道具を失う覚悟が必要 たぶんギリギリ大丈夫
んんー…やっぱり色んな人から一級だのなんだのと言われている磯は平日でもぼちぼち人がいるねぇ…フカセは餌確保も兼ねてるから基本として、打ち込みに落とし込みでガーラとアーラを同時に狙っているというのがまた何とも…
大体3人から4人で1組といった感じなので竿を出しすぎという事はないけど、アーラ用の竿は完全に放置でピトンもガタが来てるから何か大きいのが来たらピトンごと破壊されて持って行かれそうだなぁ…
ぱっと見使っているのは200号竿、と言う事は持っていかれたら竿だけで最低30万、ちょこちょこサメが来るし、そうでなくても40キロ50キロクラスのアーラが住み着いていたりもするので竿自体は正解なんだけどピトンが…まあ…知らない赤の他人だし、持っていかれても整備と確認不足ということで…
こっちはちょっと出遅れて場所の確保がまだなので空いてるところを探して、端の方が空いていたので荷物を下ろして準備開始、まずはコマセを開封してざっくり混ぜてコマセを作成、ぱらぱら撒いて魚を寄せつつ命綱と竿用のラバーピトンを設置、落とし網にその他小物の確認も済ませて…仕掛け自体は昨日のうちに組んでおいたのでサルカンに糸を結んだら準備はほぼ完了。
フカセ自体はもう出来る状態ではあるけど大事なのはここから、波で削れて窪んでいるところに海水を追加して簡易生簀を作成、これを作っておく作っておかないで打ち込みと落とし込みが大分変わってくるのよねぇ…
イワシにキビナゴも程よく溶けているのでコマセと一緒にこれも少し混ぜて撒いたところで…
「これ餌はどっちから使えばいいんだ?」
「ひよこちゃんがもうキビナゴをつついてるけど止めなくていいのか主様?」
「餌はどっちからでも、オキアミなら一昨日釣ったオヤビッチャもいるし、仲間のロクセンスズメダイもいるだろうしブダイ系にニザダイ系も釣れるはず、キビナゴとイワシならバラフエにバラハタ、アオチビキにダツたまにイソマグロ。
で、ダツとかイケカツオとかほどほどのカスミとかが釣れたらこの生簀に放り込んでおいてね、ダツならメーターでもいい餌になるし、その他の魚も60とかそこいらなら泳がせに使える」
「普通なら60とかそこいらのが釣れたらそこでもう後は流して終わりってなりそうだが、それを餌に使うのか…」
「ここの釣りはそんな物だよ、磯から馬鹿でかいガーラを釣るならとにかく大きい餌が基本、アーラを釣るなら切り身にして足元にイワシを撒いてから落とし込み」
「なるほど、それで先に場所を取ってる組も足元にイワシを大量に落としてるのか」
「そそ、それでアーラミーバイって一纏めにされてるマハタモドキ、ヤイトハタ、タマカイの3種どれかをやる気満々にさせて食わせるっていう釣り方、大体居るはヤイトの方かな?こういうところは船が入ってこれないから40キロとか50キロ、最大60キロくらいじゃないと言われてはいるけどもしかしたら100キロクラスまで育ったのがいるかもしれないっていう夢があるのよね」
「主様はそのヤイトの何キロを釣ったの?」
「去年は78キロかな?こことは違うまた別の離島だけどそういう感じで最大何キロとか言われてるのを軽く超えてくるのが釣れるから、こういうところに来て打ち込みとか落とし込みをしてるのは夢を追いかけている人ともいえる、9割方釣れないんだけども」
「釣れないのかよ」
「掛けるまではいけるのよ、けど引きずり出すまでいけないから150とか200号でも根ズレで切れるか石にがっつりからんで引きずり出すのが無理になる、足元は当然物凄い入り組んでるし、えぐれたりしてるわけだからそこに入られるともう大変、あまり動き回れないのもあって引きずり出そうにも上の一方向にしか引っ張れないのよね、だから掛かったらもう無理やり巻き上げて引きずり出すってなるんだけど…
こういうところで使う用の大型両軸ってドラグがあっても30から40、そして大型のアーラになってくるとフルロックでも当然止まらないしでねー、一番強い殿堂なら100キロのドラグってのがあるんだけど、バッテリーを持ってこないとダメだしそもそもピトンが折れるしであまり実用的ではない、というよりカジキのトローリングなんかで使う用で陸地で使うことは想定してないし」
「足元に落として巻き上げるだけなら使えないこともないだろうが…まあ想定はしてねぇよな」
