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そういう物と理解すれば美味しい 地味に命懸け

 んー…この茹で立というわけでもなく、腰があるというわけでも伸びてるというわけでもなく、麺の味自体はかん水を使ってるのもあり中華麺なのだが、中華そばというには程遠く出汁がうどんに近い、お店によっては鶏がらを使ったりもするのでそっちだと中華そばっぽくはなるけど…

 まあ基本はかつお出汁よね、中華そばと思って食べたりちょっとうどんっぽいからうどんと思って食べると変な感じにはなるけど、こういう麺料理だと思って食べるとちゃんと美味しい、肉うどんっぽさもありチャーシューメンっぽくもあり…

 中華そばとうどんの中間といえば中間、出汁をどうするかでどちらにも転ぶ結構不思議な麺料理、こちらでは沖そば、本州の方に行けばそばではなく沖ラーメンというラーメンのような扱い、それもあってラーメン感覚で食べた人が大体不味いという感想を残していくのがまた何とも…

 茶碗蒸しをカスタードと勘違いして食べた国外の人が、このカスタードしょっぱくて食えたもんじゃない、なんかエビとかわけのわからない豆みたいなのが入ってる、っていう感想を出すのに似ているといえば似ているか。

 美味しい物でも先入観があると脳の処理がおかしくなって云々…でも一度理解すればてびちにソーキにキノコにと色んな種類を食べたくなってくるのは他の麺料理と変わらず、なんなら自分で作って色々試したくなるよね、天ぷらにカツといったオーソドックスな物から炒め野菜とか餡かけとか…

 そして沖そばの利点は茹でた後に油と絡めて自然冷却という方法を取っているので…

「冷たいわけでもなく暖かいわけでもなく微妙に温い、面も伸びてるし…釣り場で食べる事を考えるとこうなるのもわからんではないけど」

「沖そばの麺はお店で食べてもこんな感じよ、再度温める事もなく冷ました麺をどんぶりに入れて上から出汁を注ぐだけ、お店では麺は打たず基本製麺所から購入で出汁を作るだけ、だから結構安いしこれなら1人前100円で買えちゃう」

「すでに麺とネギが入ってる器に自分で出汁を注ぐだけだしな、これで500円とか600円とか取られたらふざけんなってなるわ」

「面白いのはこれその辺の小さい個人店だけじゃなくて、コンビニとかスーパーでも同じ様に売ってるって事なんだよね、だからこの辺りの人はお弁当と一緒にこれを買っていくというのはよくある、具が無くて物足りない場合は隣で売ってるてびちとかソーキとか三枚肉を乗せる。

出汁に関してはコンビニのコーヒーと同じ、レジでお金を払ってからポットで保温してる出汁を注ぐ、バイキングなんかでお馴染みの保温鍋を使ってるところもあるけどね」

「ところで主様が乗せてるそれは何?」

「軟骨ソーキ、一般的といえば一般的な物だね」

「三枚肉よりそっちにすればよかったかなぁ…薄くて食べ応えがない…」

「1枚30円くらいの三枚肉はそんな物だよ、こっちも値段と量自体は大して変わらないけど」

「しかし、なぜいなりとチキンカツを組み合わせようと思ったのだろうか?美味いのは確かなんだが…」

「それは初めて出店した人に聞かないと分からないけど、酢で口の中がさっぱりして食べやすいのと、意外と悪くない組み合わせだったってのもあるんじゃないかな?」

「巻き寿司でカツを巻くような物か」

「まあ似たような物だろうね、チキン自体はにんにくとかスパイスとか結構利かせてるからカツとはまた違うけど」

「おやつ代わりで摘まむのには丁度良いな、ガーリックチキンもハーブソルトチキンも食べやすい一口サイズだし、いなりはデカいけど」

「沖そばの量を考えると大きいくらいが丁度良い、ガーリックチキンはガーリックチキンでこうやってちょっと毟って針につけて投げると…オヤビッチャが釣れると」

「昨日の渋さはなんだったんだってくらい釣れるな」

「コマセをぱらぱらと撒いて餌と認識させたり寄せてきたりとしてたからね、場所が出来てしまえばこんな物よ」

「でも釣れるのは小さい魚ばかりで大きいのはこねぇなぁ、オヤビッチャ…だっけ?それは釣れるんだが…それ以外が釣れてねぇ」

「一応ヒブダイとかオビブダイ、ニザダイにカンランハギにと引きが強いのも入ってきてるんだけど、オヤビッチャとチョウチョウウオの数が多すぎてそこまで餌が落ちていかないってのもあるね、居るところまで落とす事が出来れば釣れるのは確かだから、ここからはいかにしてオヤビッチャとチョウチョウウオという餌取りを遠くに誘導して本命のところまで落とすかになるね」

「なるほど、兄さんと頃の海とかタカムラのところの堤防で練習した事ではあるな」

「ところでこのオヤビッチャって美味い?」

「水質の影響を受けるやつだからここのは美味しい、こいつならシガテラが濃縮してって事もないし、刺身に煮付けに唐揚げ、天ぷらに酒蒸しにと割と何にしても美味しい、当然こいつを食ってる魚もいるので泳がせにも使える」

