけど、頭の上で常に動かれ続けるとなぁ…」

「大人しいときはじーっとしてるんだけど嬉しい時はついタップダンスをしちゃうからね、後ご機嫌な時とか、大体てちてちやってるだけでリズムは刻めてないけど」

「タップダンスを知ってはいても関節の都合上どうあがいても出来ないという落ちか」

「人の体幹と膝の関節に合わせて作られたダンスだし、鳥がやろうとするとどうしてもねー、それ用に床板にしてもカチャカチャカシャカシャ爪が当たる音がするだけっていう」

「決めポーズもしっかり取ってるんだがなぁ…今一締ってないのはひよこだからか」

「取りあえず商店街は見て回ったし買う物は買ったからノエルを読んでホテルに戻ろうぜ、ポーク缶も車に積まなきゃいかんし」

「そうだね、商店街の入り口まで車を回して貰おうか」

「缶詰は各自持てるだけ持って運ぶか、350かける事の900ちょいで約320キロ、こりゃ運ぶのが大変だぞー」

「纏めて運ぼうとしたら間違いなく箱の底が抜けるから迎えついでに何人か回して貰わないとねぇ…想像の3倍くらいの量だったのはちょっと予想外だった」

「1年分って事で1日1缶の365ってだけでも多すぎると思うけどな」

「またなんかダンスを始めたみたいだけど今度は何をやってんだこれ…」

「サンバ風お尻ふりふりダンス、見てる分には可愛いよ?タップと違って羽を広げてちゃんと踊れてるし」

「動画を撮って投稿したらそれなりに再生数は取れそうだよな」

「ひよこちゃん単体の動画はまだないねぇ、でも初めて動画の方に出てから見た目が一切変わってないから何かしら突っ込みは来るだろうね」

「そこは天下のルシエラカンパニー、ペット用の成長しない長生きのひよこを作りましたってことで」

「それでも通りそうな気がするのはやりかねない、やってもおかしくない、それくらいは出来て当然な気がするって思われてるからだろうなぁ…」

「実際出来るのか?」

「遺伝子をちょろっと弄るだけだから出来るだろうね、やる必要もないからやらないだろうけど」

「ペットとしては人気が出そうだけどなぁ」

「大きさが大きさだから餌代はさほどかからないし、見た目もこのままだから人気は出るだろうけど、繁殖は可能にするか、一代限りの種にするかで問題がまた出てくるね、ひよこちゃんは卵を産めるには産めるけど少なくとも今の姿だと産めないし」

「あー…そうだよなぁ…ペットとして売りに出すなら自然繁殖するとそれはそれで捨てるやつが出てきて問題が出てくるし、一代限りだとそれはそれで受注生産みたいになるし、色々と問題は山積みか」

「捨てたところでひよこには変わりないからカラスとかヘビとかノラネコに食べられて繁殖するって事は無いと思うけどね」

「ひよこはひよこか…」

「飛ぶ事も走る事も出来ない、出来る事はてちてち歩いてピヨピヨ鳴くくらいだね」

「そんな事より早く迎えを呼んでくれ、頭の上でずーっとてしてしやられると落ち着かん…」

「あ、そうだね、すぐ呼ぶからもうちょっと待っててね」

「時間的に今からホテルに戻れば…丁度昼時と言えば昼時か」

「厨房を借りて作るかそれとも一昨日の様に外で好き勝手やるか、まあ何を作るのかにもよるけど」

「ポー玉おにぎりは食いてぇ、その上で何かを足していく感じがいいな」

「俺もポー玉は欲しい、ちょっとしょっぱいポークに少々甘い目の卵がいいんだよね」

「店によっては卵は味付けなしだったりもするけど、みりんとか砂糖をちょっと入れて甘くしてるとあまじょっぱくなって結構合うよね。

っと、商店街の入り口にはもう着いたみたいだから、もう少し待ってたらこの箱を何人かが引き取りに来るね」

「早いところ車に戻ってひよこちゃんを頭から降ろしてぇ」


 お昼に使うポーク缶は…5つもあれば十分か、まずは開封して取り出しまして、おにぎり用に5ミリくらいの厚さでカット、ラードをちょっと多めに使用して揚げ焼きで表面がカリッとなるまで、その隣でおにぎり用の少々甘めの薄焼き…というにはちょっと分厚い、大体2から3ミリくらいの暑さで卵を焼いて冷ましておく。