「24とか30Vのバッテリーかつ海で使う物だから海水を被っても大丈夫な、地味に専用の物が必要ってのもあってリール単体で40万超えてバッテリーを足すと50万前後になる、そしてそういうのが必要な大きさはピトンが折れる、で…全部持って行かれる」
「折れて持っていかれたらもう泣くしかねぇな」
「で、なんで俺だけ命綱装備なんだ?」
「そりゃガーラとかアーラが来たら持って行かれるからだよ、向こうの方が重いから一気に走ると踏ん張ってても浮く」
「そうか、子ども扱いじゃないならいいや」
「奥に持って行かれるんじゃなくて下に持って行かれるから、竿がシーソーみたいになって体が浮いて持ち上がっちゃうんだよね、それで大の大人でも持っていかれる時は持って行かれる、奥に持って行かれてるならそうはならないから踏ん張れば行けるんだけどね、斜めにはなるからちょっと浮くときは浮くけど」
「地味に命懸けか」
「でも掛かると楽しいし釣れたら美味しいよー?で、落とし込みは昨日ジュリアさんが組んでたこれ、サメにも使った150号リーダーにムツ針45号、それと200号に同じくムツ針の50号、打ち込みはちょっと細く100号にガーラ40号。
まあまずはフカセで餌の確保からだね、餌を確保しない事には何も始まらない」
「フカセの方で掛かる可能性は?」
「カスミにカッポレオニヒラロウニンナンヨウカイワリ等のガーラが来る時は来る、アーラは早々来ない、場所が場所なら小さいミーバイは来るけど…ここだとイシミーバイとかそういう小さいのは来ないかな?」
「取りあえずやってみるか、適当に落とせば何かしら釣れるだろ」
「だね、ホテルの堤防と違って定期的に人が入って撒き餌をしてるし、すぐに餌と認識してかっとんでくるね」
「それじゃ餌の確保から始めるかー」
解凍できてるイワシを三等分くらいで切り刻んで海水を入れたバッカンにどんどん入れていきましてー、落とし込み用のピトンをセットしている真下にダバーッと撒いたらヒルダが釣った40近いイスズミを背掛けにして足元に落として…
ジュリアさんの釣った70ちょいのダツも背掛けにして、ダツが潜っていけないように特注の浮力が超が付くほどあるちょっと大きめの浮きをつけて泳がせ、結構な確率でサメが来そうだけど…まあいいか、その時はその時、釣れるなら釣り上げてしまえばいいだけだし、切られたらしばらく様子見をしてから再度泳がせればいいだけだしね。
「はい、ジュリアさん泳がせの準備が出来たよー」
「センキュ、思いっきり投げた方がいいのか足元に落とした方がいいのかどっちだ?」
「投げれるなら出来るだけ沖の方へ、無理そうなら軽く投げたら勝手に沖へ泳いでいく」
「じゃあ軽く投げるくらいでいいか、思いっきりオーバーで投げたら周りの人がビビるだろうからやってみたい気はするが」
「普通の竿なら折れるだろうしね、それ以前にそんな重い物を投げれるのかよってのもあるけど」
「主様なら普通にやりそう、本気で投げたら身切れしそうだけど」
「手前の流れがちょっとっていう時はやらなくもない、泳がせにしてる魚は少なからず糸に引っ張られるから普段通り泳げないから流れに飲まれる時もあるしそういう時は投げる、今は流れがそこまで複雑じゃないし、強さもそれほどだからちょっと投げれば沖の方へスーッと行ってくれる」
「なら軽くだな、しっかし…今簡易生簀にいるやつ全部餌か…私の地元よりえぐいんじゃないかこれ?釣れた魚を切って餌にするって事はあったが、メーター近いやつを丸々泳がせるとかはなかったぞ…大体は輪切りにして打ち込みほど投げるということもせずちょっと投げて食うのを待つだけみたいな」
「たまーにエリカも頭がおかしいんじゃね?って言いたくなるような釣りをするよな、こっちで釣りをするやつって大体ああなるのか?」
「地域によるかなぁ?こっちだともうでっかい魚を釣りたいならそれ相応のでかい餌を用意しろ、ってのが基本だし、メーター超えのGTを狙う時はマグロとかカツオの頭を丸々つけて打ち込みの餌にするし、船でもそれは変わらず今みたいにダツをすぐ針に掛けて泳がせるとかよくあるし」
「メーターのダツとか何が釣れるんだよ…」
「サメかGT、サメだとそのままがぶっと、GTは一度アタックを仕掛けて長い胴体を折りたたんで捕食する」