「じゃあ適当に1匹釣って外側に投げてみるか、何かしら釣れるだろ」

「GTなんかを狙うならダツなんかもいいんだけど、ここはダツがあまり入ってこないから難しいところ、グルクンがオヤビッチャとかチョウチョウウオと一緒に泳いでるからそれをサビキで釣って餌にする手もある」

「グルクンを使うと釣れやすい?」

「オヤビッチャより釣れやすい、漁なんかでも餌として使う事が多い魚だからね、だからグルクンがいる時はそれを釣って餌にする人も結構いる、というわけではいグルクン、背掛けでも鼻掛けでも口掛けでも」

「ま、ここは定番の背掛けだな」

「内側で泳がせても隙間に隠れてるのが食ってくるだろうけど、GTという夢を追いかけるなら外側だね」

「そりゃ当然夢がある方だろ」

「もしダツが入ってきてつれたらキープしとくね」

「おう、頼むわ」

「主様は小物釣りばっかでいいのか?」

「私は去年も来てるし、ここは居るには居るけどまだ肩慣らしっていう場所みたいな物だし、ドカンと大きいのを狙うのは肩慣らしが終わった後だね」

「つまりは接待しつつ俺達をここの環境に慣れさせるって事だな」

「そういう事だね」

「外側は駄目だな」

「あらお早いお帰りで、まだ投げてから3分も経ってなくない?」

「食われた瞬間に糸が切れた、外側の壁沿いにサメがくっついてるからそれ用の装備じゃないとどうにもならん」

「ありゃー…そうなるとサメ用の道具をホテルから持ってきて貰わないとダメだねぇ、竿は昇竜だから余裕で耐えれるけど泳がせ用で持ってきてるリールはナイロン12号だしねぇ…」

「PEの20か30を巻いてるのは持ってきてたよな?」

「リーダーも150号を結んでるね、取りあえずサメ用にって送っておいたやつをノエルさんに持ってきて貰うね」

「頼むわ」

「主様が追い払うのが手っ取り早い気がするけどなぁ」

「追い払ってもそれは一時的でまた戻ってくるし、ダイビングをしてる人も居なくはないから近くにいたら駆除が基本だよ、特にイタチは増えに増えてるから海岸沿いに来て一時的に閉鎖とかもあるし、定期的に駆除してるくらいだからねぇ、釣りの邪魔になるからとかそれ以前の問題で近くにいるのは駆除しないと普通に危ないのよ」

「なるほどね」

「というわけでサメ用の餌をちょこちょこーっと確保してノエルさんがそれ用のリールを持ってくるのを待とうか」

「でもそう簡単に釣れるのかねぇ?」

「ワイヤーを使わないなら針のかかる場所と体に巻かれるかどうか、ワイヤーを使うならワイヤーの太さ次第だな、細いとサメ肌で擦り切れるし歯でも切れる」

「リーダー用ワイヤーは一応2ミリと3ミリの極太を用意してある」

「ならナイロンリーダーまで巻かれなきゃいけるな」

「後は大きさ次第だね、サメ用の取り込みフックもあるけど大きすぎると身が裂けて切れちゃうから…場合によっては船を出して貰って取り込みだね」

「食われた瞬間切れたから大きさはわからんな」

「一応船の方でも取り込めるように準備しておいて貰うか」


 確保しておいたグルクンとオヤビッチャを取りあえず輪切りにしましてー、海水を入れたバッカンの中に入れて血を抜きまして、20匹くらい刻んで入れて真っ赤になったらジュリアさんの足元にダバーっと…

「これなら離れていたとしてもすぐに寄ってきそうだな、他からも寄ってくる可能性があるが」

「その時はもう寄ってきた分を根こそぎかなぁ?釣りばかりじゃなくダイビングもする予定だし、ちょっと本気を出して釣るのもありかなぁ?」

「兄さんが本気を出したらサメ用の道具じゃなくても釣れそうだ」

「やってやれなくはない、以前沖磯でサメが周辺にいた時は60号くらいのリーダーで3メーターのイタチを上げたし、あの時はサメ用のフックもなかったからサメを押し寄せる波に乗せて磯の上に打ち上げさせてっていう取り込み方」

「それは取り込んだというのか…?」

「海面まで寄せて波に乗るように誘導して…だからたまたまではなくちゃんと取り込んだと言えなくもない、はい、餌用のグルクン」

「センキュ、まー、なんにせよこれでさっきのサメらしきやつが食ってきてくれるかどうかだな、サメじゃなきゃああいう切れ方はしないが」

「オニカマスも歯は鋭いけどもうちょっと持つもんね」

「主様ー、船の用意が出来たってよー」

「はいはーい、それじゃあ頑張ってサメを釣ろう、ダメそうなら交代するから」

「大きさによるな、ドラグフルロックじゃないと対応出来ないようなやつの場合はもう兄さんに丸投げする」

「2メータークラスになるとドラグ20キロ程度じゃ物ともしないもんね、かといって強くすると人の負担がかなり増えるっていう」

「鍛えてるから30キロ40キロなら大丈夫なんだが、このリールのフルロックはさすがに吹っ飛ぶわ」

「リール自体の強度だけじゃなくどんな化け物にでも使えますよって感じで強化されてるからねぇ、その最大の100キロすら物ともしないのが1号湖の隔離区画にいるんだけど」