 ポークが焼けたら焼き海苔の上にご飯を広げ、ポークと卵を乗せて挟んだらポー玉おにぎりの出来上がり、ポークと卵のみが一番シンプルではあるが…ポークと卵の間にマヨネーズを塗った物や刻みネギを挟んだ物も用意。

 商店街で買ってきた麩を水につけて戻した物をしっかりと絞り、ポークと麩と卵だけのシンプルなフーチャンプルーもちょこちょこっと作りまして、3品目はポークを使ったカツにタルタルソースをたっぷり、これも形は違えど海苔とごはんで包めばポー玉といえなくも…でも地元の人に怒られそうなのでただのポークカツという事にしておこう…

 汁物はヒルダの要望で味噌を使ったアーサ汁、出汁は昨日釣ったカスミとバラハタの骨からとって、臭いも生姜を少々入れて軽く消したら濾して出汁だけを取り出す、味噌とアーサの香りで上書きされるのでがっつり消す必要はなし。

 味噌で味を調えたら最後に水に浸けて戻しておいたアーサを加え、沸騰しないように温めたらアーサ汁の出来上がり、これでお昼ご飯は完成と、うむ、シンプルではあるけどこのシンプルなのがいいんだよね、シンプルだからこそはまる。

 さて、お昼の準備が出来た事だし、ゲームセンターに遊びに行ってるヒルダにジュリアさん、後ひよこちゃんも呼んでこないとねぇ。


「んー…昨日も食ったけどやっぱポー玉美味ぇなぁ…今まで食ったおにぎりの中で間違いなく上位に入るわ」

「今までで一番美味しかったおにぎりは?」

「あまり認めたくないけどタカムラの作ったイカマヨ明太、イカ自体にちょっと甘い目の味付け、さらに大粒でプチプチした食感の明太子、包むご飯はちょっと塩気が強めで船の上で食うと美味かったんだよなぁ…」

「明太子にマヨってだけでもあうし、さらにちょっと塩気があっていい香りの海苔で包むとさらに美味しいのに、そこに細切りにした味付けのアオリイカを加えて混ぜる事でもっと美味しくなるっていうね、イカ自体もマヨや明太と相性がいいし混ぜても喧嘩しないし」

「そんなのもあるのか、食ってみたいからまた今度作ってくれ」

「ここだと材料を揃えるのが…難しいって事もないか、厨房の冷蔵庫を漁ればアオリも明太子もいいのが出てくるだろうし、アオリイカを仕込んでおけば明日にはもう作れるね」

「そうすぐに食いたいってわけじゃないし、ポー玉にちょっと飽きそうになってからだな、これも毎日毎日食うわけじゃないから早々飽きないと思うけど」

「ホテルのレストランで食べるっていう選択肢もあるしね、はい、ヒルダリクエストのアーサ汁」

「このアーサの香りがいいんだよな、具もアーサだけで余計な物は入ってないし」

「アーサと青のりって似てるような感じがするけど何が違うんだ?」

「アーサは形そのままで乾燥、あおさや青のりは細くしたり細かくした物で物自体は同じ、香りだけならあおさと青のりでも作れるけど食べるならアーサの方がいいって感じ、あおさと青のりは基本的には香り付け用だからね」

「なるほどね、まあこっちのほうが大きくて食べてるって感じがするわな」

「ぴぴょ、ぴぴぴょ、ぴぴっ」

「だから何を言ってるのかわかんねぇって」

「ひよこちゃん的にもこっちの方が食べ応えがあっていいって言ってるだけだね」

「そうか」

「主様、こっちのカツは挟まないの?」

「挟んでもいいけどポー玉マヨおにぎりがあるから一応別々にしておいた、挟みたい場合は各自でお好きなように」

「ま、作り方自体は手巻き寿司に似た様な物だよな」

「包み方が違うだけだね、足りないというのであれば追加で作るけど」

「これだけあればさすがに足りてるから大丈夫」

「食べ過ぎたら動けなくなるしなぁ…今日の昼からはもうがっつりゲームセンターで遊ぶと決めたし、ほどほどにしとく」

「はいはい」

ポーク缶

スパムの事、現地ではポークと呼んで割と色々な物に入っていたりする、有名なのはゴーヤチャンプル

現地だと本土の3分の1から5分の1という値段の差もあるので交渉して2等の1年分を貰った、が…想像の3倍近い量が出てきた

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