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何時もの日常 親睦会をしよう

「はい、というわけで自己紹介」

「何が、はい、というわけで…ですか。

いきなりすぎて2人の目が点になってますよ」

「点と言うよりは今更何言ってんだコイツって感じかなぁ」

「ジト目ではあるね…」

 2人に挟まれてジトー…っとした目で見られている…

「まぁ…その場の自己紹介一回で済ませるか、その都度するかの違い程度だしなぁ…

2人が名前を教えたのは今のところ誰が居るの?」

「誰も居ませんね」

「リッカやカレンとかと親しげに話してたように見えたけど、名前教えてなかったの?」

「特に必要も有りませんでしたので」

「ならなおさらこの場でしておかないとね、でないと周りのメイドが呼ぶときにどう呼べばいいからわからなくなるから」

「そうですか、では仕方が有りませんね」

 仕方なくする自己紹介って何なんだろうなぁ…

「隠し子1号2号です、以後お見知りおきを」

「うん、ちょっと待とうか」

「何ですかお父様?」

「それは自己紹介とは言わない、ただの事実」

「そうですか?これではいけませんか?」

「呼ばれるときに隠し子1号とかそこの2号さんと呼ばれても良いのなら別に…」

「お父様やお母様意外にそう呼ばれると手が出てしまうかもしれませんね?」

「うん、だからちゃんと自己紹介をしておこう?」

「仕方ありませんねぇ…」

 仕方がないのは2人の考えか、それとも隠していたが故にそういう考えに至った事か…

「では改めまして、アザミと申します」

「ボタンと申します、以後お見知りおきを」

「良く出来ました、と言うよりは最初からちゃんとそうしてね…?」

 何はともあれ二人の自己紹介は簡潔にではあるけどお終い、個人的に知り合い事が有る場合は直接聞いて貰おう。


 2人は狐さんやルシフみたいに基本的には何でもできるので放置、こっちは温泉街でちょっとお仕事。

「1ヶ月位間が開いたけど変ったこと何かあった?」

「特には、毎年恒例と言いますか、年末に卸して貰ったお酒が全部なくなったくらいですね」

「毎年卸す量増やしてるんだけどねぇ…」

「お財布の紐が緩くなる時期ですし、それほど高い物でもありませんからね」

「年々宝石店から遠ざかって酒販店になってきてる気がするなぁ…」

「それも年末年始だけですので、宝石店には変わりないかと」

 今年は500本くらいは卸したはずなんだけどなぁ…それでも売切れか…

「去年1年の宝石の売り上げはどの位?」

「少々お待ちください。

えーと…去年1年の予約注文数が31件で金貨91枚と銀貨75枚。

その他の売り上げが金貨8枚銀貨47枚銅貨84枚」

「金貨100枚とちょっとか、お酒の方は?」

「月50本と年末に500の計1050本、余っていた分も含め年末に全て売り切れて金貨5枚と銀貨25枚ですね」

「値段が値段だからそこまでではないか、ただ全部売切れかぁ」

「一律銅貨50枚ですしね、安くて美味しいので纏めて3.4本は買っていく方もいますね。

旅館の方も年末に10から20本は買って行きますね」

「買って行ってるのがほぼ身内では…?」

「年末以外は買わない様にと言っていますので、普段はお土産や地元の方達が買っています」

「卸す本数増やした方が良いのかなぁ…」

「増やした方が良いでしょうね、その場合は此処とは別に酒販店を建てなければいけませんが」

「建てる土地と予算は大丈夫なの?」