「そこはまだ行ってねぇなぁ、タカムラが頭のおかしい魚がいるとは言ってた気がするが」

「まあ…おかしいっちゃおかしいやつだねぇ…自分を鍛えるのが大好きな奴というか、どんどん泳ぐのに適した姿に進化していってるし、スタミナも無尽蔵に近いし、あれに挑むならアルマディンフェンリルのドラグフルロックが基本というかそれでも糸は容赦なく出ていくというか…」

「それ釣れるのか…?100キロの負荷でも糸を出されるって相当だぞ」

「出されるどころかほぼずるずるに近い感じだね、色々交配させて人工的に生み出したまでは良かったんだけど、いつの頃からか…ねぇ…あれに挑むならPE30号とかリーダー200号とかそういうやつじゃダメ、私が作って展示してあるフィブロナイロンを大体3000メーターくらい巻いて、ドラグは当然100キロで2800メーターくらい無理やり引っ張りながら泳がせればちょっとずつ巻いて来れる様になる。

けど…当然針とかルアーもそれに耐えれる強い物を用意しないとダメだし…今は釣れないかもしれない、あいつも日々進化してるからねぇ…」

「間違っても自然界に放流するなよ?」

「さすがにしないよ」

「それよりサメはまだ食ってこないのか?撒き餌もしてるから近くにいてもおかしくはないと思うんだが」

「そこはもうただ待つしかない、だからヒルダはのんびりチキンを摘みながら内側で釣りをしててもいいよー?」

「そうだな、そうするか、サメがかかったら呼んでくれ、どんな物か見てみたい」

「これで食われた瞬間切れたのはたまたま刺さりどころが悪かっただけで1メーターないくらいでしたってなると泣けるな」

「小さいなら小さいで駆除が楽でいいんだけどね、大きいと漁港まで曳航していかないとダメだし」

「漁港で処分して貰うのか?」

「駆除しつつ肝油とかサメ皮を使った財布やバッグを作ったり、ジャーキーなんかも作ったりしてるからね、大きいのが釣れたら釣れたで買い取って貰える、安いけどね」

「餌代が回収出来ればいいなくらいにしかならなさそうだなぁ…」

「買い取り費用0円も珍しくないね、というよりサメをそこそこなお値段で買ってたら漁協が持たない、漁師もサメは駆除するけど漁とかで魚が食べられる被害を減らすのが目的だからねぇ、たまに漁師も食われるけど」

「サメは危ないからなぁ…完全に仕留めるまでは気を抜けないし、引き上げる時に暴れて転落、そのまがガブっといかれるとかもあるだろうし、それが特に人を襲わない種であってもその時は別だろうしなぁ」

「大きさが大きさなら船に縛り付けて…だけどその時も地味にねー」

「そっちのチキン取ってくれ、まーだ食いつかねぇし、竿を置いてのんびりチキン食ってる方がいい気がしてきた」

「すぐ来る時はすぐ来るけど来ない時はね、はいどうぞ、それと竿を持って行かれないように固定するラバーピトン」

「センキュ、それじゃあ竿を置いてのんびり待つとするか」

「釣れなかったら撒き餌を追加、釣れたら念のため何度か餌を打ち込んで確認だぁね」

「主様なんか変な魚釣れたぞー、これなんだー?」

「オニダルマオコゼだね、美味しいけど背びれに毒あるから気を付けてね」

「美味いのか、じゃあキープしておこう」

「ちなみに毒があるのは…これ、皮に隠れて見えないけどちょっと押すと出てくるここのトゲ全部、かなり強力な毒だからここには触らない様に」

「刺さった場合は?」

「海の中で刺されたら溺死コースになるかな?陸上ならすぐに処置すればそこまで酷くはならない、一応そういう時のための解毒薬とか一式全部あるし、ためしに刺されて見る?」

「やだよ、誰が好き好んで死に繋がるほどの痛い目に合いたがるんだよ」

「だよね」

「そっちに行ったのならついでに何か飲み物もくれー、乾き物ではないけどチキンだけだと喉が渇くわー」

「はいはーい」

脳の処理が…

そういう物であると理解するまではそれと似た別物、プリンを知っていて茶碗蒸しを知らない場合茶碗蒸しを見たことのある食べたことのあるプリンとして脳が認識するので処理がおかしくなる

沖そばはうどんっぽくもありラーメンっぽくもあり、結果としてこれはうどんこれはラーメンであると認識してどちらでもないので美味しくないように感じてしまう人が割といる

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