「ほー…そうやって捕食するのか、このくらいの魚を捕食しているっていうのは腹を開いたから知ってるんだが、トレバリーフェスとかやってたところはダツなんていねぇからなぁ」
「ヤガラなんかも同じように折りたたまれて食われちゃうね、ダツと違ってヤガラは見た目の割に捌きやすいのと美味しいから餌にせずそのまま持ち帰りが多いけど」
「ダツを餌にするのは単純に食べ辛いせいか」
「それもあるけど餌にいいってのも確か、いまダツの下辺りを何か泳いで行ったね」
「んー…?確かに何かいるな、よく見えないからサメか魚かわからんけど」
「ベールアームは起こしたままフリーで送り続けて、がっつり食ったらもう竿を折る気でフッキング、フッキング自体はフカセの方でやってたのと同じ感覚だね、頭の向きを変えたり無理やり引きはがして潜れないようにしたりとかそういう感じで」
「問題は食うかどうかだよなぁこれ」
「食いそうにないならもうさっさと見切ってフカセに戻って、次の餌を調達しつつ足元に撒いて活性を上げつつアーラの食い気を出させる」
「さっきから定期的にぱらぱらとイワシを撒いてるよな、何ぼかはひよこに食われてるけど」
「あまり食べすぎると主様に餌にされちゃうぞひよこちゃん?」
「ぴょっ!?」
「しないから、それにイワシも確かに効くけど身自体は周りの魚が全部食べていくからね、本命の餌はやっぱり釣ったばかりの魚のぶつ切りとかそのまま足元に生きたままどーんと落とし込みよ」
「なるほどねっ!食うには食ったけど…これサメだな…一昨日に引き続きまたサメか…でも掛かった物はしょうがないし切れるまでは頑張るか…」
「がんばれー、俺はのんびりフカセでイスズミとかニザダイとか釣ってるから」
「くっそー…GTなら兎も角サメが相手の場合そっちの方が絶対楽しいわ…微妙に針掛かりの位置がいいのか思いっきり引っ張っても切れねぇし…打ち込みの方と同じ100号にしときゃよかった…」
「ローリングして体に撒かれるのを待つか、撒かれない様にやり取りしてもう駆除しちゃうか」
「切れて逃がしたら逃がしたで食い荒らされるのが辛いところだな」
「一時的に離れてはくれるだろうけどね、お昼はどっちの魚がいい?」
「どれが美味いんだ?赤いのとか青いのとか色々いるけど」
「毒の有無を気にしなければバラハタが美味しいよ、この辺りはサンゴがそれほどないし、このくらいの大きさなら十分食べれるね」
「じゃあそれで」
「刺身とムニエルと汁物どっちがいい?カップ麺のお湯を沸かすから火は使うし、焼き物汁物くらいなら出来るよ」
「カップ麺以外にも弁当があるから全部合いそうってのがまた何とも…」
「後ろでのんびり昼に食う魚と料理を何にするか話してるのは別にいいんだが…こっちは地味にきついんだぞ…」
「無理そうなら変わるけど基本は魚と人の1対1の戦いだし、こっちが出来るのは応援くらい、ひよこちゃんも応援してるから限界が来るまでは頑張ってみよう」
「くそー…船とかボートの上なら大してきつくないのに…高さと足場が変わるだけでここまできついか…」
「水面から離れれば離れるほど下にかかるしからが強くなるからね、こういうちょっと高めの磯だと背中とか腰に結構くる、もっと高い切り立った崖のような磯もなくはないけどね」
「そんなところで何をどうやって釣るんだよ…」
「さぁ…?落とし網なら取り込みは出来るけど色々限界はあるだろうね、カップ麺は色々あるけどどれ食べる?」
「俺は鶏がらチャーシュー」
「きつねうどん大盛り蒲鉾マシマシカップ」
「はいはい、それじゃあお湯を沸かしながらバラハタを捌いて焼くか刺身かを決めましょうかね」
「弁当がポー玉おにぎり3つにジューシーおにぎり3つ、刺身でも汁物でも焼き物でも合うからほんと悩むな…ひよこちゃん的には?」
「ぴぴぴっぴょー、ぴよ」
「悩むくらいなら全部だって」
「なら全部で」
「はいはい」
「せめてカップ麺はサメが終わってからお湯を入れてくれよ?伸びたのも不味くはないけど普通に食いてぇ」
「じゃあ汁物から作ってようかな」
「ぴょー」
「ひよこちゃんの分も用意するからのんびり待っててね」
「ぴよ」
バラハタ
場所によってはもう大きさ問わずシガテラ注意な奴、そして場所によっては60超えても大丈夫な奴
刺身でもムニエルでも汁物でも、から揚げなんかにしても美味しいやつ、でも食べる時はやっぱりシガテラ注意