「今までの稼ぎで予算は余裕がかなり有りますね、白金貨5枚出してもまだまだ懐には余裕が有ります」

「予算は問題なしとして、土地が問題だよねぇ、旅館の両隣は宝石店と食堂で埋まってるし」

「土地は大丈夫ですね、この店が所有している土地に対して小さすぎるので、宝石店の隣にでも建てれば大丈夫かと」

「どの位土地余ってたっけ…」

「この店と裏に併設してある工房を含めた広さの5倍ほどは。

ですので土地は余り放題ですね、手入れはしているのですぐにでも建設は可能です」

「建てるとして…月何本くらい卸せばいいのかねぇ…?」

「まずは開店記念の時に500、以降は様子を見つつ月300、他の所からも仕入れますので最終的には月100から200程度になるかと」

「それともう一つ問題、酒販店の方は誰が見るの…?」

「お酒に関して熱心な方が旅館の方に勤めていますので引き抜こうかと」

「女将さん泣かない?」

「大丈夫でしょう、今でも毎年2人は雇っていますし、人はちょっと溢れ気味です。

ですので6人引き抜いても何も言わないでしょう」

「なら何もいう事は無いかな?」

 お任せして置けば問題も無く進めてくれるだろう、こっちはこっちで卸すお酒の準備だけしておけばいいか。


 温泉街でやる事やった後は屋敷に戻ってのんびり。

 食堂の方への食材はちゃんと卸されていたので特にいう事もやる事も無し。

 なので釣り竿を抱えて湖の方へ足を延ばす。

 今日も今日とて獲物を求めて湖に来ているメイドがちらほらと。

 そんなメイド達とは離れ別の所へ。

 湖に沿って暫く歩き、川を目指す。

 川で釣りをしているメイドはおらず、湖と違い椅子や建物などは無い。

 流れは緩やかな所なので、のべ竿に浮き、針はウェットの毛ばりで餌は無し。

 貸しきり状態の川で釣り糸を垂らし、のんびり魚が食いつくのを待つ。

 何か特定の物を狙うわけでもなく、何か食いつけばいいかな、程度なので仕掛けも変えたりはしない。

 下流の方にゆっくり流れていく浮きを眺めつつ、反応が無ければまた上流の方からゆっくり流す。

 何度か繰り返し、じーっと待っていたが、何も釣れることは無く、日が落ちてきたので終了。

 今日の夕食は何を作ろうかなーと考えつつ、竿を仕舞い、屋敷へと戻って行った。


 調理場に入ると山ほど詰まれたお肉の山、牛、豚、鶏の3種。

 鶏は胸は無く腿と皮、牛と豚もバラなど脂が多い部分ばかり。

「これは…どうすればいいのか…」

 ただひたすら肉を食べたいという事なんだろうけど、2.3日前まで肉ばかり食べてたんじゃなかったっけ…

 だが用意されている物を使わないわけにはいかない、牛と豚は一口サイズに、川と腿肉は一口より小さくして串に刺しておく。

 間にネギを挟んだりはしない、肉は肉だけで焼く、そもそも野菜は用意されていない。

 ただ切ったり、切った後串にさすだけなので肉の準備は直ぐに終了。

 後は各机にコンロと炭、各種タレを用意するだけ。

 全ての準備が終わる頃にはメイド達も食堂に全員集合、用意してある肉をこれでもかとお皿に山盛りにして持って行く。

 ご飯もちゃんと炊いておいたのでご飯も丼に山盛り…という事も無く、ご飯は山にせず程々。

 肉を焼いている間にご飯にタレを少々垂らし、薬味で用意して置いたネギや胡麻をふりかけ軽く混ぜ合わせる。

 そして焼いた肉でご飯を海苔のように巻いて食べる、ご飯がタレでポロポロとこぼれない様にタレは控え目にしてあるのがポイント…なのか?

 白米もお肉も進むのは確かではあるが…

 他にも串に刺してある腿肉や皮の表面を軽く焼いた後、タレを塗ってじっくり焼いているメイドも居る。

 食べ方焼き方はメイドそれぞれ、表面だけを焼いたのが好きなメイドも入れは少し焦げかけた焼きすぎ位が好きなメイドも居る。

 なので誰も何かを言ったりはしない、調理場も調理場で追加で運ばれてくるお肉をひたすら切り分ける作業に追われている。

 メイド達の夕食はまだまだ終わりそうにないなぁ。


 メイド達の夕食が終わった後はダイヤにヴェスティア、エキナセアと食堂の清掃。

 清掃が終われば余った食材で夕食となるのだが、今日は食材が少ないというわけでも大量と言うわけでもなく程々に余っている。

 まだ切り分けてないお肉も有るので、豚バラ、牛バラを薄切りにする。

 一口くらいの大きさのおにぎりを作り、薄切りにした肉で巻き、炭火で焼く。

 火が通った所でタレを塗り、もう一度軽く表面を焼き、ネギと胡麻を振って肉巻きおにぎりに。

 メイドが丼でやっていたのはこれの簡易版みたいなものなので味はほぼ変わらない、巻いてから焼くか、焼いてから巻くかの違い程度。

 一応おにぎりは中に梅とかを仕込むことはできるが…おにぎりじゃないほうも横に梅を添えておけば良い。

 おにぎりは梅入りと無しで牛豚各10個づつ用意、余った牛の薄切りの肉はそのまま表面を軽く焼いて食べる。

 豚はアスパラをちょっと拝借してきてもらい、アスパラに巻きつける。

 用意が出来た所で少し遅い夕食の開始。

 普通の焼きおにぎりも用意してあるのでそちらも焼きつつ肉を焼く。

 肉巻きの方は一口で食べれるので、焼いている間に一つ、また一つと減って行き、牛と豚合わせて40個あった肉巻きおにぎりはあっという間になくなった。

 ダイヤはまだ食べ足りないのか、牛の薄切りを普通の焼きおにぎりの方に巻いている。

 リッカは普通に焼いたお肉にタレをたっぷりつけ、白いご飯の上に載せて食べている。

 ヴェスティアとエキナセアは鶏に塩、またはタレを塗り、網の上で転がしながら焼いている。

 こちらも豚バラで焼いたアスパラを焼いていく、塩コショウだけの物とタレを塗りながら焼いた物の二種類を用意。

 薄切りではない方の豚バラもじっくりと焼き、こちらもタレを塗りながら焼いた物、塩だけの物と用意。

 焼けた物をお皿に取り分けていくとお箸が伸びてきて直ぐに無くなる。

 …まあ…良いんだけどね…


 今日のお風呂はダイヤと一緒にゆっくりと湯船に浸かる。

 ヴェスティア達は調理場の片づけ中に入浴を終えたのでもう居ない。

 程よく温まった所でダイヤの体と髪を洗い、髪を纏めたら再度入浴。

 また温まった所で今度はマッサージ、全身隈なく解し、また体が冷える前に入浴し温める。

 芯まで温まったらお風呂から上がり、寝間着に着替え、ダイヤの髪を梳いたらお休み。

 今日は遊戯室にはいかず寝室へ直行、早めに寝て明日に備える。

 …というわけでもなく、ダイヤ、サファイア、ルビー3人を連れてアザミとボタンの元へ。

 ダイヤ達はある意味では異母姉妹…になるのかね?

 なので親同伴で姉妹交流。

 親同伴である…親と思ってるかどうかは別だけど…

 遊戯室とはまた別の所にある、話しながら片手間に遊べるような、すごろくなどが置いてある部屋に集まり親睦会開始。

 アザミとボタンには狐さんとルシフが、ダイヤにはフローレンスが、サファイアにはテレサ、そしてルビー三姉妹には狼三姉妹と…

 ダイヤとサファイアは問題なし、ルビー三姉妹は狼三姉妹の事を親と言うよりは…なんだろうね…?

 傍目に見ていると同年代の子供にしか見えない…今もじゃれ合っているし。

 まあ、仲は良いからいいか。

 なお保護者になっているアウラやエリス達はこの場には不在、あくまでも親、という事で。


 就寝時間を超えてもなお、まだ親睦会は終わらない。

 若干親馬鹿になっている狐さんとルシフにフローレンスとテレサ。

 我関せずとじゃれ続けている狼三姉妹。

 取り残された同士ですごろくを遊んでいるアザミとボタン、ダイヤにサファイア。

 うーん、何所にどう混ざればいいものか…

 お茶を出したり軽食を作って出してはいるのでやる事が無いというわけでもないのだが…

 すごろく組には紅茶とクッキー、もしくは一口サイズのフルーツサンドを並べたお皿が空っぽになる度に追加を出し。

 親馬鹿組には度数が限りなく0に近い状態まで酒精分を下げ、ジュースに近いお酒と生ハム。

 じゃれ合っている6人にはジュースとクッキーまたはフルーツサンド。

 何だかんだで忙しくて混ざれない…

 じゃれ合っていた6人は真っ先にダウン、備え付けてあるベッドに寝かせる。

 親馬鹿組とすごろく組はまだまだ元気、終わる気配が無いので親馬鹿組にはまだ切ってない生ハムの塊、ほぼジュースのお酒のボトルを10本。

 すごろく組には程よい温度のお湯が出るポットと茶葉、クッキーの山を渡し、一足先に寝る事にする。

 何かあったら寝室まで来て起こされるだろうし、ベッドに寝かせた6人と一緒にベッドに潜り込む。

 潜り込むと同時に6人が身体の各所に抱き着いて来て動けなくなったが、まあいいか…

 6人の暖かさに包まれている内に眠気がやってきたので、そのまま目を瞑るとすぐ眠りに落ちた。


 翌朝目を覚ますと親馬鹿組すごろく組を含め、全員が一つのベッドで寝ており、身動き一つとれない状態になっていた…

 そんなに広いベッドでもないのに15人は流石に多すぎる…

 両腕両足、両脇は最初に寝かせた6人がしがみ付いてて、首を動かして見える範囲だけでもダイヤとサファイアがベッドの両端で落ちそうで落ちない絶妙なバランスで寝ていて…

 残りは頭が出ていないだけで全員布団の中だろうなぁこれ…

 ここからでは良く見えないが、生ハムは全部食べられて、ボトルも全部空っぽ、クッキーとフルーツサンドも全部なくなっている感じかなぁ…

 散らかってはいないようなので掃除もすぐ終わるかな。

 なんにせよ、寝ている皆が起きない事には何もできない、それまではもう一眠りしよう…

親馬鹿

うちの娘が一番かわいい…


肉巻き

お弁当箱に詰めたり見た目を重視するなら巻いてから焼く

美味しい物を一杯食べたいメイドは焼いてからタレを混ぜたご飯を巻いて食べる

ただそれは焼肉丼ではないのか?という声も出ている

なお美味しければどちらでも良いので答えは丼であり肉巻きでもある、に落ち着いている

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